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俺はもうレベルは最大なのでこれ以上パワーアップすることは出来ない。
上げるならスキルレベルか武器の攻撃力か。
「そうだ! オリハルコンで武器を作ろう!」
鍛冶専用の部屋へ移動して、材料を並べてみる。
「オリハルコン、アダマンタイト、ミスリル、魔隕鉄、金、銀、銅、鉄……」
うーん、オリハルコンの性能をもう一度確認してみるか。
「鑑定」
【オリハルコン】
伝説の金属。別の金属と合金化することで様々な効果を発揮する。
「絶対に折れない剣を作るにはどうすればいいんだ?」
誰か知ってる人は居ないだろうか?
「ザングドア学長に聞いてみるか。たしか800歳とか言ってたもんな。専門外だとか言われそうだけど」
城の窓から飛び出してウィンドの魔法で上空のザングドア学長の家のドアをノックする。
「ザングドア学長ー! コメットです!」
「助けてくれぇぇぇ……」
中から助けを求める声が聞こえたのでドアを破って入る。
中にはガリガリに痩せ細ったザングドア学長が倒れていた。
「ザングドア学長! 大丈夫ですか!?」
「…………腹減った」
――――1時間後。
「いやぁ、死ぬかと思ったわい。この家に魔力を吸われすぎてしもうた」
大量に食事を与えて、家への魔力供給を魔石に切り替えたらザングドア学長の体調は良くなっていった。
「学長はいくら魔力が多いからって油断しすぎですね」
「助かったんじゃからもういいじゃないか。ところで、何をしに来たんじゃ?」
「今日は絶対に折れない剣を作る方法について何か知らないか聞きに来たんです」
「絶対に折れない剣じゃと……?ふーむ、絶対に折れない剣は知らんが、絶対に傷がつかないプレートならば知っておるぞ」
「詳しく教えてください!」
「わしの故郷であるエルフの里に古くから伝わる秘宝でのう。【大賢者の永遠】と呼ばれておる。どんな武器でもどんな魔法でも傷一つ付けることが出来なかったらしい」
「それです! そういうのが欲しいんですよ」
「まぁ、何かの参考にはなるじゃろう。見に行きたければ、儂が案内するぞい」
「お願いします! すぐに出発しましょう! どっちの方角ですか!?」
「落ち着くのじゃ。準備を何もしておらんじゃろ? 食料とか、魔石とか、お土産とか」
俺は超高速で城まで移動し、全ての品物を持ってきた。
「ザングドア学長、これでいいですか?」
「早すぎるじゃろ!? 仕方がない。もうエルフの里に向かうとしようかのう。あと3週間も飛べば着くじゃろう」
3週間は長すぎるなぁ。よし。
「3週間は長すぎるので加速しますね。ウィンドジェット! ファイアージェット! ウォータージェット!」
「やめるんじゃあああああぁぁぁ!」
ザングドア学長の叫びは虚しく響いたのだった。
――2時間後。
俺とザングドア学長は亜音速にまで加速した空飛ぶ家でエルフの里を目指す。
「コメットよ、老人は労れと教わらなかったのかのう?」
「それなら俺を労ってくださいよ。60億年は生きてるんですから」
「なんじゃそのつまらないジョークは……エルフジョークでもなかなか無いレベルじゃぞ」
エルフジョーク……エルフの里に行くのを中止したくなってきた。変なオヤジギャグとか聞きたくないぞ。
「ところで、もうすぐ2時間は経過しますけど、まだ着かないんですか?」
「おお、この速度ならそろそろじゃないかのう? 窓の外の景色もなんだか見たことがある気がするぞい」
ザングドア学長が窓の外を眺めながら、位置を確認している。
「じゃあ、減速しますね」
「おお、今しっかりと思い出したぞい。今から家の移動は儂に任せておきなさい」
俺はエルフの里の位置を覚えておこうと、同じように窓の外を見てみたが、同じような森がずっと広がっているだけで目印になるようなものが何もなかった。
「目で見ようとしても無駄じゃよ。エルフの秘法により隠蔽されておるのじゃ」
なるほど。すごいぞエルフ! 是非その方法を教えてほしい。そして意味もなく隠蔽したい。マルク君の家を隠蔽してやろうかな。
そんなことを考えていると家が着陸したようだ。
「エルフの里に着いたぞい」




