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3日後、セバスチャンが目を覚ました。
「大丈夫か? 俺、コメット、わかる?」
「何故そのような片言なのですか?」
ベッドから起き上がったセバスチャンが返事をした。
「お、大丈夫そうだね」
「シリウスにもご迷惑をおかけしました」
「うむ、これは一つ貸しにしておこう」
ちなみに、おかしくなっていたセバスチャンの部下はセバスチャンの進化によって、元に戻ったらしい。
「それで、何があったんだ?」
「まず、結論から言わせて下さい。敵の正体が分かりました。敵の正体は邪神です」
「え!? 神様って本当に居るの?」
「本当に神かは分かりかねます。ただ、人智を超えた力を持っている事は確かです。私からすればコメット様も神様のようなものです」
「俺はただの人間だよ。きっと。多分。人間だったらいいな」
だんだん自信がなくなってきた。
「それで、邪神だと思う根拠は? 邪神はセバスチャンを操って何をしようとしていたのだ?」
シリウスが流れを変える良い質問をしてくれた。
「私が神の薬を調査中に目の前に現れた男が邪神と名乗り、私を支配しました」
「セバスチャンを操ることが出来る奴なんてそうそう居ないよな」
「これは推測ですが、私が最初にコメット様と出会った時、既に私は無意識に邪神の支配下に置かれていたように思います。そして何故かパルム教皇国を滅ぼさねばならないと思っていたのです」
「ああ、パルム教皇国を襲ってたね。そういえば、口調や雰囲気も全然違ったような……?あまり覚えてないけど」
「また、数年前の戦争の時、ガーマ帝国の動きも妙でした。ガーマ帝国はゴリンゴル獣国を従属させ、次にエディア共和国を滅ぼした。まるで、パルム教皇国を包囲するかのように……」
「魔王も邪神に操られていたというのか?」
「もはや確かめる術はありませんが、そうだったと確信しています」
セバスチャンが真っ直ぐな目でこちらを見る。信じてほしいということか。
「邪神はそこまでしてパルム教皇国を潰したいのは何故なんだろう?」
「そこまでは分かりません。パルム教皇国に行って確かめるしかないでしょう」
次の行き先が決まったようだ。
「よし、セバスチャンが回復したらパルム教皇国に行こう!」
「承知しました。回復に努めます」
「承知した。余は準備をしたいので少し出かけてくる。セバスチャンが回復するまでには戻る」
「分かった」
各自準備を進めることになった。俺は俺でパワーアップを考えるとしよう。




