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まずは、地下に鍛冶部屋を用意する。地下から地上にかけて煙突を作る。
煙突が出てしまうのでカモフラージュで地上にボロ小屋も作る。
煙突が長ければ長いほど燃焼効率は上がる。鍛冶部屋で大量の鋼鉄を作成した。
「クリエイトゴーレム」
鋼鉄でゴーレムを作り上げた。並列魔法によって100体同時に作ってみた。手動式のドリルも作っておく。
「ドリルも装備させて……よし、ゴーレム達に命令だ。地下通路を掘れ。採掘場をグルリと囲むようにしてくれ。土から出てきた鉱石は選別してここに置いておくこと」
「……」
無言のままゴーレム達は作業に入ったようだ。
次に、戦闘用ゴーレムを作る。鋼鉄とアダマンタイトの合金を作った。比率は鋼鉄9:アダマンタイト1だ。
武器はどうしようか……。氷弾魔法杖を持たせてもいいけど、どうせならレーザー兵器がロマンだよな。
魔石と光魔法を組み合わせて、更にレンズで収束させる。本当は自動照準機能なんかあれば自分が欲しいくらいだが、残念なことにその機能はない。
ちなみにレンズの焦点距離を変えればレーザーは少し熱い程度になる。威力の調整も可能だ。
「戦闘ゴーレム用のレーザー杖が完成した!よし、早速試し撃ちだ」
戦闘用ゴーレムにレーザー杖を装備させる。10メートル先に鉄鉱石を置く。
「戦闘用ゴーレムに命令。あそこの鉄鉱石をレーザー杖で撃ち抜け。レバーを引けば撃てるぞ」
戦闘用ゴーレムは杖を構えてレーザーを撃った。しかし、レーザーは的を大きく外した。
「あぁ、外したか。練習の必要がありそうだな。お前はそのまま練習しておけ」
戦闘用ゴーレムに練習をさせている間に、俺はレーザー杖を量産する。
レーザー杖を作り終えた頃に戦闘用ゴーレムを見に行くと、鉄鉱石は粉砕され、壁にはレーザーの痕が1つだけついている。
つまり、何度撃っても同じ箇所に当たるようになったということだろう。
「よし、よくやった! お前は戦闘用ゴーレムの隊長に任命する!」
戦闘用ゴーレムは少し誇らしげに胸を張った。
「よし、他のゴーレムにもレーザー杖を渡そう。お前達、1列に並んで受け取れ」
全ての戦闘用ゴーレムにレーザー杖を渡した。
「隊長、お前は戦闘用ゴーレム達にレーザー杖の使い方を教えてやれ」
隊長が頷き、戦闘用ゴーレム達に合図を送ると一斉にレーザー杖の練習をし始めた。
防衛戦力についてはこれでいいだろう。多分。
「次は罠か。どんな罠がいいかな?」
対人用の罠はブービートラップと呼ばれ、戦争などに利用されてきた。
「決めた! くくり罠にしよう」
今回は人を殺したくないので、罠猟に使用されるくくり罠を作ることにした。
さくっとくくり罠を作り上げた。
「鑑定」
【くくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、ワイヤーが獲物の足を括り捕獲する事が出来る。
「うーん、ちょっと物足りないな。なんかこうガツーンとお仕置きを……あ、感電させてみるか」
この世界には雷魔法はあるかもしれないが、俺は未習得だった。
しかし、静電気を貯める方法はいくらでもある。ヴァンデグラフ起電機だ。簡単に言うと無限に髪の毛と下敷きをこするような装置である。
ヴァンデグラフ起電機の原理をくくり罠に組み込んだ。動力は魔石と風魔法だ。
ついでに火、水、風、土の各属性魔法を組み込んだ罠も作ってみた。
「完成! そして鑑定!」
【雷のくくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、ワイヤーが獲物の足を括る。更に静電気によって感電させる事が出来る。
【火のくくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、ワイヤーが獲物の足を括る。更に罠自体が火魔法によって発熱する。
【氷のくくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、ワイヤーが獲物の足を括る。更に罠の周囲を冷やし氷漬けにする。
【風のくくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、風魔法で対象を吹き飛ばす。もはやくくり罠ではない。
【土のくくり罠】
獲物が足で罠を踏み抜くとバネの力で罠が作動し、土魔法で対象の足を100kgの岩で固める。
「うん、いいね。これを大量に作って罠を仕掛けてやろう。冒険者達もかかりそうだから、事前に説明は必要だけど」
俺は地下から地上に戻り、採掘者達に全て説明した。
「〜というわけで、危険地帯には絶対に入らないでください。本当に酷い目に遭いますから」
「分かったぜ! どうせ俺たちゃ地下に居るから関係ねぇけどな! ワッハッハ!」
採掘者達が多分納得してくれたので、早速罠設置とゴーレム配置を行う。
「作業用ゴーレムは罠を設置しろ。場所は地下通路よりも外側だ。道には設置するなよ」
「……」
ゴーレム達の返事は無いが一斉に作業を始めたので、多分命令を受け付けたのだろう。
「戦闘用ゴーレムは地下通路で待機だ。地上の罠が発動したら、地上に出て制圧しろ」
戦闘用ゴーレムが一斉に敬礼して地下通路へと向かった。
これで準備は全て整った。
「さぁ、いつでも来ていいですよ。秘密結社の人達……」
俺は少しワクワクした気持ちで秘密結社ミラーズの襲来を待つのだった。




