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まずはダンジョンを作る場所を決めなければいけない。そして、それがとても難しい。
あまり遠い場所に作ると、行くのが面倒になってしまう。近すぎると今度は魔物が溢れ出た時に大変なことになってしまう。
どこがいいだろうか……?王都の北にはシルバーアンデッド墓地があり、危険だ。
王都の西には復興中のヴィンチ村がある。王都とヴィンチ村の間に作ったらどうかな?
王都からのアクセスも良いし、帝国から来た冒険者はヴィンチ村を通ってお金を使ってくれるかもしれない。
それがいいそうしよう。早速、ダンジョンコアを持って、ヴィンチ村との中間点に来た。何が起こるか分からない為、ハティも王都にお留守番だ。
ダンジョンコアを取り出して眺めてみるが、特に何も反応はない。振ったり軽く叩いても無反応だ。
ダンジョンコアに魔力操作で魔力を注いで見た。
「ダンジョンマスターの魔力を確認しました。ダンジョンは現在、未作成です。ダンジョンを作成しますか?」
ダンジョンコアは空中に浮き上がり、喋りだした。
「えーっと、じゃあ、作成して下さい」
いくつか質問してみようかとも思ったが、問題が起きた時は、また停止すればいいだけだ。まずは何が起こるか見てみたいと思ったのである。
「ダンジョンマスターの許可を確認しました。ダンジョンの規模に応じた魔力を注いでください」
注ぐ魔力の量によってダンジョンの規模が変わるのか。ようこそ世界一のダンジョンへ!って言えるくらいのダンジョンにしたい。やはりここは世界最高のダンジョンにすべきだろう。
サンプソンの指輪と弱化のネックレスを外して、魔力の最大値を上げる。よし、準備は整った。
「よーし、目指すは世界最高のダンジョンだ!」
そう言って、ダンジョンコアに魔力を注ぎ続けた。
残りの魔力が半分になった頃、ダンジョンコアからピーピーと警告音のような音が聞こえた。
「想定を越える量の魔力が供給されています。魔力の供給を停止してください。魔力の供給を停止しない場合、予期しない不具合が発生する可能性があります」
「まだまだ!世界最高のダンジョンなる為だ!頑張れ頑張れできるできる絶対できる!」
何を頑張るのか本人すら分かっていないが、励ましながら魔力供給を続けた。最終的にコメットの魔力が空になるまで続き、魔力の枯渇状態になったコメットは気を失うのだった。
目を覚ますと、目の前には見知らぬ天井があった。
「念願の見知らぬ天井を手に入れたぞ!」
そう言って飛び起きると、本当に知らない部屋だった。
「おはようございます。ダンジョンマスター様」
そして見知らぬ美少年が立っていた。




