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 翌朝、朝食を食べて準備運動をすると街の外に出かける。


「船の材料集めに行くぞ、ハティ」


「ワン!」


 街の門番に挨拶をして外に出た。そして、一旦街の南まで行き、港を確認することにした。大きな港だ。材料は港の端に置くことにしよう。


 近くに森があり、木材は大量に手に入る。さすが赤道直下の熱帯雨林。


「鑑定!」


【イペペの樹】

 耐水性が非常に高い広葉樹。非常に重硬で、加工はやや難しい。通称:アイアンウッド


 この木は船の材木に最適だ!何本か貰っていこう。ただし、過密に生えている木を間伐する事を心がける。森林破壊をしたいわけじゃないからね。


「これくらいでいいか。ハティ、港に運ぼう」


「ワン!」


 港の端で、丸太を加工し、竜骨やろっ骨、船体用の板を作成する。木工10のスキルのおかげでかなり短時間に最高品質の物が出来上がった。


 後は船を組み上げていくだけだ。板の隙間などは槙皮(まいはだ)と接着剤を詰めて水漏れ防止とする。更に外側をアダマンタイトの板で覆っておき、防御力を高めた。


「よし、船はほぼ完成かな!内装はコメリの皆に任せちゃおう」


 宿屋に戻り、内装についてお願いした。家具の代金も渡しておいた。その後、アンナ、ルネ、マルク君、ナビによって内装が整えられた。


 アンナの部屋は女性らしい部屋という感じだ。


 ルネの部屋は覗いただけで菌類が漏れ出る気がして開ける勇気が無かった。


 マルク君の部屋は良くも悪くも普通だった。


 ナビの部屋は地図や羽ペンなど製図の部屋となっていた。


 俺の部屋は誰も内装を整えてくれなかったので、海賊の親玉風の内装にした。オウムを飼おうか迷ったが、ハティの餌になる未来しか見えなかったのでやめた。


 厨房にはキッチンと冷蔵庫、冷凍庫を作っておいた。もちろん風呂とトイレも用意した。ついでに海水を蒸留して飲水を作る部屋も作っておいた。


「さーて、準備も整ったし、試運転してみましょうか!エンジン始動!」


「面舵いっぱいニャ!」


 船の掛け声については、ナビに説明済みである。不思議そうな顔をしていたが、そういうものだということで無理やり納得してもらった。


 船の先端で見ているナビが方向を見ている。俺は面舵を取った。


「ヨーソローニャ!」


 舵を戻して、しばらく様子を見る。問題なく船は進んでいるようだ。


「船底は問題ありません!」


「進路も問題ないニャ!」


「オッケー、試運転は問題ないみたいだから、今日は準備をして明日出発しましょう」


「「「おー!」」」


 というわけで、今日は大量の海産物を購入することにした。仕方がない、ゴリマグロも買うことにしよう。昨日行った市場に行く。


「安いよ安いよー!」


「おっちゃん、ゴリなんとかって魚介類全部ください」


「へ!?お客さん、本気ですかい?」


「はい、出来れば丸ごとではなく切った状態が良いんですが」


「任せときな!全部用意してやらぁ!」


「ありがとうございます」


 大量の切り身をゲットした。ゴリマグロは切り分けられ腕も落とされていたので見た目のインパクトも緩和されていたのが助かった。


 あとは魚以外の肉と、野菜と柑橘系フルーツなどを用意した。長い航海にはならないはずだけど、ビタミンC不足による壊血病の予防はしておくべきだろう。


 大量に買った食材は船の冷蔵庫と冷凍庫に入れておいた。前夜祭ということでサウスリンゴルの酒場で夕食を食べることにした。


「皆お疲れ様でした!明日からの船出に乾杯!」


「「「カンパーイ!(わん!)」」」


「ゴリマグロの腕の丸焼きを頼んでもいいかニャ?」


「うーん、本当は見たくないけど、いいですよ」


 運ばれてきたゴリマグロの腕は本当に見なければ良かったと後悔した。それ以外の料理は美味しくいただいた。食事も終わり、宿に戻る。


 風呂にも入ったし、あとは翌日を待つだけだ。おやすみなさい。




 翌朝、早めの朝食をサウスリンゴルで食べて、早速船に乗り込んだ。


「エンジン始動!面舵いっぱい!」


「ヨーソローニャ!」


 蒸気船は順調に南に向かって進んでいく。途中で、船に並んで泳ぐ魚が見えた。


「イルカかな?並んで泳いでいますね」


「わぁ、本当ですね!」


 アンナは喜んで見ていたが、その泳いでいる魚の違和感に気づいて真顔になった。


 並んで泳いでいた魚の正体は、【ゴリマグロ】だった。ゴリラの腕で器用にクロールして力強く泳ぐ様はなんとも言えない気持ちにさせてくれた。そして、夕食に出てくるゴリマグロを見て泳ぐ姿を思い出してしまうだろうことは容易に想像出来た。


「気を取り直して、呪牙島にレッツゴー!」


「お、おー!」


 10日後、島が見えてきた。


「島が見えたニャ!きっとあれが呪牙島で間違いないニャ!」


 航海士のナビが島を指差して報告する。


「おお、本当だ。それにしても禍々しい島ですね」


 島は周囲を牙のように尖った岩に囲まれており、その岩は紫色のオーラを放っている。島の真ん中は火山があり、溶岩が流れているのが見える。


 島の周囲の海には多数の座礁船が放置されている。この場所で座礁したら長くは生きられないだろう。

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