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 南に向かって、しばらく走るとナビが案内を始める。


「ここから真っ直ぐ南に向かうとサウスリンゴルがあるのニャ。もうお気づきだと思うけど、センターリンゴルの東にはイーストリンゴル、西にはウェストリンゴルがあるのニャ」


「つまり、ゴリンゴル獣国には5つの主要な街が存在するということですか?」


「そういうことニャ」


「なるほど、面白い国ですね。普通は川や鉱山の近くに村が作られて都市に発展していくものだと思ってました」


「難しいことはナビにも分からないニャ。とにかく真っ直ぐ南に向かうのニャ!」


 ナビの案内通りにとにかく南に向かって走った。ナビは案内のプロだけあって、何の変哲もない木を目印として利用したり、星を見て方位を確認し、5日後にはサウスリンゴルに到着した。


「ふぅ〜、やっと着きましたか」


「ここがサウスリンゴルニャ」


「暑い……」


「僕に水を!水をくださいー!」


「マルク君もう少しで街の中に入るから我慢してください」


「もう我慢出来ない!」


 マルク君が荷馬車を飛び降りて街に不法侵入しようとしている。


「やめなさい!」


 俺はマルク君の首筋をトンと叩き気絶させた。


「全く、いくらここが赤道直下で暑いからって門を強行突破したらお尋ね者になってしまいますよ」


 そう、ここサウスリンゴルは赤道直下である。エアコンも無い世界では暑さで気がおかしくなりそうである。


「あ、エアコンはないけど魔法はあるんでしたね。アイス!」


 氷を生み出して皆に配る。


「ありがとうニャ」


「ありがとうございます!氷が気持ちいい」


「氷サイコー、ボクは水魔法が使えないから羨ましい」


 マルク君には氷枕をプレゼントしておく。最初からこうしておけばマルク君が狂わなくて済んだのにと少し後悔したが、ちょっと面白かったから良し。


「門番が居るニャ」


 門にはキリン獣人とゾウ獣人が居た。


「お前達、何者だ!その変な乗り物はなんだ!?」


「俺達は冒険者です。獣王様から許可ももらってますよ。ほら」


 獣王から貰ったバッジを見せる。すると、門番はシュバッと最敬礼する。


「ももも、申し訳ありません!獣王様のお客様でしたか!」


「どうぞどうぞ!お通り下さい!この街の海産物は絶品ですぞ!」


 態度が急変した。獣王の権力は凄いんだな。


「海産物か〜いいですね!釣りもしたいけど、今は遊んでる場合じゃないですね」


 俺達はとりあえず宿を取った。宿の名前は海猫亭。海産物を贅沢に使ったディナーが自慢らしい。素晴らしい。


「よーし、宿の部屋も取れたし、今日は自由行動にしましょう!出来れば呪牙島の情報収集もお願いします」


「「了解!」」


 まずは市場に行き、海産物を見に行こう。何が売ってるか楽しみだ。


「らっしゃい!今朝獲れたばかりのゴリマグロだよ!」


「ゴリホタテ〜ゴリホタテはいかがですかー!?」


「ゴリラッコはいかがですか〜?かわいいですよ〜」


 ゴリラッコって何だ!?ゴリと付くだけで若干イメージが悪くなるのは偏見だろうか?


「あの、ゴリマグロってどれですか?」


「らっしゃい!兄ちゃんお目が高いね!これがゴリマグロさ」


 マグロから2本のゴリラ腕が生えている。どう見ても不味そうですね。そんなことを思っているとゴリラの腕がこちらをガシッと掴んできた。


「うわ!?」


「こいつは活きが良いだろう?まだ生きてるんだぜ?買っていくかい?」


「いえ、結構です」


 味は美味しいのかもしれないけど、見た目がヤバすぎた。宿の料理にもこれが入っているのだろうか?


「ゴリホタテくださいニャ」


 聞いたことがある声が聞こえてきた。しかし、聞かなかったことにしよう。あの猫はゴリトカゲの丸焼きすら食べていたのだ。ゴリホタテくらいなんとも思わないのだろう。そんなことを思っていると別の声が聞こえてきた。


「ゴリ骨はいかがッスかー!ペットのオヤツにどうぞ!」


「ワウ!?」


 ハティが反応している。


「これが欲しいのか?」


「ワン!」


「これ1つください」


「あいよ!オマケでもう1つ付けてあげよう」


 ゴリラの形をした骨を2つ手に入れた。


「はい、どうぞ」


 ハティに渡すと喜んで口に咥えた。


「あ、ところで、呪牙島のことを何か知りませんか?」


「えっ!?お、お客さん!こんな道の真ん中で言っていい言葉じゃないッスよ!」


「そうでしたか。すみません、ここに来たばかりでして」


「それなら次から気をつけなよ!」


 ここでは呪牙島の話題は禁忌(タブー)のようだ。これ以上は聞かないほうがいいだろう。その後は適当に買い物をして宿に戻った。


「リーダー!珍しいキノコを買った!海ゴリダケ」


 ルネが興奮気味に見せてきたソレはどう見てもクラゲだった。


「それはクラ……いや、なんでもないです。良い買い物しましたね!」


 わざわざルネの夢を壊す必要もない。黙っておくことにした。


「さて、呪牙島の情報は集まりましたか?」


「全然集まりませんでした」


「ボクも」


「僕は気絶してました」


「俺も全く駄目でした。これは直接行って確かめるしかないようですね」


「どうやって行くのニャ?島に行くには船が必要ニャ」


「多分、サウスリンゴルの船乗りに頼んでも断れる気がします。それならいっそのこと船を作ってしまいましょう」


「船が作れるのかニャ!?」


「出来ますよ。バイクの蒸気機関もありますしね。じゃあ、明日から船作りを始めましょう」

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