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 武闘大会後のお祝いパーティーは観客達も集まってきたせいで規模が大きくなり、人が人を呼び、最終的に住民たちも集まって盛大な宴に発展した。かかった費用はゴリラスに請求する予定だ。


 翌日、俺はゴリラスに問い正す為に、アンナ達と謁見の間を訪れた。部屋に入るとゴリラスが現れ、椅子に座る。


「まずは優勝おめでとう。まさか本当に優勝するとは思わなかったぞ」


「そうですか、しかし、約束は約束ですから国宝はいただきますよ」


「うむ、分かっている。準備は既にしてあるとも」


 ゴリラスが片手を挙げると、従者達が布をかぶせられた国宝らしき物を持ってきた。


 俺は布を取り払うと、獣王が以前約束した剣と靴だった。


 鑑定してみる。


獣王の大剣(アニマルキング)

 獣王となる者に代々受け継がれし名剣。装備した者のSTRが2倍になる。


獣王の脚(ワイルドフット)

 獣王となる者に代々受け継がれし靴。装備した者のAGIが2倍になる。


 どちらも、国宝級に凄い効果だな。


「大剣はアンナ、靴はマルク君が装備してください。ルネは今度何か考えますから、イジケないように」


「リーダー、約束は守るように」


「分かりました」


「コメットさん、ありがとうございます!」


「僕の素早さが2倍になったらどうなっちゃうんだろ……?」


 さて、そろそろ獣王に本題を切り出そう。


「ところで、ゴリラスさん。スティーヴンという料理人をご存知ですよね?」


「おお、スティーヴンか!武闘大会以来見ていないのだ。どこに行ったのやら」


「あの男とはどこで知り合ったのですか?」


「あやつはある日ふらりとセンターリンゴルに現れ、店を出した。店は評判となり、俺の耳にも届いた。そこで、城に招いたのが最初だったはずだ」


「そうですか、彼は旧帝国の料理人でした。そして魔王とも繋がりがあるように思います」


「なんだと!?スティーヴンめ、隠しておったか!」


 ゴリラスは拳を握りしめ怒りに震えている。


「そして、ここ獣王国で何かを企んでいたようです。それが何かは分かりません」


「奴の目的か……そういえば奴は呪牙島に興味があるようだったな」


「呪牙島ですか、そこには何があるんですか?」


「俺も詳しくは知らない。だが、王家の言い伝えでは強大な力を秘めた宝があるらしい。だが、それを守護するドラゴンが居て手も足も出せない状態だ」


「なるほど」


「獣王国は被害を最小限にする為にその島を封印したと伝わっている」


「封印ですか?」


「うむ、これはここだけの話だが、【獣王の大剣】はその封印を解く鍵だと言われている」


「そんなことまで教えちゃっていいんですか?」


「よい、どうせお前達にくれてやったものだ。いらなくなったら返してくれてもよいぞ」


「分かりました。不要になったら返しますよ。不要になったらね」


 スティーヴンが呪牙島に興味を持っていたのなら早く向かった方がいいかもしれない。


「それではそろそろ俺達はセンターリンゴルを出て南に向かいますね」


「うむ、旅の成功を祈る!」


 なんとなくゴリラスはスティーヴンに洗脳されてなさそうだ。そんな事を考えながら部屋に戻った。


「じゃあ、そういう訳だから出発の準備ができ次第南門に集合しましょう!」


「「「了解!」」」


 俺とナビは特に荷物が多いわけではないのですぐに準備して南門で待っていた。ちなみに蒸気バイクも移動済みだ。


「さすがコメットさん、早いですね」


 最初にアンナが来た。もうしばらく待つと


「お待たせしましたああああ!」


 ダッシュでマルク君が来た。お土産を大量に買ったようだ。それから1時間経ってもルネが来ない。


「遅いですねぇ。まさか迷子?それとも襲われたとか?」


 スティーヴンのこともあり、心配になってきた。


「ハティと俺が見てくるよ。ハティ、ルネはどこに居る?」


「わん!」


 ハティが走り出したので、後をついて行く。ハティは城に向かっているようだ。


 城の庭で停止するハティ。庭には、巨大なキノコを運ぼうと四苦八苦するルネの姿があった。


「ルネ……何してるのかは見れば分かるけど、何故きのこを持って行くんですか?」


「ハァ……ハァ……これはボクのきのこだから」


 そこに山があるから登る、みたいな事だろうか?


「帰り道にもここを通るんだから、その時に持って帰ればいいのでは?」


「……リーダーって天才なの?」


「いや、誰でも思いつきますよ。じゃあ、行きましょう。ハティに乗ってください」


 その後、ようやく南門で全員集合することが出来た。


「やっと出発出来ますね」


「みんな、ごめん……」


「気にしなくていいよ!ルネが無事で良かったよ」


 さすがアンナ。優しい。


「僕も許します。だから僕が遅刻した時も許してください」


 さすがマルク君。いつでも余計な一言を言ってしまうようだ。


「マルクが遅刻したら許さない。絶対に」


「ひいいい」


「じゃあ、出発しますよーケンカせずについてきて下さいー」


 コメリの一行は次の街サウスリンゴルに向けて出発するのだった。

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