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 次の日、獣王に呼ばれたので1人で謁見の間に向かった。


「ゴリラスさん、何か用でしょうか?」


「コメット殿、実はノースリンゴルから来た者から、とある噂を聞いたのだ」


「噂ですか?」


 アレのことかな?


「銭湯という素晴らしいものを作ったそうではないか?」


「ええ、宿屋に風呂がなかったので仕方なく作りました」


「このセンターリンゴルでも銭湯とやらを作って欲しいのだ」


 うーん、この城には風呂もあるし、銭湯を作る意味はあまり無い。何より面倒だ。


「うーん、このお城にはお風呂があるじゃないですか?」


「風呂はあるが、庶民は入れぬ。それに、シシカバブという料理が絶品だと聞いたのだ」


 なるほど、シシカバブにも興味があるようだ。


「銭湯を作るには土地と材料と労力が必要です。それに技術や知識もです。ゴリラスさんは対価として何を払うおつもりですか?」


「ううむ、良いことを思いついたぞ。武闘大会の優勝賞品に国宝をもう1つ足そうではないか!そうだな、国宝【獣王の脚(ワイルドフット)】にしよう」


 国王はどうせ俺達が勝てないと思って国宝を追加する案を思いついたようだ。つまり無料で銭湯を作らせようと思っているということだ。これは少しお灸を据える必要があるかもしれない。


「分かりました。それでいいですよ。その代わり正式な誓約書を書いてください」


「いいだろう!」


 面倒だけど、銭湯を作ることになった。だが、先日作ったばかりなので、作業自体は慣れている。コメリメンバーを集めて銭湯を作った。


 銭湯完成後、俺達は首都を離れ秘密の特訓を行った。特訓の内容はコメット対アンナ&ルネ&マルク君で戦い続ける事である。


 この特訓により、アンナ達はかつてないほど追い込まれ精神的にも肉体的にも強くなった。




 2週間が経過し、ついに武闘大会の日になった。ゴリンゴル獣国中から強者が集ってきたようだ。


 俺達は混雑する円形闘技場(コロッセウム)の付近に足を運んだ。


「武闘大会に参加する方はこちらで受付をして控室へ行って待機くださーい!」


「コメットさん、こっちみたいですよ!」


 アンナが受付の場所を見つけ、人垣をかきわけて進んでいったので後を追う。


「それにしても凄い獣人の数ですねぇ。獣人以外もチラホラと居るようです」


 意外と腕自慢の人族も参加するようだ。


「あ、本当だ。魔術師も居る。……負けられない」


 ルネの視線の先には魔術師風のローブの女が居た。


「俺はここで待っているので、参加の申し込みをしてください。さぁ、急いで!」


 アンナとルネとマルク君は参加の申し込みに行ったようだ。俺は、さっと路地裏のほうに行き隠遁のローブを装備する。


 そして、変装セットの付け髭、カツラ、カンフー道着を装備した。そして隠遁のローブを外し、ただの通行人のフリをして路地裏から出る。向かうのは武闘大会の受付である。


「すみません、参加を申し込みたいじゃが」


「あ、参加者の方ですか?では、お名前を教えてください」


「コメッ……あ、コメ仙人という者じゃ」


「コメ仙人ですか、参加受付が完了しましたので、Dブロックの控室で待機してください」


「ありがとうのぅ」


 コメ仙人はカンフーの達人という設定である。何故、こんな仮装までして参加するのかというと、パーティーの皆の戦いを特等席で見る為である。


 コメ仙人は円形闘技場の中に入って行った。

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