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 翌日、獣王の許可を貰い観光することにした。チンピラ獣人にも絡まれたりしないように獣国のバッジをつけるように言われた。ピカピカと目立つ大きなバッジを胸につけた。


 まずは、朝市を見に来た。


「獣王様印のバナナだよ〜!これを食べて獣王様のように強くなろう!」


「今朝仕留めたイノシシ肉だ!新鮮な肉ですよー!」


「世界一大きいキノコ?ゴリナラタケだぜ!?美味しいけど中毒になることもあるぜぇ!?」


 様々な店があるようだ。さすがはゴリンゴル獣国の中心地、食材も各地から集ってきているようだ。


「ゴリナラタケ!!買うしかない!」


 ルネが超巨大なキノコを見て涎を垂らしている。


「待ってください!中毒になるかもしれないですよ!」


 俺は必死に説得したが、ルネはもう止まらなかった。


「ゴリナラタケ1個ください!」


「まいどあり!」


「ルネ、そんな大きなキノコを買ってどうするの?城の部屋には入らないし」


 アンナがルネに正論をぶつける。ルネは正気を取り戻し、絶望的な顔になった。


「ゴリナラタケ……どうしよう」


「獣王にお願いしてどこかに置いておくしかないでしょう」


 巨大なキノコは一旦城の庭に置いてもらえることになった。だが、庭の雰囲気は怪しさが100倍になった。


「次は冒険者ギルドに行ってみましょう。強者が集まっていそうです」


 センターリンゴルの冒険者ギルドは大きな建物だった。木造だが大きな獣人でも出入りしやすいよう大きな扉が見える。


 冒険者ギルドに入り、いつもの癖で挨拶をしてしまった。


「こんにち「ワン!」」


 ギルド内に居た筋骨隆々の獣人達がこちらを振り向く。その中の1人が話しかけてきた。


「おい、ボウズ。肩に犬なんか乗せて、オリハルコン級冒険者の真似なんてやめておけ。初心者の時は地道に頑張る事が強さへの一番の近道だ」


「お騒がせしてすみません」


 オリハルコン級冒険者のフリをしている初心者だと思われてしまった。


 ここに来た目的は敵情視察である。武闘大会に出場しそうな者達がどれくらい強いのか見てみようと思ったのだ。


 併設された酒場の一番奥のテーブルにコメリ全員が座って観察を始める。


「強そうな人は居ますか?」


「全員強そうなんですけど……」


 マルク君から見たら全員強そうに見えるらしい。たしかにダンゴロウなんかは強そうだったな。


「あの獣人……強い」


 ルネが指差す方向を見ると、カバ獣人が居た。


 カバはかわいい見た目に反して動物界最強と言われるほど身体能力が高い。


 例えば、地球のアフリカでは、野生動物からの攻撃による人間の死者数は、カバによるものが最も多いと言われている。


 カバ獣人であれば、カバよりも更に強いだろう。


「カバ獣人ですか、大会に出るとしたら強敵ですね」


「あ、コメットさん!あの獣人さんも強そうっていうか怪しい感じですよ!」


 アンナが指差す方向を見ると、バ○トマンが居た。あ、日本語にするとコウモリ獣人である。


「コウモリ獣人は厄介ですよ。多分、鍛え抜かれた肉体と無尽蔵の富を使い高度な技術力によって作られたスーツが……すみません、これは違う星の話でした」


「リーダーはたまにこうなる。もう慣れた」


 ルネに謎のフォローをされてしまった。


 コウモリ獣人は底が知れない雰囲気を纏っている。だからきっと強いはずである。


「ひい!」


 突然、マルク君が悲鳴を上げる。


「どうしたんですか?マルク君」


「あそこのマッスル獣人が僕の事を見てウィンクしてきたんですけど!恐い!」


 マルク君はテーブルの下に隠れて震えている。


「それは気に入られたみたいですね。逃げますか?それとも立ち向かいますか?」


「立ち向かう選択肢はありません!こんなところ早く出ましょう!」


 マルク君がどうしてもと言うので、冒険者ギルドを出た。なかなか強そうな獣人が沢山居たので、明日からはコメリの皆を特訓してあげてもいいかもしれない。


「もうこんな時間ですか。城に帰りましょうか」


「了解です!」


 その日は、なかなか充実した1日だった。

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