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 次の日、旅の準備の買い出しや銭湯の経営者にシシカバブのレシピを渡したりして過ごした。ノースリンゴルの獣人達も今は家族同様に接してくれるようになった。


 そして最終日、ノースリンゴルを出発する日となった。町長や警備隊長のサイゾウが見送りに来てくれた。


「この町の為に色々としてくださり助かりました。ありがとうございます。ちなみにこれは超高級マタタビの報酬ですじゃ」


 手紙と包みを渡された。


「これはたしか最高級バナナ?」


「そうですじゃ。南のセンターリンゴルについたら、獣王様に手紙と一緒に渡すと良いでしょう」


「分かりました。ありがとうございます」


「俺様も警備隊長じゃなければ一緒についてってやるところだが、仕事があるからな。元気でやれよ!」


「サイゾウさんもお元気で」


 こうしてノースリンゴルを出発したのだった。


 蒸気バイクの旅はなかなかに快適ではあったが、川や谷があると担いで渡らなければいけないので面倒だと感じた。やはり飛行機か飛行船を作るべきだろうか?


 3日間、移動し続けると道路らしきものが現れた。


「おおー、道路だ。走りやすいですね」


「ボクの三輪バギーが火を吹くよ」


「そろそろセンターリンゴルが見えてくるはずニャ」


 すると、前方から巨大な玉が転がってくる。


「なんだろう?皆、一旦停止!」


 停止して見ていると、巨大な玉はゴロゴロとこちらに転がってくる。


「人族め!何しに来やがったー!」


 玉から声がする。このままだとぶつかるので身構えた。しかし、玉は直前で停止し、玉が展開されていく。現れたのは巨大なダンゴムシだった。


「ダンゴムシさん?」


「いいや、某はダンゴロウだ」


 ダンゴムシ人だったようだ。


「俺はコメットと申します。南に向かって旅をしております。この手紙と包みをセンターリンゴル獣王様に届けていただけないでしょうか?」


「むむ?良かろう。そこで待っていろ」


 巨大なダンゴムシ、いや、ダンゴロウさんは手紙と包みを受け取ると転がり去っていった。


「そこで待てと言われたから仕方がない。荷馬車で昼休憩にしよう」


 BBQをしながら待っていると、ゴロゴロとダンゴロウさんが戻ってきた。


「待たせたな。むむ!それは何を食べているのだ?」


「これはBBQです。美味しいですよ、食べますか?」


 そう言って、串を1本渡す。


「よいのか?むむ!これは美味!」


「それで、どうなりました?」


「獣王様はお会いになられるそうだ。ついて来い」


 転がるダンゴロウの後を追いかけて行くと複数の巨大ダンゴムシ人が警備をしていた。


 道路を進んでいくとセンターリンゴルが見えてきた。


「なかなか大きい都市ですね」


「センターリンゴルはゴリンゴル獣国の首都ニャ。経済、情報、文化、そして強者が集まる場所ニャ」


 コメットが感想を言うとナビが教えてくれた。観光するなら1ヶ月くらい滞在してもいいかもしれない。


 そんな事を話していると門の前まで着いてしまった。だが、案内されたのは獣人の並ぶ門ではなく、閉じている裏門だった。


「む!ダンゴロウだ!開けてくれ!」


 ダンゴロウが大声で門に叫ぶと裏門が開き始めた。


「この者達は獣王様の客だ!丁重に城まで案内されたし!」


 ダンゴロウは門の衛兵に指示を出すと、外の警備に戻って行った。


「お話は伺っております。ついて来て下さい」


 ドーベルマン風の犬獣人の衛兵がかなり速い速度で走る。コメット達は蒸気バイクの出力を上げてなんとかついて行った。

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