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次の日は、冒険者ギルドで町長の依頼を確認することにした。
冒険者ギルドの掲示板の依頼にはこう書かれていた。
【最高級マタタビの採集】
最高級マタタビを採ってきてほしいのじゃ。
達成条件:最高級マタタビの納品
報酬:最高級バナナ、町長の心の友になれる
場所:西の山
備考:最近、朱猿と呼ばれる赤い猿の魔物が襲ってくるらしいので注意
「あの町長、猫獣人でしたっけ。なるほど」
町長の私欲であれば、受けなくてもいいかと考えていると
「こ、この依頼は絶対受けたほうがいいニャ!いや、受けなきゃダメニャ!」
うちにも猫が居た。仕方がないので受けることにした。
「報酬が物凄く微妙だけど、受けてさっさと終わらせよう!」
「「「おー」」」
「気合い入れて頑張るニャアアアアア!」
西の山には魔物も居るので、走って行くことにした。走って1時間程度で山の麓に到着した。
「魔物の気配がしますね。しかも大量に」
「朱猿でしょうか?」
アンナが聞いてくる。
「赤いからそれっぽいね」
スキルで強化された視力ではっきりと赤い猿が見えた。
「ワン!」
珍しくハティが反応を示す。
「ハティ、朱猿を狩りたいのか?」
「ワン!」
食べたいのだろうか。
「食べたら腹壊しそうだから、倒すだけならいいよ」
そう言うと、ハティは猛スピードで駆け上っていった……ルネとナビを乗せたまま。
「ギニャアアアアアアア!!」
急発進による加速でナビの悲鳴が聞こえてきたが聞かなかったことにした。
しばらく見ていると、氷の山がニョキッと出来上がったり、火柱が上がったりしている。多分、ハティとルネの魔法なんだろう。
「さて、俺たちも登山しますか」
「そうしましょう!」
アンナも実は戦いたいみたいだ。そう思いながら、マルク君の首根っこを掴む。
「マルク君、今逃げようとしたよね?罰として最高級マタタビを見つけるまで帰れまテン」
「そんな!?誤解ですよー!」
マルク君の後ろに針状のファイアアローを1000本出現させたら、一瞬で山を登っていった。
山の頂上に行くと、マルク君がマタタビを100個ほど集めて置いてあった。
「マルク君、お疲れ様でした」
「人生で一番マタタビを取りました!」
それは間違いないだろうと笑ってしまった。しばらく山頂で待っているとハティとルネとナビが戻ってきた。
「ハティ、ルネ、ナビは満足しましたか?」
「ワン!」
「朱猿全滅」
「……ナビも全滅ニャ」
ナビはボロボロになっていたのでヒールをかけてあげた。
「ナビ、マタタビがこれだけあるけど、全部最高級のマタタビですか?」
1箇所に集めてあるマタタビの山を指差して聞いてみた。
「ま、ま、マタタビがいっぱいニャアアアア!!」
マタタビに突進しようとしたので止めた。
「正気に戻ってください!」
「ハッ!危ニャいところだったニャ。我を忘れてしまったのニャ。最高級マタタビは黄金色に輝いているのニャ!」
マタタビの山を崩して探してみると1つだけ黄金色に輝いているマタタビを見つけた。
「ニャアアアア!ナビがいただきニャ!」
「待て!」
最高級マタタビに飛びつこうとしたので、取り押さえる。このままでは暴れるので普通のマタタビを与えると大人しくなった。
「よし、マタタビを回収して帰りましょう」
「了解です」
ナビはハティに括り付けて、走ってノースリンゴルに帰り、依頼主の町長の家に向かった。




