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 翌朝5時、まだ街は寝静まっている。鶏獣人だけは起きているようであるが、声だけ聞こえて姿は見えない。


「素材集めは移動距離も長いし、俺とハティだけでやりますか!」


「ワン!」


 というわけで、少し遠くの森に行き、丸太を適当に持ってくる。本来は怒られるかもしれないが、住み着いている魔物の強さから考えて人が来ない場所だからきっと大丈夫であろう。


 とりあえず、ノースリンゴルの外の空き地に木材は集めておいた。そろそろ、皆起きる時間である。宿屋に戻り、コメットの部屋に全員を集める。


「はい、では各自の役割を発表します。まずマルク君は町長のところに行って銭湯を建ててもいい場所を聞いてきてください。お金が必要だったら払っておいてください。はい、走って!」


「はい!いってきます!」


 マルクくんは窓から飛び出して町長の家に向かって行った。


「じゃあ、ルネは火魔法で丸太の表面だけ焼いてください。防腐処理です」


「アンナは俺と一緒にログハウスを作る手伝いをしてください」


「「はい!」」


「ハティはヴァリアスまで走って、銭湯を経営出来る人材を連れてきてください。この手紙をセバスチャンに渡せばオーケーです」


「ワン!」


「はい、作戦開始!」



 30分後、マルク君に案内された場所は街の真ん中でなかなか良い立地だった。


 その場所で俺とアンナは並んで立つ。


「コメット30分クッキング!皆さま、こんにちは。今日はみんな大好き銭湯を作っていきたいと思います」


「アンナもお風呂が好きなので、頑張りたいと思います」


「まずは、樹齢1000年の魔スギの丸太を30本用意してください」


「コメット先生、樹齢1000年であることが重要ということですか?」


「はい、これくらいの大きさと頑丈さがあると良いかと思います」


 ルネが丸太を加工し、コメットとアンナがそれを組み立てることでログハウスの四方の壁が出来上がっていく。


「壁が出来上がりましたら、次は屋根です」


 屋根は丸太ではなく板を使う。


「さあ、屋根が出来上がりましたので、後は内装やドアの設置などを行います。ああ、銭湯なので大きな煙突と風呂を忘れてはいけません」


「アースウォール!煙突バージョン!」


 大きな煙突が出来上がった。屋根は煙突の箇所だけ開けてある。


「ロックウォール!風呂バージョン!」


 100人程度が入れる風呂を2つ作った。


「完成です!今回は銭湯の作り方をご紹介しました。是非お試しください!」


 周りに見学に来ていた獣人達は口をポカーンと開けて放心状態のようだ。可哀想なので、風呂を体験してもらうことにした。


「銭湯ですよー今日だけ無料ですよー!他の人にも教えてあげてくださいね」


 宣伝をした後、風呂をゆっくり楽しんだ。


 明日は町長の依頼を受ける予定だが、どんな難題を押し付ける気なのか検討もつかない。

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