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町長の家は宿の女将さんに聞いたので迷うことなくたどり着いた。
「こんにち「ワン!」」
「コメット殿、わざわざ来ていただいて申し訳ない」
「いえいえ、それでどうして呼んだんですか?」
「ここから南に行くと聞きましてな。コメット殿の目的次第では、わしが協力しようと思うんじゃが、どうじゃろうか?」
「協力……ですか?」
「ゴリンゴル獣国は種族や宗教で迫害された歴史があるのですじゃ。つい5年前も帝国に武力で従わされたことで人族を警戒しているんじゃ。次の街でまた襲われないように協力するということですじゃ」
「そういうことでしたか。俺達の目的は『呪牙島』という離島に行くことです」
「なんと!?『呪牙島』と言ったか?あそこは止めておいたほうがいい!以前、優秀な冒険者が何人も挑んだが帰って来なかった場所じゃぞ!」
「大丈夫ですよ。魔王も倒しましたし、オリハルコン級冒険者ですから」
「ううむ、わしには判断がつかん。だが、協力しない理由もないようじゃ。次の街でこの手紙を渡すのじゃ」
町長の手紙を手に入れた。
「ありがとうございます!4日程滞在したら出発しますので」
「そういえば、コメット殿は冒険者でしたな。1つ依頼したいことがあるんですじゃ。冒険者ギルドに依頼しておくので出来れば受けてくだされ」
「分かりました。確約は出来ませんが見てみます」
「ありがとうございます。よろしく頼みますじゃ」
宿屋に戻った。
「コメット様、おかえりなさいませ」
「女将さん、お風呂ってあります?」
「獣人はお風呂に入る文化はないんですよ。シャワーならあります。場所は案内図がありますのでご確認ください」
「分かりました。ありがとうございます」
そうか、風呂がないのか。無くなって初めて気づく大切さとはこのことか!
「アンナ、ルネ、マルク君、君たちは風呂に入りたいですか?」
「はい、ここにはシャワーしかないと聞いて少しガッカリしました」
「ボクも風呂派」
「僕はシャワーでもいいかな〜って……ハッ!コメットさんから無言の圧力を感じる!?断然風呂がいいです!」
「ナビは風呂とシャワーどちらが好きですか?」
「どちらも嫌いだニャ!毛繕いしているから不要なのニャ」
「猫だった!」
アンナはオーバーリアクションでずっこけている。
「よし!決めました!この街に銭湯を作りましょう!最高のやつを!」
「「「イエス、サー!」」」
こうして、ノースリンゴルに銭湯を作る計画が始動するのだった。果たして4日で作れるのだろうか?町長の依頼はどうなるのだろうか!?




