〜プロローグ〜 「転移」
「はぁ…はぁ…」
そこにはボロボロの男と満面の笑みを浮かべている男がいた。
ボロボロの男は握っている剣を地に刺し、うつ伏せになっている。
もう一方の男は彼に対してこう呟く…
「まだ耐えれるだろう?」
だが返事は返ってこない。
指は微かに動いている、確実に生きているのだ。
返事の代わりと言う訳かその男はもうほとんどない気力を振り絞り、剣に体重を乗せ、立ち上がろうとする。
が立てない。
その足はまるで生まれたての小鹿と言ったところか。
立ち上がる気力はなくとも、彼の目には闘志が宿っていた。
だが立ち上がろうとし、また地に顔をつけた瞬間、その瞳から闘志と影が消え、その場に残ったのは深い絶望。そして静寂。
彼は頭の中でこう考えた。
一一ダメだ…
剣を握るその手は血が滲み、小指と中指が折れており、有り得ない方向に向いていた。
そして相手は静寂に耐え切れないのか、切り裂くようにこう言った。
「ほら、立て。」
切り裂くように静寂に割って入ったが残るのは、反射した微かな音と、寂しさだけ。
もう片方の男は声は出せないが頭の中で返事をする。
一一もう立てねぇよ…
そんな事を考え、なぜこんな事になったのか頭の中で反芻する。それはまさに走馬灯。
過去にすがるように。
彼の絶望に対しての精一杯の足掻きだろうか。
だとしても、この状況は変わらない。
最後に映ったのは、自分が犯した罪。
そうだ。最初から、こんな事に首を突っ込まなければ良かったのだ。
彼はそう考えた。だが諦めるのはまだ早いと、この状況を打破する鍵を探している。
けれどそんな彼に対しての無慈悲な通告が響く。
「そうか。立てないのか。なら死ぬか?返事はできないのだったな。なら死ね。」
そう言った途端、男の手に光の粒子のようなものが集まりだす。
彼は死を確信した。
光の粒子が集まりきったようだ。
そして男はその光の粒子を放った。
だが放たれてからわずか0.2~3秒のその瞬間彼の中で何かが吹っ切れたようだった。
生命力を削りながら立ち上がり、さらに強く剣を握り、大声を上げながら男の元へ駆け出す。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
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ここは夕日が差し込む教室。
時間的には放課後だろうか。
ここには一人、男が寝ているだけで他に誰もいない。
その男の特徴と言えば、
高身長で、肌が異様に白く、髪の毛を後ろ側に結べるほど髪が長い。
だがしっかりと整えられていて、男の髪とは思えない。
目はそんな女のような真っ白な肌、艶やかな髪と違い、男っぽさが溢れているが冷たさを感じるものだった。
こんな言葉だけで言えばイケメンのようだが至って普通。
可もなく不可もなくのまさに「凡庸」だった。
話を戻すが、この教室の静けさに相対して外は部活などの活気で溢れて、とても騒がしかった。
ーーガタンッ‼︎
男は急に起き、立ち上がった。しばらく驚いた顔をしていた。
少し外の方を眺めてからあくびをし、少しなにかを考えるような仕草をした。
そして誰かが聞いてるわけでもないのに、声を張り上げた。
「外見ててもしゃーねぇか。時間だし、バイト行くか。」
この声の主、シノミヤユウは一目散に教室を抜け出した。
そして校舎から出てすぐに何か違和感を感じた。
ーー何か教室と違う。
「あんなに部活に励んでた奴らの声が聞こえてたのに。なんなんだ?」
やはり印象がさっきまで活気溢れていた外と違い、何か寒気を感じるような、不気味な雰囲気に溢れた。
「気にしてても仕方ねぇ。さっさとバイト行くか。」
そう決心した瞬間。
ーードクン!
心臓が跳ね上がるような鼓動を刻んだ。
そして急激に心拍数が上がりだす。
ーードクン!
咄嗟に胸を押さえ、その苦しみを紛らわすように転がり悶える。
「うっ…うぁ…ど…どうした俺…急に鼓動が早くなったな…少し走っただけでこんな心拍数上がる訳ないだろ…」
そんな事を言っていると急に視界がぼやけ始めた。
それと同時に耳鳴りがする。
キーン!ととてつもなく激しく、自分の心臓の鼓動と混じり合い、とてつもなく不快な音になっていた。
耳鳴りが治る頃には視界が閉ざされ、意識が消えていた。
そして意識が戻り、目を開けた。
すると…
「なんだよ…これ…」
するとそこにはーー
まさに異世界。と言わんばかりの、
元が学校だったのを忘れさせる、中世のような街並みに変わっていた。
なんか適当に書いてた小説をアレンジして、内容を膨らませて書いてます。あんま語彙力ないんで稚拙な文章でも許してくだせぇ旦那。