11
「お前は何やってんだ!ああ!?」
俺の胸倉を掴むのは親友で同期である大輔だ。
今さっき小田桐さんに過去を打ち明けた。
あの場は陣内さんに任せて、俺は公園を後にしていた。
そこで待っていた大輔に胸倉を掴まれているわけだが。
「テメェ!小田桐さんに何したんだ!?返答次第じゃ殺すぞ!」
久しぶりにキレた大輔を見たな。
大輔がここまでキレるほどに、小田桐さんは溶け込んでいたのか。
「分かった。親友のお前には全て打ち明ける」
「おお」
俺は大輔に全てを打ち明けた。
過去に小田桐さんを襲い、心に深い傷を負わせたと。
俺が今まで小田桐さんに接してきたのは、過去の罪悪感からだと打ち明けた。
「テメェ!歯ァ食いしばれぇ!!!」
大輔に左頬を殴られる。
殴られた衝撃で口の中が切れたようだ。
これくらいで罪に対する贖罪にならないことは分かっている。
「嘘ついてんじゃねーぞ!俺がお前の親友何年やってると思ってんだ!ああ!?」
大輔に再度胸倉を掴まれ、俺が嘘をついていることを見抜いているようだ。
さすが10年近くも親友をやってるだけあって、俺の嘘に気づいたか。
いいよ。
お前には全部話すよ。
「お前…。お前はそれでいいのかよっ!」
「良いも何も、俺が行ったのは明らかな犯罪行為だ。許されるわけにはいかない」
「そうじゃねーだろ!」
大輔には全てを打ち明けた。
真実を知った大輔は、やり場のない怒りに頭を振っている。
「それじゃ二人とも悲し過ぎるだろーが…」
「すまん…」
俺のために悲しんでくれるのか。
ホントに良い親友を持ったものだ。
「なんでホントのこと話さねーんだよっ!」
「真実がどうあれ、俺が小田桐さんを傷つけたことに変わりはない」
「っ!この頭でっかちがっ!!」
これが俺のやり方だ。
これ以上は黙っていてもらおう。
いくら大輔でも部外者だ。
「もし…悠里くんかな」
「あなたは…」




