第4話 休息
僅かな時間ですが、お休みを頂戴することになった曽根です。
休むと言ってもどうするかな、バッティングセンターでも行くかな。
下らない事でも考えながら正門を出た。
時間的には・・・・・・てか、夕方に出かけるとか有り得ねえだろ。仕方ない、飯食って帰ってくるか。
駐屯地を出てすぐ近くの大衆食堂に立ち寄った。
「おばちゃん、焼きうどん」
「はいよー」
湯気が上がるできたての焼きうどんを食べながら、スマホの画面を見る。
焼きうどんを食べ終わる間際、携帯の着信音が響く。
相手は小久保2佐。
「こちら曽根」
『小久保だ。今何している』
「夕飯食ってます。良人食堂」
『ああ、あそこか。そんな事は良い、戻って来れるか?』
「もう終わるんで、戻れますけど」
『なら、すぐ帰ってこい。先程の港の件分かった事がある』
「了解」
焼きうどんを平らげ、駐屯地に戻り幹部事務室に行くと自分の席に古久保2佐が座っていた。
「ここにいたんすか古久保2佐」
「早いな。曽根」
「なんでそこ座ってんすか」
「何か問題でも?」
面倒くさいなこのロリ2佐。
「一応儂の席なんすっけど?」
「貴様上司を立たせようって言うのか?」
「自分の部屋あんでしょうに・・・・・・」
「あそこはどうも居心地悪くてな」
「それは俺にどうこうできる問題じゃないです。所で情報ってなんすか」
「色々ある」
色々って事は結構あるということか。
嫌な事じゃ無きゃいいが。
「聞きます」
「まぁ、ここじゃなんだ。会議室行こうか」
場所を幹部事務室から会議室に変えて、古久保2佐が話し始めた。
「まずは、あの港の話からするか」
「なんか分かったんすか」
「だから話すんだろう?」
だったらはよ話せやと口走りそうだったがなんとか堪えた。
「曽根が港から連れ帰ってきた女の子いるだろ?」
「ああ、愛華の事ですか。愛華の事を女の子扱いするんすね」
「当たり前だ私からすれば拳だけで勝てる。と言うか愛華っつーのかあの子」
「怖っ。俺が勝手に付けました」
「それはいいんだが、彼女が面白いことを話してくれてな」
「面白い事?」
「あの港に運び込まれた物、情報が何処に行く予定だったかだ」
「それは何処に?」
「どうやら政府のどこか・・・・・・らしい」
「それならサクラが出てもおかしくないっすね」
「私と博也の見解では化学部か法務部では無いかと推測した」
それなら少し納得できる。正直ほかの政府連中に興味は無いがどこの部も黒い部分が多過ぎる。
下手をすれば何か悪い事を企んでいる所も無きにしも非ずの状態だ。内閣本部と法務部の死角の所で。
「その話を聞いて私はサクラ部隊が襲撃した後の港に諜報員を送ってみたんだが、輸送船が停泊していた場所に警察部の警備隊が居た。恐らくだが何かを探しているかしてるんだろうな」
「何かを探している?」
「詳しくは分からなかったが彼女曰く、粉と液体じゃないかって話だ」
「粉と液体?」
「恐らく何かの薬か何かを作る目的だろう。それも非合法的な薬をな」
それなら摘発に警察が動く筈だが、そんなものサクラを使わずとも解決する話だが。
「じゃあ何か他の事が絡んでるとでも言うんですか?」
「そこまでは分からん。次だ。お前さんが入手したパソコンの情報だが、情報部隊の分析の結果あの石油タンカーが輸送船団の中枢だったようだ。事細かに他の輸送船の船長、船員、それぞれの積載内容がわんさかだそうだ」
なるほど、愛華が乗ってるのも納得出来るな。
「さっき言った粉と液体の正体も分かった。」
「殆どが覚醒剤とアドレナリンだった?」
「ご名答。しかし、その中に少しだけクロロホルムがあった」
「クロロホルム?」
「これが一番謎だった。博也に調べてもらっているが今だに分からん。曽根の調べている『特殊能力』に繋がるか分からんがとりあえずこれが今の分かっている事だ」
「なるほど分かりました。ありがとうございます」
「あとそのクロロホルムについて調べてもらいたいが動けるか?」
「異常無く」
「期日については明日だ。頼むぞ」
「了解」
少しの休みを得た自分は再び任務に就く事となった。
次回、女子高生登場