第2話 隠蔽
次の船に乗り込んだ曽根は突如として現れた女性と戦います
おっとと!
少し風吹いてるから落ちるとこだった。
バランス取り直したのも束の間だった。
向こうのタンカーでの行動を見られたか知らないが警備兵5名が自分を囲んでいる。幸いにも全員銃では無くナイフだった。
「お前ら本当に警戒員かよ」
「うるさい!貴様、何者だ」
訛りがあるな、中国人か?
「秘匿すべきなんでね。来ないのであればこちらから行くぞ!」
瞬時に中華包丁で、警備兵を斬った。
斬られた警備兵は崩れ落ちる。
「や、殺れ!」
指揮官らしき人物が指示を出す。
警備兵がナイフを振り上げて同時に襲いかかる。
それを中華包丁で捌き、斬る。
「あとはお前だけだが?」
「く、くそ!」
警戒長が何者かと連絡をしようとしたのが、素早く中華包丁を振り下ろし、警戒長を斬った。
警戒班長はその場に崩れ落ちた。
よしっ、とりあえず索敵するか。
望遠ゴーグルを付けて辺りを見渡す。
すると船首の逆から多数の人がこちらに向かってくる。
数が増えて、ざっと10以上はいるか。
仕方ない。
自分は中華包丁を構え直して、増援を次々と斬って行く。
最後の一人を斬り殺して、甲板を制圧した。
さて、ここも情報は操舵室か?
「下入」
『こちら下入です』
「爪の情報は操舵室か?」
『爪の目標はタンカー内の積荷の写真だそうです』
「了解」
タンカー内に侵入して積まれている木箱を開ける。
中は獣と変わらなそうだがこれは覚醒剤か。
中身の写真を撮ると甲板を出た。
「タンカー級は終わった」
『了解です。次の目標に向かって下さい。そこからだと戦艦級の方が近いです』
「了解その前に客が居るようでな片付けてからにするわ。後、ロリ2佐に特殊任務じゃねえかって伝えておいてくれ」
『いや、急にどうしたんですか!?客って・・・・・・』
下入の心配を他所に無線消しながら船首を見やる。
そこには二丁の拳銃を腰に付けている女がいた。
「こんな昼下がりになんか用か嬢ちゃん」
無言か・・・・・・。
そう思うのも束の間、女が拳銃を抜いて発砲して来た。
瞬時に貨物に隠れた。
危ねぇ・・・・・・貨物が無かったら死んでたな。
さて、発砲して来たという事は敵として認知していいわけだ。
殺しても構わんな。
装備はグロッグ17か。
「嬢ちゃん何者だ」
「・・・・・・」
はい、無言。
けど撃ってくんだよな。弾切れまで待つか。
連続した発砲音が切れた瞬間、片方の中華包丁を構えて斬り掛かる。
が、女の最速リロードされたグロッグ17がすぐに火を噴いた。
自分は瞬時に中華包丁で弾丸を防いだ。
銃声が鳴り止み中華包丁を構え直した瞬間女が消えていた。
すると、自分を飛び越えた女が後ろに立っていた。
おいおい、どんな身体能力してんだ偉い高いジャンプとかよ。
そう思いながら、女が撃つ前に中華包丁を盾にした。
喧しいなグロッグ。
弾丸を防ぎながら少しずつにじり寄った。
間合いまで来た瞬間、グロッグ17目掛けて斬りあげ、破壊した。
女がもう片方のグロッグを構ているが撃てない距離に間合いを詰めたので撃てない。
その隙にもう片方も斬り壊す。
「さて、そろそろ観念してもらおうか・・・・・・」
女は最後の足掻きか分からないが、暗記の鉤爪を取り出した。
「どんだけ武器持ってやがんだ!!」
「・・・・・・流石はあの人が言う程の男だ」
喋った。てか、喋んだなこいつ。
「あの人って誰だ」
「答える訳ないだろう。死ね!」
そう言いながら鉤爪を構えながら特攻を掛けてきた。
それを中華包丁で捌く。
「んじゃまぁ、ゆっくり話してもらうわ」
鉤爪に当たらないように受け止め、腹部に思いっ切り鉄拳を喰らわせた。
「がはっ・・・・・・!」
女はモロに強い打撃を腹に受けて呻いて気絶した。
よしっ、片付いたな。
おっ、丁度無線が。
「こちらスラッシャー」
『大丈夫ですか!?』
「おう。少し客人が居てな」
『それは良かったです。それと、直ぐに港から離脱して下さい!特殊警察部隊が動いたとの事です!今、回収ヘリを要請しました』
「特警出たということは・・・・・・隠蔽か?」
『目的は分かりません。とにかく古久保2佐が早急に退けとの事です』
「了解」
特殊警察部隊通称「サクラ部隊」と呼ばれる防衛隊の中で主に国内の治安を守る為に動く部隊防衛隊警察部隊の中の特殊部隊。
それが出たっつー事はこの案件は防衛部内でも相当な訳か。
この女どうするか。放って置いてサクラ共に抹殺されかねんから連れてくか。
しばらくして菊部隊のヘリが到着し、女を抱えてヘリに乗り込んだ。
ドアを閉めようとした時、10機位のヘリコプターとすれ違った。
黒いサクラのマークが全ヘリに書かれている。
あの漁港沈んだな。
そう哀れみながらヘリのドアを閉じた。
座席に着こうとして、振り向くと女が起きて戦闘の構えを取っていた。
「ヘリの中で暴れるな」
女は自分の言葉を無視して、殴りかかって来た。
それを受け止めて腕を後ろに回して手錠をかけた。予め暗器回収しといて正解だったな。
手錠をかけられた女は諦めでも着いたのか大人しく座席に座った。
それを見て自分も座席に座った。
それにしてもサクラ部隊が来る程不味いものがあったのだろうか。
獣のパソコンの中にあった情報も特に何かある訳でも無かった。
「嬢ちゃん、なんか知らん?あの船に乗ってたって事は何か知ってるんだろ」
「私は雇われただけだ」
「雇われた?」
「言えるか」
女はそれっきり黙ってしまった。
諸々後でロリ2佐に聞くか。
『間もなく駐屯地到着します』
「ま、後は家でゆっくり話せや」
ヘリが着陸するとドアを開けた。
女を下ろし、身柄を引渡した。
「そうだ、嬢ちゃん名前聞いてなかったな」
「名前は無い。雇い主からシリアルって呼ばれていた」
シリアルね。
「んじゃあ、くれてやるわ。愛華にしとけや」
「ふんっ」
うわっ、愛想の欠片もねえ。
連れてかれる愛華を見送って自分も結果の報告書やら後処理の為に事務所へ向かった。
警察系特殊部隊のサクラが出て謎か深まった曽根でありました