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特殊精鋭部隊リーダーの高校生VRMMOで最強に  作者: 暁 龍弥
3章

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「影の城の“使い”が来る夜」

その夜は、いつもより風が強かった。


カーテンが揺れるたび、

三人の胸の奥に嫌なざわつきが広がる。


アリアは窓を閉めながら言った。


「今日は……影の気配が濃いのじゃ」


セレナは机に座り、

ペンを握りながら感じていた。


「学校に現れたやつより……

もっと“はっきりした意志”がある」


リオナは手をぎゅっと握って言う。


「先輩が呼んでくれた“ただ……”

……あれがあったから、今日は怖くないです」


影クオリアは、

三人の前で静かに揺れていた。


ホワイトボードに文字が浮かぶ。


《今日は 来る》


3人の呼吸が止まる。


《普通の影じゃない》


《“使い”が来る》


アリアが眉をひそめる。


「“使い”とは?」


影の揺れが一瞬だけ鋭くなった。


《王の器を取り戻すための影》


《俺を 影城へ 引きずり戻すための使者》


セレナの声が震える。


「……じゃあ……今日は

“クオリア兄さんを連れに来る”ってこと?」


リオナは即座に前へ出る。


「絶対に渡しません……!!」


影クオリアは言葉を重ねる。


《お前たちを狙う可能性もある》


《“影の王の心”と認識されている》


三人は一斉に息を呑んだ。


(影の王の……心……?)


その認識の重さが、胸にずしりと落ちる。


アリアは、

その重さを真っ向から受け止めた。


「妾は兄者の心で構わん」


セレナはためらわず言う。


「それを否定する気なんてない」


リオナは胸を張って宣言する。


「むしろ誇りです!!」


影クオリアの揺れが、

一瞬止まり――

耐えきれず震えた。


《……ありがとう》


そしてその瞬間――

玄関の向こうの空気が、

“折れる”ように歪んだ。


 


◆ 影の使い、来訪


家の照明がふっと揺れ、

影が床に滲むように伸びてきた。


最初は細い線だった。

次第に太く、濃く、重く。


アリアが低く呟く。


「……来たのじゃ」


セレナは影を凝視する。


「感情が……ない。

空っぽ。

ただ命令だけで動いてる……!」


リオナが拳を握る。


「私たちが“心”として狙われてるってことですよね……

でも、絶対に負けません!」


影が立ち上がる。


人の形に“似せている”だけの黒い塊。

顔も足も曖昧で、

ただ黒い闇をまとっている。


その影が口のない部分を動かし、

声を響かせた。


『王を 返せ』


アリアが前へ出る。


「返さんのじゃ」


セレナは影をにらむ。


「兄さんはここにいる」


リオナは即答する。


「ここが先輩の家です!!」


影は無表情のまま、

手のようなものを伸ばした。


『心も 奪う』


瞬間、

アリアの体が横に飛ばされた。


影の腕が、アリアのいた場所を

地面ごとえぐるように凹ませる。


セレナが声を上げる。


「反応が速い……!!」


リオナがアリアを支えながら叫ぶ。


「大丈夫ですか!?」


アリアは立ち上がり、悔しそうに唇を噛む。


「兄者から教わった動きが間に合わんかったのじゃ……!」


影クオリアが、

三人と影の使いの間に立つように揺れた。


ホワイトボードに文字が走る。


《後ろに下がれ》


《こいつは強い》


アリアが首を振る。


「妾は下がらぬ!

兄者を奪われるくらいなら死ぬ方がマシなのじゃ!」


セレナもその隣に立つ。


「兄さんを連れて行かせる気はない」


リオナは震えながらも笑った。


「守らせてください!!

私たち、昨日より強いんですよ!!」


影クオリアは、

その言葉を飲み込んだように震え――

ついに声をこぼした。


――ま……


三人が一斉に影を見る。


(今……“ま……”?)


アリアの胸が跳ね上がる。


(“守りたい”……?

それとも……)


影クオリアは声を続けようとした。


――ま……え……


三人の心臓が止まる。


“名前”に近い。


“誰かの呼びかけ”に近い。


アリア、セレナ、リオナ。

三人とも“名前の最初の音”に“ま”はない。


つまり――


(兄者、自分の名前を……言おうとしたのじゃ……)


その瞬間、影の使いが動いた。


 


◆ 三人の覚醒


影の腕が三人に向けて伸び、

床を裂きながら襲いかかってくる。


アリアは無意識に踏み込んだ。


体が軽い。

世界が遅く見える。


「……速さが……上がってるのじゃ!!」


セレナは影の動きを読み切る。


「右から来る!

揺れ方が“怒り”に変わった!!」


リオナは影に突っ込む。


「なら、攻撃できる瞬間!!」


三人の能力が、

“本気”になった。


アリアが踏み込み、

セレナの“影感覚”が導き、

リオナが“影への耐性”で突き破る。


影の使いが、

初めて揺らいだ。


『……王の 心……』


アリアが叫ぶ。


「兄者の心は渡さん!!」


セレナも言い切る。


「兄さんの帰る場所はここ!」


リオナは涙を流しながら突撃する。


「先輩は私たちの世界にいるんです!!」


影の使いが崩れかけた瞬間。


影クオリアが、

はっきりと、声を放った。


――来るなッ!!


三人の動きが一瞬止まり、

影の使いの動きも止まった。


その声は

怒りよりも、

恐れよりも、

ただただ――


「守りたい」という叫びだった。


影が大きく揺れ、

ホワイトボードに強く文字を叩きつける。


《頼む》


《俺のために死ぬな》


《お前たちがいないと 意味がない》


三人は涙をこらえながら叫んだ。


「兄者!!」


「兄さん!!」


「先輩!!」


影クオリアが震える。


《逃げろとは言わない》


《でも死ぬな》


《生きてくれ》


アリアは拳を握った。


「妾たちは死なん!!」


セレナは泣きながら笑う。


「死ぬ未来なんて、選ばない!」


リオナは叫ぶ。


「先輩の“名前”を聞くまで死ねません!!」


影の使いが最後の力で襲いかかった瞬間――


三人の視界が一瞬白くなり、

影の使いが霧のように崩れ落ちた。


攻撃したのは三人ではなく――


影クオリアだった。


床の影が一斉にうねり、

“王の威圧”のような力で敵を押しつぶしたのだ。


影クオリアは、

その場で大きく揺れ、

かすかに声を残した。


――く、お……り……


三人の胸が震えた。


(兄者の名前……!

“クオリア”を……言おうとしてるのじゃ……!)


影クオリアは力尽きたように揺れ、

ホワイトボードに最後の文字を書いた。


《守らせてくれ》


《俺も お前たちのそばにいたい》


 


三人は涙でぐしゃぐしゃになりながら、

影の前に膝をついた。


「兄者……!」


「兄さん……!」


「先輩……!!」

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