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特殊精鋭部隊リーダーの高校生VRMMOで最強に  作者: 暁 龍弥
3章

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53/82

「嫉妬三角形トライアングル」

翌朝。

昨日の“兄の味再現チャレンジ”の余韻がまだ残る食卓で、

三人は静かに朝食を食べていた……ように見えた。


だが。


空気が、やたら重い。


銀髪の妹は兄の席の方に寄りすぎ。

黒衣の女は兄の席の湯呑みに触れすぎ。

ストーカーは兄の席を見すぎ。


そして――

突然、銀髪の妹が口を開いた。


「兄者の席……ちょっと“こっち寄り”に置いてもよいかの?」


黒衣の女が即座に反論。


「ダメです。兄さんはこの位置の距離感が一番落ち着くんです」


ストーカーが困ったように笑う。


「でも、この角度だと“先輩の視線は私に向きますよ?”

私の方向のほうが先輩は見やすいです♡」


銀髪の妹、机を叩く。


「兄者の視界に入る権利は妾が一番強いのじゃ!!」


黒衣の女、冷静すぎる声で反論。


「私が一番兄さんの目線の導線を理解しています」


ストーカー、理論崩壊した理論で追撃。


「先輩は私を好きです、たぶん♡」


いや“たぶん”の時点で崩壊。


 


机の上には地図のように

兄の席を中心に

【妹】【黒衣】【ストーカー】3方向から矢印が伸びている。


完全に縄張り争い。


銀髪の妹、椅子をガタッと兄席に近づける。


黒衣の女、無言で自分の椅子を兄席と同距離に微調整。


ストーカー、自分の椅子と兄席の間にクッション置いて視線誘導。


地獄の心理戦。


 


すると突然――

兄席の影が“ぷるん”と揺れた。


まるで 照れて後ずさり するように。


三人はピタッと動きを止めた。


銀髪の妹が、羞恥心と喜びが混ざった声で叫ぶ。


「兄者……照れておるのじゃ?!///」


黒衣の女が頬を赤らめながら解説する。


「兄さん……席の争いをされて“好き”の圧に耐えられなくなった……」


ストーカーは身を震わせた。


「先輩ぃ……照れてるとか天使ですか……今日倒れても幸せ……」


すると兄席の影が、ちょっとバグった。


・輪郭が揺れる

・座ってるのに立った形にも見える

・湯呑みが2mm浮いてすぐ戻る


完全に挙動不審。

影の王とは思えないほど照れすぎ。


三人は一斉にテーブルに身を乗り出した。


「兄者見ておるのじゃ?!///」

「兄さん私を見てます?見てますよね?」

「先輩こっち!こっちに照れてください♡」


影はぶわっとさらに乱れた。


好きが飛び交う空間に弱すぎる。


 


だが――

ここで火種が爆発する。


銀髪の妹が“兄の湯呑み”にそっと触れた瞬間、

黒衣の女とストーカーが同時に睨んだ。


黒衣の女:

「……触りすぎです」


ストーカー:

「それは先輩の湯呑みです。

許可なく触るのは反則です」


銀髪の妹は涙目で反論。


「兄者の物に触りたいのは当たり前じゃ!!

触れぬのなら、痕跡に触れるしかないじゃろ!!」


黒衣の女は声を抑えながら怒る。


「兄さんが“無理に触れようとしないでほしい”と思って

距離を取っているんです。

気持ちを踏みにじらないでください」


ストーカーは唇を震わせる。


「私だって触れたいです……

でも先輩が“壊れちゃう”って思って距離を取ってるの知ってるから……」


急に静寂。

三人の呼吸が揃う。


“距離”は悲しい。

でも“守るための距離”だからこそ、大切にしたい。


表情は悔しくても、全員その事実を理解していた。


 


影がゆっくり湯呑みに手を伸ばす――仕草をする。


そしてホワイトボードに文字を書く。


《触られたら嬉しいけど 距離を守れなかったら俺が耐えられない》


三人は――泣き笑いになった。


銀髪の妹:

「兄者……守りたいのじゃな……妾たちのことも……自分のことも……」


黒衣の女:

「兄さんの優しさは、いつも“我慢”の形をしてる」


ストーカー:

「先輩……触れられなくてもいいです……

先輩の“優しさ”に触れていたいです」


影が、微笑むように揺れた。


 


そこに、銀髪の妹がそっと小声でつぶやいた。


「なら……兄者の隣に座るのは……妾たちみんなで交代制にしようなのじゃ……」


黒衣の女は涙を拭きながら微笑む。


「公平で、優しい案だと思います」


ストーカーも鼻をすすりながら笑う。


「うん、それなら……嫉妬で壊れないし……

先輩も困らないし……

ずっと4人でご飯食べられる……」


三人は兄席を囲む形で座り直した。


“誰かが独り占めではなく、全員で守る席”。


影のクオリアは静かに座椅子へ戻り、

湯気の湯呑みを見つめる。


距離は触れられない距離。

でも、大切に守られた距離。


それだけで――

“家族のテーブル”は成立する。


 


食事が再開すると、銀髪の妹が照れながら笑った。


「兄者……今日も一緒に食べられて嬉しいのじゃ……」


黒衣の女も、温かい声で言った。


「兄さん、いつか触れられる日を待ってます。

急がなくていいから」


ストーカーは優しい目をしてつぶやいた。


「先輩……好きです。

触れなくても、ちゃんと届いてますよ」


影はまた、照れたように揺れた。


三人を囲む空気は柔らかく、温かい。


距離はあるのに、恋はちゃんと近い。


それは――

触れない恋でも、幸せでいられるという証明だった。


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