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特殊精鋭部隊リーダーの高校生VRMMOで最強に  作者: 暁 龍弥
2章

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40/82

”王”

光のゲートを抜けた先は、

何もかもが白い世界だった。


空も大地も建物もなく、

輪郭すら曖昧な平原。


視界は遠くまで開けているのに、

“何もない”ことが逆に圧迫感になる。


音も風も匂いもない。

静かすぎて、鼓動だけが響く。


 


しばらく歩いても、何一つ変化がない。


距離の概念が曖昧な世界。

時間の感覚も狂っていく。


足音も残らない。

呼吸の音すら吸い込まれていく。


孤独が、心の底へ重く沈んでいく。


――ここは影が望む世界だ。


必要とする者も必要とされる者もいない場所。

完全な“ひとり”へ追い込む場所。


 


長い沈黙ののち、

クオリアははっきりと気づいた。


――誰かに“必要とされた記憶”が、薄れていく。


三人の体温も、

学校での笑い声も、

旅人の低い声も、


少しずつ霞んでいく。


思い出せなくなるほど、静かで冷たい世界。


心が空洞になってくる。


 


その時だった。


足元の白が、

ひび割れるように黒へ変わった。


影が生まれるのではなく――

白そのものが“黒へ裏返る”。


境界線は音もなく広がり、

大地は白から黒へ、黒から深淵へ。


視界の半分が闇になった瞬間、

圧倒的な存在を感じ取った。


“何かがいる”


姿はまだ見えない。

けれど、わかってしまう。


そこにいるそれは、

影という現象ではなく、

影という 存在。


影の従属種でも、影の獣でもない。


――影そのものの頂点。


 


深淵の奥で、光がうっすら揺れている。


光なのに、見ていると心を削られる。

逆光なのに暗く見える。


ゆっくりと 輪郭 が浮かび始めた。


人の形。

だが、目の位置にも口の位置にも

“顔” は存在しない。


何もないはずなのに、

こちらを見ているのが分かる。


姿を見せるだけで、心がざわつき始める。


“お前は必要とされていない”


言葉ではなく、感情そのものが押し寄せる。


本名を呼ばれるより深く突き刺さる。

それは虚無の刃。


膝が沈む。

息が詰まる。

声が出ない。


 


それでも――倒れなかった。


理由は単純だった。


三人の温度、

学校での笑顔、

クラスメイトの声、

旅人の言葉。


どれも“必要とされていた記憶”ではなく、

自分が“必要としていた記憶”。


それがクオリアの芯として残っていた。


 


影の王は、反応を受け取ったかのように

わずかに腕らしきものを持ち上げた。


手招きではない。

威嚇でもない。


――認識。


「お前は来る」


声ではないのに、確実に届いた。


次の瞬間、白と黒の境界が再び広がり、

視界が崩れ落ちるように暗転した。


《強制ログアウトが行われました》


 


ヘッドセットを外した瞬間、

現実の空気が重く肺に戻る。


鼓動が乱れている。

額には汗。


そして部屋の隅――

小さく残っていた影が、


“形” を持ち始めていた。


輪郭は薄く、視線の錯覚みたいに不確か。

けれど――


新大陸で見た影の王の“骨格”に似ている。


ゲームの影が現実に侵食するのか、

現実の影がゲームへ形を借りて現れたのか。


どちらでも関係ない。

確実なのはただ一つ。


影の王は、もうクオリアを見つけた。


 


呼吸が荒くなりかけたその瞬間――


背後から腕が回された。


三人のうち誰かだ。

声は聞こえない。

ただ、温度だけが背中に広がる。


その温度は影の冷たさを押し返す。


影は、まだ完成してはいない。

ただの“序章”。


だが、はっきり理解できた。


――影の王は、戦いではなく

“心” を奪いに来る。


倒すには、剣だけでは足りない。


必要とされるだけでも、

必要とするだけでも、足りない。


この戦いは

心の選択 がすべてを決める。


 


クオリアは息を整え、

ゆっくり目を閉じた。


戦う理由は、もう明確だった。


「守るためじゃない。

……帰るために、勝つ」


影の王との本当の決戦へ――

物語は動き始めた。


新しい作品も書いてるのでぜひ見てください!!

愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に

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