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特殊精鋭部隊リーダーの高校生VRMMOで最強に  作者: 暁 龍弥
2章

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30/82

ルール

旅人のあとを歩きながら、

クオリアたちは遠くでうごめく「影」を背に感じていた。


距離は離れている。

だが消えない。

まるで “監視” ではなく “観察” に近い距離感でついてくる。


音を立てず、息をしない。

それでも存在だけは確実に近い。


影は“敵”ではない。

だが“脅威”であることは疑いようがない。


 


旅人が口を開いたのは、

誰も何も言わず歩き続けてしばらく経った頃だった。


「影の正体を知りたいなら、まず “死” の話からしよう」


砂に沈んだ声が淡々と続く。


 


「この大陸には、

“戦闘の敗北” という死は存在しない。

“戦闘行為そのものが不要になる” ことで死ぬ」


銀髪の少女が眉を寄せる。


「……戦わなくても死ぬのじゃ?」


旅人は首を横に振る。


「逆。

“戦う理由を持たない者が死ぬ” んだ」


黒衣の女が息を呑む。


「つまり、生き残るには “必要性” が求められる」


旅人は静かに頷いた。


 


「この大陸での生存条件はたった一つ。

“他者から必要とされていること”」


それが答えだった。


 


砂海で響く鉄の森の音の中で、

旅人は淡々と説明を続ける。


「アルターラは “力の優劣” ではなく、

“存在価値の総量” を見ている」


「戦う意味がある者は、戦える。

守る理由がある者は、生き続けられる。

必要とされる者は、“影に触れられない”」


 


クオリアは歩きながら影を振り返った。


影もまた、クオリアを見ている。


それはまるで、

クオリアの “存在価値の上下” をずっと測っているようだった。


 


旅人は砂に手を伸ばし、小石を拾う。


「たとえばこれ。

何の意味もない石だ。

ここでは――必要とされない」


旅人が指を離した瞬間、

地面に落ちるより早く影が伸びた。


黒く、音もなく。

石は触れられた瞬間、跡形もなく消えた。


 


銀髪の少女は息を呑む。


「……名前も、石も、関係ないのじゃ。

“必要ない” と判断されたら、消えるのじゃ……」


旅人は続ける。


「だからこの大陸は、

支配者を試す場所なんだ」


「王は何もかも奪って勝ち続けてきた。

その王が――

奪うのではなく、“誰かに必要とされる” ことで生きられるか」


 


クオリアは口を閉ざしたまま聞いている。


旅人は淡々と告げた。


「影は、必要性の“欠落”を食う。

集団の中からいつでも最も価値の小さい者を狙う」


ストーカーが笑顔のまま、目だけ鋭くする。


「じゃあ誰かが“私なんていらない”って思ったら……

その瞬間 “影の標的” になる♡?」


「そう」


旅人は短く答えた。


「影は敵ではない。

“存在価値の裁定者” だ」


 


黒衣の女が深く思案するように呟く。


「この大陸は……

戦争ではなく “関係” を殺す世界」


旅人は初めて表情を動かした。

どこか寂しげな、痛むような笑み。


「王が “奪って勝つ時代” は終わった。

ここでは――

“与えない王” が最初に死ぬ」


 


空気が重くなる。


影はまだ一定距離を保ちながら、

確実にこちらを注視している。


 


旅人は歩みを止め、静かに告げる。


「覚えておけ。

最初に消えるのは――

“誰も必要としていない者” じゃない。」


旅人の声は低く落ちる。


「“誰も必要とせずに生きている者” が死ぬ」


 


その言葉が響いた瞬間、

影がわずかに近づいた。


誰の中で、何の感情が揺れたのか。

誰がどんな思いを抱えたのか。


この大陸はそこすら読み取っているようだった。


 


旅人は目だけでクオリアを見る。


「王。

今、お前に一番近いのは――影だ」


 


影は、クオリアの一歩後ろにいた。


触れてはいない。

だがほとんど背中を重ねるほどの距離。


“支配した者が次に試される者” だと証明するように。


 

新しい作品も書いてるのでぜひ見てください!!

愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に

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