砂海帝国
《大陸制覇率:71%》
残る国家は2つ。
そのうちの一国――砂海帝国。
純粋な“武力”だけが国の価値となる、
数千年の戦史を誇る国家。
王の座は、勝者のもの。
王は、必ず誰かの死と引き換えに即位する。
戦うことが罪ではなく、
戦わないことが罪とされる国。
転送陣が展開され、視界が砂色に飲まれる。
次の瞬間、
焼けるような熱と乾いた風が肌を刺した。
一面の砂漠。
その中心に、巨大な赤い城塞都市。
砂嵐に揺れる旗には獣の紋章。
そして――
都市の前野で、武装兵十万が静かに待っていた。
怒号も歓声もない。
ただ、殺意と熱だけが漂う。
静寂を破ったのは、
巨大な影だった。
城塞の塔から降り立ったのは、
獣のような体躯の皇帝。
鎧ではなく、筋肉。
武器ではなく、殺気。
砂海帝国最強の王。
国史を血で染めながら頂点に立った本物の怪物。
皇帝は一歩踏み出し、
砂が爆ぜた。
「戦争だ。
理由はいらない。
勝ちたいから戦う。
負ければ死ぬ。
それだけで十分だ」
クオリアは静かに問う。
「……殺す気なのか?」
皇帝が嗤った。
「生きるためだ。
お前を倒して勝利を奪う。
それが帝国の生き方だ」
皇帝の言葉と同時に、
十万の兵が武器を掲げる。
怒号もなく、統率された動き。
戦闘狂の国なのに、理性がある。
それが逆に恐ろしい。
戦場の空気が張り詰める。
クオリアは歩く。
兵の波へ真っ向から。
皇帝は走る。
地面を砕き、砂嵐のように。
二つの影が砂原で交錯した瞬間――
閃光と衝撃で、砂丘が崩れるほどの衝突音が鳴り響いた。
拳と拳。
筋肉と筋力。
純粋な力のぶつかり合い。
皇帝の拳が大地を砕き、
クオリアの一撃が砂嵐を巻き起こす。
お互いの腕が痺れる。
どちらも押し返されもしない。
ただ、ぶつかり合うたびに、
砂海帝国の兵がどよめき、
空気が震えた。
皇帝が笑う。
「いいだろう、強い。
ようやく“生きている”と感じられる!」
次の一撃で、
皇帝の拳がクオリアの頬をかすめた。
血がにじむ。
兵士たちの歓声が上がる。
ただの傷――
だが、“血を流した”歴史的瞬間。
クオリアは口元を拭った。
そして、小さく呟く。
「……お前、本当に強いな」
皇帝の笑みがさらに深くなる。
「強い者に褒められるために戦ってきた!」
再び砂が爆ぜ、二人が激突する。
何度も何度も。
ほんの僅かな差でクオリアが押し始め、
拳が皇帝の腹に深くめり込んだ。
皇帝が膝をつき、
砂に血が落ちた。
だが皇帝は、笑っていた。
「……負けた。
だが誇りは折れていない」
兵士たちが沈黙する。
皇帝は砂を握りしめたまま、言う。
「敗者は勝者に王座を譲る。
それが帝国の法。
我らは――オリジン・ユナイトの支配下に入る」
深々と頭を下げ、
兵十万が武器を地面に突き立てた。
システムログが世界に響く。
《砂海帝国を制圧しました》
《大陸制覇率:82%》
残す国は、ただひとつ。
世界の中心。
価値観の頂点。
全国家を監視する見えざる支配者。
《最終国家:中央神聖連盟》
クオリアは拳を開いたまま、
わずかに震える指を見つめた。
皇帝の一撃は、
確かに届いていた。
戦争は終わりに近づくほど、
難易度が下がるものではない。
むしろ――
ここからが“本当の戦い”だった。
新しい作品も書いてるのでぜひ見てください!!
愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に
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