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プルクラ_スペクルム  作者: 未空
4/4

第三泳_二人の生活

簡単に言ってしまえば、シンプル。

マネハールの家はちょっと広めの部屋が一つあるだけのワンルームだった。


部屋の中には生活必需品とベッド、ソファー、テーブルなどの

必要最低限のものしかなかった。しかも、全てが白色か黒色だった。


「えっと…。シンプルだね。」


「そうだろう。普段あまり家にいないから、物を置かないんだ。

 まぁ、ゆっくりして。3日間、君の家でもあるんだから。」


「う、うん。…………。」


そうは言ったものの、

いきなり他人の家でくつろげるアンジュではなかった。

お互いに特に会話もなく、無言の空間が続く。


しばらくしてから、マネハールが無言を破る。


「今更だけど、もう深夜だよね。もう寝る?疲れただろう。」


「じゃあ、うん。もう夜だし、寝ようか。」


そう言ってから、アンジュは気づいた。

この部屋にはベッドは一つしかない。


「えっと、マネハールがベッドで寝ていいからね?いくら3日間だけ、

 ここが私の家って言ったって、マネハールの家なんだし。」


「何言ってるんだい?一緒に寝るよ。ほら、ベッド広いし。」


マネハールがそう言いながらベッドに座り、

パンパンとベッドを軽く叩いている。


「いやいや、男性と女性だよ!?!?」


アンジュはまた顔を真っ赤にしている。


「もう。そんなに一個一個を深く考えてたら、

 国を出るときに、兵士に捕まっちゃうよ。…。こっちにおいで。」


マネハールはそう言うと、アンジュをベッドへ引っ張り連れ込む。

アンジュは顔を真っ赤にしたままだ。


「ねぇ、マネハール?別に一緒のベッドで寝なくても……」


「僕がそうしたいの。アンジュ、会ったときから良い匂いしてたし、

 ずっとこうしたいなーって思ってたの。」


そう言ってマネハールはアンジュをぎゅっと抱きしめる。


「もう二度と、君を離さない。」


そう小さな声で言った。


「え?何か言った?」


「何もいってないよ。」


勿論のこと、アンジュには聞こえていなかった。


「お休み、アンジュ。」


「お休み、マネハール。」


抱きしめていた手を離すことなく、二人はそのまま眠った。



      ーーーーーーーーーー



まだ暗い朝。人の気配が感じられないほど静かな住宅街。

アンジュは珍しく、早起きをした。だが、


「あれ?マネハール?」


マネハールの姿が見当たらない。周りをきょろきょろし、

ベッドからも降りて捜すが、一向に見つからない。


「マネハール?どこにいるの?」


アンジュが玄関から家を出ようとしたとき、


ガチャ


玄関の扉が開く。


「ああ。もう起きてたんだ。ごめんね?心配かけた?」


「……。ちょっと心配した。」


「ふふっ。ありがとう、心配してくれて。」


心配してくれたことにマネハールがニヤニヤしながら喜んでいる。

アンジュは少し照れたが、


「そんな話じゃないでしょ!どこに行ってたの?」


と、話を戻す。マネハールはそうだったという顔をし、

一枚の髪をアンジュに渡す。


「これ、なに?」


「新しい計画書。急で悪いけど、

 国を出るのは明日深夜二時に決行に変更だ。」


「えっ?そんな急にどうして?」


「毎年この時期に、外の生物が暴走して

 この国を襲って来るのは知ってるだろう?

 だから、もうすぐしたら城壁の兵士が増やされるんだよ。

 国を出るのを延期はできないから、早めるしかなくってね。」


「……。ちょっと色々心配だけど、マネハールがそう言うなら、

 明日でもいいよ。」


「ありがとう。」




それから二人は、夜が訪れるのを待っていた。



閲覧、ありがとうございます。<(_ _)>

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