表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JACK+ リベンジ  作者: sungen
JACK+ 復讐-リベンジ- 本編
9/11

第1羽 速水チーム① -5/6-


そして、翌日。


「まさか本当にエステとはなぁ~」

うつぶせのレオンが、仮面付きの男性に背中をマッサージされつつ、心地良さそうな声を出した。

「ホント、まさかな……」

隣でマッサージされている速水も、目を閉じて微笑み、同じ様子だ。


二人が連れて来られたのは、ベス及びクイーンが定期的に連れて来られるエステ用の場所。

ここは、速水達が収容されている建物の――中か外か。とにかく近い。

内装は意外に上品で、ベスに聞いた通り、それなりに高級感がある。


ここに初めて来て、目隠しを外された速水は首を傾げた。これはまるで総合レジャー施設だ。そこで二人は何だかサッパリよく分からないが、代わる代わるの仮面エステティシャン達に磨かれている。もちろんエステティシャンは全員男性。


速水とレオンは、午前中は顔面にあやしい緑色のパックを塗られたり、足裏マッサージやO脚矯正を受けて悲鳴を上げたりしていた。昼飯はよく分からないスムージーだった。

ベスの話が確かなら、このあとサウナとジャグジー。そしてヨガ。


エステティシャン達は間違い無くその道のプロ。心地よすぎて、速水はうとうとして来た。レオンも、今はたまたま速水の方を向いて、同じく眠そうにしている……。


「そうだ……そういえばお前等どうしてんだ?ノアと言い、脇とかスネとかツルツルだろ」

レオンが言った。


そう言えば午前中、レオンは不思議そうに速水の足を見ていた。

「え?あ、俺は永久――いったた!」

「お客様、肩、凝ってますね」

「痛った……そうかな……?ノアも部屋でやってるだろ。見てなかったか?」

「そうだったか?――あ、そういや……」


そんな感じでマッサージが終わり、速水は簡易ベッドに起き上がった。

速水は腰のタオルを巻き直した。バスタオルで色は濃い青。私服は来てすぐに持って行かれたままだ。午前はエステ用のガウンがあったが、午後からそれはどこかへ消えた。


少し伸びをし、速水は立ち上がる。

マッサージオイルでベタベタして気持ち悪いが、やっぱりたまにはこんなのも良いなと思う。デトックスと言った所か。……少々やり過ぎ感はある。速水は逆に疲れてきた。


「次は軽くシャワー、その後にサウナとなっております」

速水達にかけれていたタオルを畳みつつ、仮面エステティシャンが言った。

「お疲れ様です。あちらへどうぞ」

もう一人もかしこまって、レオンを先へと促す。


レオンも立ち上がる。

「じゃあ、行くか。悪くは無いが…さっさと終わらせたいしな」

「そうだな。……サウナっているのか?」

レオンと速水は案内に従って部屋を出ようとした。

そこで仮面が。

「あ、そうでした」

と言った。


■ ■ ■


「では、こちらのバスタオルを二、三枚、お持ちになって入って下さい。十分ほど入り、その後で隣の水風呂、その後またサウナに十分。二セットで終了です」

軽いシャワーの後、速水はサウナルームに案内された。レオンはワックス脱毛らしい。


小さな脱衣所に、ごく簡単なロッカーが設置してある。

サウナだし、タオルは脱ぐ必要は無い。速水は床に敷くためのタオルを二枚取った。


速水は一つ目の引き戸を開けて中に入って、そして閉めた。

少しスペースがあって、その次にもう一枚の引き戸。熱が逃げないように、二重になっている。扉は木肌を生かした丈夫な木製。磨りガラスはない。速水は引き戸を久しぶりに見た。


――今ごろレオンは大変な思いをしているだろう。

速水は今は亡き祖母、そしてジャックと、その妹で元弟のリサの教えを守り、脱毛は欠かしてしていなかった。

用意してくれたエリックにも感謝しないとな。



……やはりサウナは熱気が凄い。

構造は日本とあまり変わらない。広さは六~八畳ほど。奥は階段状になっていてその部分も木でできている。

床は黒の石材で、正方形、一メートルくらいの間隔の白い筋が入っている。奥の階段のすぐ下にはすのこが並べてあったりして結構立派。タオルを敷いて数名が寝そべる事ができそうなスペースもある……。まさしくお洒落なサウナだ。


確か、サウナは階段の上に行くほど暑かったはず。上級者はさらなる熱気を求め、階段を登っていく……。


「あつい……」

速水は奥の一段目にタオルを敷いて座り、しばらくダラダラと汗を掻く。

十分か……。レッスンという扱いのせいか、いちいち細かい。


ハッキリ言って苦行。だが耐えるしかない。

ダンサーになる為に、これが本当に必要なのか?と、少々疑問を持たないでも無い。


上に設置された時計は結露していてよく見えない。その下に温度計がある。

今何度くらいだろう?


速水は立ち上がった。


■ ■ ■


レオンは死にそうな思いをした。

「死ぬかと思った……マジで脱毛は大切だな……ここアンダーでも。いや、昔はしてたが……」

フラフラと色々押さえながら歩く。


「次はシャワーとサウナか、ん?案内いないな?」

周囲を見ると、誰もいない。


確か、さっき終わる時に「次は隣の部屋へどうぞ」と言っていた。

レオンは特に疑問も持たず、次の扉を開けて、七つ並、スポーツジムのようなパーテーションで区切られた簡易シャワーを使った。

サッパリして出てみると、正面、つまり先程入って来た壁の真ん中あたりに、分かりやすく『サウナルーム →』と書かれた案内がある。その先がサウナだった。


レオンはサウナルーム前の脱衣所、その扉を少し開けて熱気に驚いた。

「うお。まあこんなもんか」

もやもやと、煙のような白い蒸気がただよっていて。そして。


――脱衣所の床に、速水が倒れている。


「っ!?おいハヤミ!?」

レオンは慌てて駆け寄った。


うつぶせ、汗だくでタオル一枚。抱えて起こすと、がくんと首が反って、重たい。

「ハヤミ?!おいしっかりしろ」

レオンは速水の頰を叩いた。


反応がない。


レオンは一瞬、愕然とした。

「……おいっ!?おい!」

我に返り、また何度か強めに叩いたが。全く反応が無い。


顔も体も真っ赤だ。完全にのぼせている!?

レオンはすぐに抱え上げシャワールームへ走った。

シャワースペースの扉を体で開け速水を下ろし、シャワーの蛇口をひねり冷水をぶっかけた。


上部からのシャワーが速水にザァッと注ぐ。


レオンは膝をついて、ぐにゃりと倒れていた速水を起こし揺さ振った。すると少し目を開けすぐだらりと崩れた。

「おいしっかりしろ!」


その後全く反応が無く、意識が混濁している。



「誰か!!いないのか!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ