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ニートだけど美少女やってます!  作者: さくら
無理矢理起こされたら死にかけた
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「それ、何?」

 俺は疑問を口にするが、アナトは紙を見せてくれない。

「いいから、サインして!」

「ふっ……」

「な、なによ! その顔!」

「内容も分からないのにサインする馬鹿がいるか?」

 そう、ここは夢の中だ。普段なら言えないことも、スラスラと言えてしまう。リアルの俺なら、何も言い返せずに黙って言われたとおりにサインしただろう。だが、今は違う。

「べ、別に変な内容じゃないわよ」

「じゃあ、見せて」

 俺は、ベッドから降りるとアナトに近づいた。アナトは、紙を後ろに隠したまま後ずさる。俺が前に進むと、アナトが後ろに下がる。それを何度か繰り返して、アナトはついに壁にぶち当たる。リアルの俺なら、こんな強気な行動って出来ないよな。夢ってやっぱ凄いわ。

「もう、今日はいいわ」

 そう言い、後ろに紙を隠したまま、壁に沿ってアナトは横移動を始める。

「明日、また来るから!」

「ちょっと待って」

 ドアに向かうアナトに向かって、通称、壁ドンをする。イケメンのみが許される、超必殺技だ。一回ぐらいやってみたいと思っていたけど、俺、今は女の子みたいだし……なんだか微妙? でもまぁ、夢だしこれでもいいか。

「な、なによ?」

「その紙、見せて」

 普段なら絶対に女の子の身体に触れるなんて出来ない。でも、今は夢の中だし俺はなぜか女の子だし大丈夫だよな? そう自分を納得させてアナトの身体に手を回す。アナトの背中よりも少し下を目ざして手を動かす。

「ちょっ! どこ触ってんのよ!」

 もぞもぞと身体を動かすアナトの動きに合わせて、俺の手は丸みを帯びた柔らかなところへたどり着いた。ヤベっ……すげー柔らかくて触り心地がいい……。さっきの巨乳美少女の胸とはまた違う、少し弾力のある柔らかさ。

「やめてよ! ヘンタイ!」

「いや、俺は今、女だし」

 それにしても、やけにはっきりとした夢だよな。触感とかもう、本当に触っているみたいだもんな。このまま、夢が覚めなければいいのにって考えてしまう……。そんなことを考えていると、指先に何か別の感触が当たった。ガサって音とこの感触は紙だよね? 指先に触れたものをしっかりと掴み、思いっきり引き上げる。

「あっ!」

 アナトの声と共に、隠されていた紙が俺の前に出てきた。

「やめて! 返して!」

 必死に、アナトが紙に向かって手を伸ばしてくる。俺は、かまわずに紙を見る。ん? なんだこれ? 思わず首をひねる。すぐ側では、うるさいぐらいにアナトが騒いでいる。

「これ、何……?」

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