二
いったいどういうことだ? と少し考えたが、これは夢だということを思い出し、夢なら何でもありかと納得をする。それにしても、俺がこんな可愛い声で話すって、なんだか変な感じだな。
「あ、父さんたちが帰ってきた」
そう言うと、巨乳美少女は部屋から出て行った。家族もいる設定なのか。じゃあ、さっきのは俺の姉か妹ってことか? 弟しかいない俺には、姉とか妹っていうのは想像上の生き物だよな。さすが夢、俺の願望を叶えてくれてるのか。
そういや、夢の中の俺ってどんな姿なんだ? まさか、マジ俺の姿にあの可愛い声じゃないよな? まぁ、ちょっと怖いけど、鏡を見てみるか。鏡を探して部屋の中を見回すが、それらしいものは見つからない。部屋にあるのは、ベッド、シンプルな机、細長い蓋の付いた物入れぐらいしかない。机には引き出しが無くシンプルすぎるつくりだ。あるとしたら、あの細長い物入れか。
ベッドから降りて物入れに向かおうとしたとたん、サラリと長い髪が揺れた。ん? これって俺の髪? 薄いピンクの髪が俺の動きに沿って動く。髪をつかんだ手が、やけに華奢だ。ちょっと力を入れたら即効、折れてしまいそうなほどだ。俺の体、どんな感じになってんだ? ふと気になり、自分の体を見てみる。やけに細くて華奢だ。来ている福は白いシンプルなもので女の子が来ているワンピース? とかいうやつみたいだ。え? ワンピース? って、ちょっと待て! もしかして、いやもしかしなくても、夢の中の俺って女の子になってるのか? その疑問を解消するために、俺はおそるおそる手を動かした。ゆっくりと、手を胸のところに当てる。
「うぉっ!」
なにこれ!? ちょーやわらかいんだけど? さっきの巨乳美少女ほどじゃないけど、けっこう胸大きいよな? たぶん大きい? 初めてだから他と比べられないしよく分かんないけど……。そして、次はいよいよ指を動かしてみるにチャレンジだ。ただ触っているだけでも柔らかくて気持ちいいい感触だが、指に力を入れて揉んで見ると更に気持ちよくなれるに違いない。って、あれ? その場合の気持ちいいってどっちだ? 手の感触? それとも、一応、女の子みたいだから俺が気持ちよくなるのか?
ヤバイ……なんか緊張してきた。少し、指先に力を入れるだけだっていうのに、なぜかそれが難しい。長い時間? のような気がするけど、たぶん短い時間、俺は言うことを聞かない指先と戦っていた。深く深呼吸をして、気合を込めたとたん大きな音がしてドアが開いた。