女子高生が求める気密性って何ですか? - 3
「では校長先生、この書類へ判子頂けますか?」
他の部屋とは隔絶した重厚な調度が居並ぶ部屋で、
「これが在校生の総意です」
女の子一人では持ちきれない量の紙束を机へドスン!
説得力の塊を盾に、冷徹な視線の眼鏡(元)少女&その取り巻きたちが校長へ迫る。
『生徒会長』鳥居ミサ以下、全員が学ランを着用した男装の集団――屋上生徒会。
「元々ボクらは南高へ入学するはずだったんだ!」
「男子という穢から隔離された学舎で有意義な三年間を過ごせたはずなのに!」
「横暴でぇす!」
「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」「横暴!」
校長を取り囲む(元)女子たち、次々に絶叫のリンチを浴びせ掛ける。
「無視すんなよ! 全生徒の総意だぞ!」
乱暴に紙束を叩きつけ、威圧する学ラン男子(元女子)たち。
そもそも悪夢のサバトで前後不覚となった子たちに書かせたであろう署名に何の効力があるのか?
一部始終を観察していた者ならば一笑に付せるシロモノなのに。
強引に校長室(鳥籠)へ押し込められた校長先生には確認の取りようもない。
「待ちなさい君たち、今回の高校再編措置は君らのことを思ってだね……」
「嘘つけ!」
校長の弁明を遮って非難轟々、野蛮な罵声が乱れ飛ぶ。
「子供をダシにして土建屋からタンマリとキックバックを貰ってんだろ?」
「貴様もワルよのぅ~越後屋!」
「資本主義の犬! 既得権益の亡者! 恥を知れ老害!」
校長先生、反論したくとも孤立無援の状態、実に見苦しい人民裁判になっちゃってます。
「校長」
血の気の多い手下たちを制して鳥居ミサ、努めて冷静な口ぶりで尋ねる。
「君らのため――――そう仰いましたね?」
「そうだ!」
そこを汲んでくれ、と校長先生は椅子から身を乗り出しかけるものの、
「ならば入学する生徒からもヒアリングを行いましたか?」
眼鏡さんの疑問も尤もだけど……無理があります、常識的に考えて。高校の新設計画ですよ? 一朝一夕でどうなる話じゃありません。シムシティの市長さんじゃないんですから。
「お、行ってはおらん……」
それでも校長の旗色は悪い。悪くさせられちゃっている、強引な「世論」形成によって。
「子供のため? 耳障り良い言葉を並べながら、結局は大人の利害調整だけで決める!」
言葉尻だけを採り上げて一方的なレッテリング。
「アンフェアな大人に従う謂れは我々にはありません!」
傍から見ればアンフェアなのはどちらか分かりそうなものだけど……
「Don't Trust Anyone Over30!」「Don't Trust Anyone Over30!」
ここぞとばかりに拳を突き上げ、屋上生徒会は瑕疵を論う。
「Don't Trust Anyone Over30!」「Don't Trust Anyone Over30!」
普段なら冷静に去なすであろう校長先生も、完全に萎縮させられている。
「これより学校運営は我ら屋上生徒会が執り仕切らせて頂きます」
目論見通り主導権を奪った鳥居ミサが恭しく申し出る。
パサ。
「これが臨時正統生徒会(我々)の所信表明です」
ぞんざいに手下の一人が投げつけた紙束。署名の厚みから比べれば随分と薄い。
「この『霞城中央高校男女別学化アクションプラン』に従い、ただちに【生徒が臨む環境】の再構築に執り掛かります」
「……!!」
「伝統校の格式を出来得る限り保持して、生徒のバリューを高める、これが屋上生徒会の指針です」
校長の机に広げられた完成予想イラスト、笑顔溢れる女の子たちの理想的学園生活。
それはいい。何の問題もありません。
ただ一点、問題は【壁】、生徒たちの背後にそそり立つ、異様な高さの壁。
狂おしいまでに断絶を欲するコンクリートの建造物。
「完全なる隔絶こそ伝統美の担い手!」
「そうだ!」
「男女の住み分けが正しく為されていた状態、あの理想を擬似的に再現する要です!」
鳥居ミサに傅く屋上生徒会、ヤンヤの喝采で首領を讃えます。
「待ち給え諸君、そこまでの権限を生徒に許すことなど……」
慌てて常識論を振りかざそうとした校長でしたが、
「鹿嶋、作戦開始」
これ見よがしに鳥居ミサは携帯に命じる。
『ラジャー』
「な、何をする気だね?」
シャーッ!
学ラン男子の一人がカーテンを開帳すると……教室棟の昇降口へ生徒が降りてくるのが見えた。
『積み上げろ!』
赤腕章の学ランに指示されるがまま、一般生徒たちは机や椅子を積み重ね始めた。
数十人規模の生徒たちが甲斐甲斐しく働けば、アッという間に障害陣地の出来上がりです!
「な、何をするつもりだね?」
講堂の【サバト】を目撃していた者には分かる、一般生徒(彼女たち)は洗脳されているのだと。
用意周到な刷り込みによって、どんな無法も正義と疑わない。
「あれはいったい何のつもりなんだ!」
分かります校長先生、相当薄気味悪く映っていることでしょう、先生の目には。
人は過程の見えない話を受け入れがたい生き物です。
それが突飛な行動であればあるほど、無様な狼狽へと追い込まれる。足元を突き崩され、自分のペースを喪失する。
「我々屋上生徒会は生徒の権利を行使します!」
「!!!!」
「我々の我々による我々のための生徒自治!」
普段なら一笑に付せるはずの小娘の戯言にさえ狼狽える。
見事です、大人相手にもマウンティングを奪う、その手管。
ちょっと待って下さい?
これは一介の女子高生が編み出した「技術」なのでしょうか?
いや……
常識的に考えて、それはない。
かなりの確率で誰かの入れ知恵に思えます。講堂の洗脳儀式と同じく、裏で糸を引く誰かに操られていると考えるのが妥当では?
それが【悪の亡国結社】かどうかは確認のしようがありませんが……
でも不自然ですよ!
何らかの『手引』がなかりせば、こんなにも大胆不敵な乗っ取り計画とか実行できますか?
おかしいですよね?
「これは我々学生の自主権なのです、校長」
反論を許さぬ立て板に水の、鳥居ミサ。
「己の価値を高めることは我々自身が保有する固有の権利です。何人足りとも、この権利を阻害することは許されません」
「しかし……」
「もし了承頂けないのであれば、こちらにも考えがあります」
『本日よりこの校舎は女子校舎となる! 男は何人たりとも立ち入ること能わず!』
昇降口を占拠した赤腕章の尖兵、学ランの彼(彼女)が高らかに叫ぶ。
「大政奉還なさって下さい校長先生……無血開城以外に無駄な血が流れず済む解決策はありません」
貴様に選択肢はない、そう顔に書いてあります眼鏡会長。
「大人の干渉は余計なお世話なんだよ校長ちゃん!」
「老害は黙ってろ!」
「老兵は去るな、惨たらしく野垂れ死ね!」
年長者への敬意など欠片も感じさせない傍若無人ぶり、さすがについてけません。屋上生徒会は異邦人の集まりなんでしょうか?
「ここへ」
蛮勇の屈服行為に酔う手下どもとは一線を引いて、慇懃に校長を促す鳥居ミサ。
「判子を頂きさえすれば」
だけどその書類は毒リンゴ、常識では考えられないほどの校内自治権を委任する罠文書。
「折角ここまで積み上げたキャリアでしょ? 台無しにしたくないですよね? 校長ちゃ~ん?」
「晩節を汚して無念の免職とか、取り返しのつかない汚点じゃない? ネェ~?」
恫喝口調で煽り立てる屋上生徒会に、校長は為す術もなく。
「…………」
観念して持ち出す。鍵の掛かった引き出しから、立派な印鑑を。
「…………」
そして朱に染まった印を屋上生徒会の書類へスタンプ、
「…………」
する寸前で逡巡する。
「…………」
「まどろっこしい! 押せばいいんだよ押せば!」
堪忍袋の緒が切れて暴発する学ラン男子、
「乱暴は止めたまえ乱暴は!」
「ペタンって押せば終わりだっつーの! 無駄な抵抗すんなクソジジイ! 死ね!」
判子を握る手を力ずくで誘導する!
「待ちなさい……話せば分かる!」
「問答無用!」
それでも老骨に鞭打って抵抗を見せる校長先生、
「うわっ!」
四天王プロレス全盛期を彷彿とさせる2.9カウントのお家芸!
判子が書類に着地する瞬間、水平に印鑑をエスケープ!
「うぉ!」
勢い、押さえつけた男子共々椅子から転げ落ちちゃいました……校長先生ナイスファイト!
「神聖な学舎が暴力に屈することなど、あってはならん!」
乱れ解れた髪も構わずに、男らしい気概を叫んだとこまでは良かった。そこまでは。校長先生。
「神聖な学舎ですか……」
校長を囲む屋上生徒会たち、汚物を見る目で老教師を見下した。
「はっ!」
原因は校長先生の足元にあった。転倒の巻き添えで机から散乱してしまった書類や書籍類、それらの中に私物の男性向け週刊誌が紛れ込んでいたのが運の尽き、間の悪いことに、ペラリと開かれたページには大人向けのグラビアが載ってまして。イクナイ、それはイクナイ。校長とんだトバッチリです!
「これだから、これだから男って生き物は!」
【それ】が彼女に火を着ける。手下の蛮行も我関せず、高みの見物を決め込んでいた鳥居ミサの感情が反転する!
「汚らわしい!」
これぞ彼女の本性、烈火の如き憤怒の化身となりて、
「セクハラで訴えます教育委員会へ! 絶対に許さない顔も見たくない!」
バシャァァァァァァァーッ!
怒りに任せて花瓶の水ブッカケちゃってます! 一抱えもある花瓶を花ごと!
うわ!
あまりの凶暴さに取り巻き男子たちも退いてい……ませんね。むしろ憐れな校長を嗤ってる、ヤンヤヤンヤ喝采で。ヘラヘラと嘲笑を浴びせながらパシャパシャと「証拠」を連写しつつ。
なんて集団ですか屋上生徒会! 元女子高生とは思えない野放図な攻撃性!
これは! これは! 放っておいたら大変なことに!
盛る攻撃衝動が一線を越えかねない!
「待てぇぃ!」
バコォォーン!
重厚な校長室の扉を蹴破り、一気に中へ押し入る!
「な、何者?」
「悪党に名乗る名などない!」
「ぞな!」
いや、むしろ名乗りたくない!
こんな格好を人前に晒しといて自己紹介とかしたくない!
だってだってほぼ水着じゃないですか! 水泳の授業でもないのに、ほぼ水着!
悠弐子さんがウイドーメイカー号の収納スペースから引っ張り出してきた、三人分のウエットスーツというかレオタードというか何でしょうこれは?
ウエットスーツ式に首から爪先に至るまで包まれているんですが、肌触りはむしろ水着っぽい。ぴっちりと肌に吸い付くみたいな着心地なんです。
なのに水着とは決して断じることは出来ないのはディテール。用途不明のモジュール的なギミックが至るところに配置されて、何だかよく分からないのに機能的に見える不思議なデザイン。
なのにそれらは肝心な部分を隠してくれなくて。女性らしい身体のラインが丸わかりで……これはダメですよ、裸眼で裸体を推察できてしまうじゃないですか!
これは処女が着てはいけないスーツです! 着てもいいけど人前に出てはいけない痴女スーツですよ! 夏の有明とか、ああいうハレの場でしか許されない格好です!
かろうじて正気を保てているのは、このメットのお陰。このメットが人相を隠しているからこそ、なんとか人前に出られるんであって、匿名性を保持しているのに自己紹介とか狂気の沙汰です!
名前を知られたら最後、女子高生生命が死にます。変態性癖の持ち主として彼女候補のリストから除外されちゃいます! 男の子全員のリストから抹消されます!
んなの死んだも同然じゃないですか!
「…………とは思ったけど」
はっ!
悠弐子さん!
また常軌を逸した行動に出る気ですか、この暴走女子高生は????
「思いの外、良い名前が挙がったので聞かせてやらんこともない!」
「吝かではない!」
B子ちゃんまで!
止めて下さい早まらないで下さい!
「我々は! 日本衰退の元凶たる少子化に挑む、正義の私的制裁執行機関!」
あああああああああああああで掻き消せたらいくらでも叫ぶのに。
いくら私が足掻こうと彼女の声は軽々と上書きする。人心を惑わす魅惑のボーカルが塗りつぶす。
無駄無駄無駄無駄、泣いても喚いても彼女には敵わない!
「少子化克服エンジェル!」
「「We're――――――――ゆにばぁさりぃ!」」
…………へ?
「そ、その名前は……」
「採用よ桜里子!」
「満場一致ぞな!」
ちょちょちょちょっと待って下さい!
「寝てたんじゃないんですか?」
狸寝入りだったんですか?
「壁に耳あり障子にブラッディメアリー」
「デビルイヤーは地獄耳って言うじゃない?」
意味が分かりません、意味が。そりゃあなた方は前世が斬首女王でも堕天使でも不思議ないほどの美女ですが。
「とにかく、あたしたち!」
「少子化克服エンジェル――ゆにばぁさりぃ!」
うへぁ眩しいぃ!
体内に自家発光組織でも組み込まれているんじゃないかってくらい眩しい! 決めポーズがビシっとキマった美少女って斯くも神々しいものなんですか?
初めて知りました!
どんだけ凡人に下駄を履かせても手が届かない高みの世界、生けるバベルの塔。
「桜里…………!」
「わーわー! 分かりましたから!」
それ以上名前を連呼するのは止めて下さいぃ! バレる! バレちゃいますってば!
「ゅにばぁさりぃ……」
促されるまま決めポーズに加わってみる。お刺身の菊っぽく。
自分でも場違いだって自覚してます、場違いに決まってます誰がどう見ても。
「これまでなーんか足りなかった、最後のワンピース!」
「ラストワン賞!」
「それがあなたよ――――山田……」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
だから止めて下さい本名は! 私の女子高生生活がサドンデスです!
というかとてもそんな御大層なピースには思えませんけど? マイセルフ。
光り輝く姫と姫の間で劣等感のブラックホールに押し潰される。計り知れない質量が光をも取り込んで観測も不可になる。消えるんですよ、二人の光が眩しすぎて私は消える。いわば擬似透明人間。消えますよー 消えますよぉー。
そんな子ですが?
「天下に覇を唱えるスーパーユニット爆誕よ!」
なのに悠弐子さんもB子ちゃんもお構いなしで、
「我ら、生まれた時は違えども!」
「少子化克服エンジェル!」
「We are!」
「「ゆにばぁさりぃ!」」
ご満悦です。ウットリと陶酔の朱で頬を染めながら見得を切るのです。
「なんだ貴様ら? 邪魔すんなら殺すぞァアァァァーッッ?」
学ラン男子に凄まれても、どこ吹く風で。
「場違いなのはあんたたちよ!」
「邪悪教義に取り込まれた痴れ者ども! 性教分離せよ!」
性教分離…………上手いこといいますねB子ちゃん?
「ほら、桜里子も言ってやんなさい!」
「私もですか?」
ちょっとそういうのは不得意分野なんですけど、山田的には……煽りマイクとか私の領分では……
「桜里子、こいつらは歪な思想で学園を分断しようとする大悪人よ?」
「男女別学とかいう新たなる監獄学園の創造主ぞな!」
そ、それはダメだ! 悪です! 決して許されざる者です!
何のために必死に受験勉強して霞城中央に入ったのか分かんないじゃないですか!
ここは選ばれし男女の花園、かけがえのない恋愛理想郷だったはず!
「か、勝手な性道徳を押し付けてくる人は……全て悪です!」
「拠って殲滅に異議なし!」
「バルタザールメルキオールカスパー! 三賢者システム!」
「【 悪 】認定完了!」
「――喰らえ正義の鉄槌を!」
バタァーン!
「そっち!?!?」
一気呵成に大将の首を獲るタイミングですよね、今の?
なのに二人はバックステップをキメて、扉を両側から閉めています。さっき蹴破った扉を律儀に。
私だけが、おっとっとと前へ突貫して馬鹿みたいじゃないですか!
行くなら一緒に行ってくださいよ! 恥ずかしい!
てか!
「……し、閉めちゃうんですか?」
一網打尽しようってことですか?
できるんですか? 向こうは私たちの倍以上いますけど?
閉め切られた空間に、この人数の差。致命的だと思うんですけど常識的に考えて?
もしかして二人は何か体術を会得している? マスターなんちゃらとか免許皆伝の実力者ですか?
「……桜里子、やっぱりあんた漫画の読みすぎよ……」
「ゲームと現実の区別つかない人間ぞな」
この期に及んでも失敬、本当に口さがない美少女どもですよ、まったく!
「どんな達人でも対複数処理には限界があるわ。多数側にファランクス戦術を採られたら」
「徒手空拳では為す術なしぞな」
「じゃ、負け確定じゃないですか!」
自らの行動範囲まで縛る閉鎖空間を作った時点で敗退行為ですよ!
「ところがぎっちょん」
「そうでもないぞな!」
「勝ち目があると?」
「ある!」
「アリー・アル・サーシェス! アルシンド・サルトーリ!」
「トモダチナラアタリマエ!」
フライング・ダッチマン並みの身のこなしでダッシュ&ダッシュ!
瞬く間に私の傍へ飛んできた彼女は、kick meを貼り付ける勢いで私の背を叩いた。
プシャー!
メットのシャッターが閉じると同時に、背負ったボンベから酸素が送り込まれ始める。
潜水レディの体勢が整いましたよ、簡易的な。水なんてどこにもありませんけど?
これからこの校長室へ大量の水が雪崩れ込んでくるんですか?
不利な戦局を一気に引っくり返すほどの?
いやいや無理です。膝まで貯まる前にボンベの酸素が切れます。魔宮の伝説並みでもない限り。
「桜里子」
「はい?」
「水なんかなくとも人は溺れるものよ」
水がなくても?
「いくわよ!」
意味不明の禅問答を呟き、悠弐子さんは再び見得を切る。
「少子化克服エンジェル ゆにばさぁりぃ――――――――オンスティージ!」
カッ!
背後から照らされれば光へ埋没する。それほどに強烈なプロ用ステージライト。
いつの間に持ち込んでたんですかこんなもん?
ブシャァァァァァァァァァァーッ!
そして天井から!
埋め込みタイプのエアコンから白煙が! 大量の白煙が吹き込まれる!
ちょっと待って下さい?
私たち自称正義の戦士ですよね?
なんで過剰な舞台演出にまみれているんですか?
横暴なる悪漢を打ちのめす武器じゃなくて、これ舞台演出ですよね?
俺の歌を聴け方式で戦闘を止めさせる算段ですか?
朝焼けの彼方へ私を遮るものは何もないんですか?
てかこの煙! 煙多すぎませんか? もはや視界は数メートルもありません!
舞台演出として失敗ですよねこんなのは!
多すぎますって煙! 多けりゃいいってもんじゃないです!
ゆ、悠弐子さん? どこにいるんですか悠弐子さん?
私を置いてかないで下さい!




