わんわんわん
※キチガイです。
紅く焼ける夕焼けの空、屋上の上で下校する生徒を眺めながら彼女はこう言った。
「好きです。×一先輩……」
彼女が言った思いがけない一言に俺は動揺を隠せなかった。
俺の脳は一瞬、空白になってしまったが、その後フル回転を始めた。
『この子は何を言っているのだろう?』
『ぼっち歴=年齢の俺だぞ!』
『ここは……異世界か?いつ転送された!?』
『まさかっモテ期到来か』
『いやいや……有り得ないな。へたれ粗チンの引きこもりだぞ』
『日本の文化が停滞する!?』
など、混乱しながら、脳を回転している中、彼女は続けた。
「×一先輩をずっと見ていました」
『ずっと……だと!』
「先輩が(遅刻しそうで)走る姿、先輩が本(R指定漫画)を読む姿、先輩が(おっきくなって)トイレに駆け込む姿……全部見てました」
『何この子、怖い』
俺は恐怖を覚えた。
「だから先輩、私のペットになって下さい」
と言って、彼女は頭を下げた。
『ペット?』
俺は今、人生最大の分かれ道が目の前にある。
一つはこのまま、だるい生活を続ける。
もう一つは後輩の女の子のペットになって日々の生活を楽しむか。
もちろん決まっている。
俺は答えた。
「これから、宜しくお願いします。ご主人様」
後悔はない。
すると、彼女は……
「えっ、じゃぁ……全裸になって、三階回ってワンして!」
彼女の言葉に対して俺は、
「わんっ」
と即座に全裸となって三階回ってワンをした。
彼女は、そんな俺を見てクスっと笑うとしゃがんで、首輪を付けて来た。
「これから宜しくね、×一君」
これからの生活に、俺の胸と前に付いている尻尾が熱く滾るのを感じた。
何やってんだろ俺……。