第42話 優衣争奪戦?
試合会場に着いた私たちはもう一度チームミーティングをしていた。試合会場には大会支部のテントを挟んで向かい側のテントに敵チームらしき女の子達がたくさんいた。見た目は特に変わった様子のない女の子なんだけど、実は全員ヴァンパイアかその従者だと思うとなんともいえない気持ちになる。
「ユイユイ、どうしたんだ?ぼーっとして。」
「あ、優衣姉ちゃんあっちの女の子達の方見てるー。」
「な、なんですって優衣?私達を差し置いて別の女の子のことを……」
「ちょ、ま。そういうわけじゃねぇって!」
「ほんとにぃー?優衣ったらモテモテだから、すぐ他の女の子に移っちゃうしねぇ。」
「ちょっと林檎さん、そんなデマカセはやめてください。それに私はそっちの趣味はないですよ!」
「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」
秘書さんとローブの人を除き、8人にマジで驚かれた。いや、こっちこそ「えっ?」なんですけど…私、みんなにそっち系の人だと思われてたんですか?
「ハァーイ!あなた達が今日の対戦相手デースね?どうもよろしくでーす!」
うわ、なんだこの人。今こっちくるのは色々とまずいよ…
こちら側のテントにやってきたのは見た目どう見ても「アイム フロム ジ ユーエスエー!」みたいな人で、そのはち切れんばかりのデカ胸を絵柄が星条旗のスポーツビキニで覆い、迷彩柄のミリタリーハットとサングラスと短いパンツ。そして日光に当たって光り輝くほど美しい腰まで伸びた金髪、そして中途半端になまってる日本語。うわぁ、なんかアニメとかでよく見るタイプの人だぁ。
「ワターシはアメリカからキマシタ、シェリーデース。今日のゲームも楽しみまショウ!ところで、アナタ達のリーダーはどこデスか?」
「あ、あの、私です。深見優衣です。」
「おぉ、可愛らしいオナーノ子ですネー。よろしくでーす!!!」
ガバッ!と突然抱きつかれる。後ろにいた藍と蜜柑ちゃんとかがものすごい顔をしたのは言うまでもない。
「う、うえ?シェリーさん、何を?」
「これがワターシ流のあいさーつデス!」
「分かったからもう離れて…ね?後ろから殺意感じるからぁ!!」
うん、やばい。後ろから強烈な殺意がやばい。特に藍。あわてて掴みかかっているシェリーを振り払う。
「む〜!何するデスか!」
「いや…あれを見ろって…」
「あれって、アレのことデスか?」
「うん、アレ。あのケダモノみたいな目してるやつ。」
「ふ、ふっ〜ん。ナルホド、そーゆーことデスか。」
「うんそういうことだからここはおとなしく向こうに…」
「そこのアナータ!」
て、おい!!やめてー、これ以上こじらせないでくりー!
「何よ!」
うひゃーもう知らね。
「このワターシと勝負するデース!」
「へん、望むところよ。で、何で勝負するって言うのよ。」
「もちろん、これからやるサヴァイヴァルゲームデース。ワターシのチームがアナタ達のチームに勝ったら、このユイをもらうデース!」
な、なぬー!!!!あのすいません、私を巻き込まないでください。迷惑です。
「なっ、なんですって!?」
「へん、受けないならこうデース!」
そう言いながらシェリーは私を後ろから抱きしめて自分の唇を私のほっぺに…っておい!
「あ、あなたなにをしているの!!」
「もし、アナタがこの勝負を受けないならユイにキスするデース!」
もう勘弁してください、挟まれる気にもなって…
「いいわ、その勝負乗ったわ。で?何、アナタ達のチームが負けたらどうなるわけ。」
「その時はワターシがユイの従者になるデース!」
「ふん、それならいいわけ…ないでしょ!アナタが負けたら二度と優衣に近づかない、これでいいわね?」
「ちぇ、しょうがないデスねぇ。では、勝負成立デース。今日のゲームはとってもたのしみデース!」
「ふん、ギッタギタのボッコボコにしてあげるから覚悟しておきなさい。ギッタギタのボッコボコのぐっちゃぐちゃのへらへらのべろべろの…以下略。」
「藍さん、その辺でやめてください。お嫁に行けなくなりますよ?」
はぁ…なんでこうなるのよ…
試合開始10分前になり、最後の確認を行った。車の中で話した通り、基本は敵を見つけ次第即攻撃と伝達。私と社長がその情報を受け取ってみんなに指示を出す。情報の伝達には私が試合開始と同時にトランシーバーを生成して行う。
武器に関しては私が持参した銃器のカタログより限りなく本物に近い銃を生成。だが、これでは致命傷を与えてしまう可能性があるので、銃弾を改良しておいた。当たればかなり痛いくらいで済むだろう。
まぁ、正直みんな銃よりも自分たちの能力使うはずなんだけどねー。保険というかなんと言うか、少しでもみんなの力になれればって思ってる。
よし、いっちょやるか!
かくして、私をかけたシェリーと藍との壮絶なるサバイバルゲームが幕を開けることとなった。




