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ヴァンパイアパラダイス  作者: ピルルピピ
3章 優衣と姉妹
32/46

第32話 最終日

 わ、私は悪くないですよ……?


 ほんの牽制の気持ちだっただけの一発が見事相手の胸に直撃。そしてそのまま貫通してしまった。

 もちろん貫通といっても胸に穴が空いたのではない、というのも私が生成した銃は弾を飛ばすのではなく銃口から一直線に雷撃を飛ばすものですなわちスタンガンのようなものだからだ。

 当たれば体か麻痺し、しばらく動けなくなるだけで特に殺傷能力もない…はずだったけど。


「うわぁぁぁぁぁ!お姉ちゃぁぁぁぁん!!」


 撃たれたと同時に仰向けに倒れた姉の元へ泣き叫びながら向かう女の子。そういえばあいつも言ってたけどやっぱり妹なのか。


 そろりそろりと倒れた姉に近づく、もしこれで死んでたりしたら私はどうすればいいのだろうか……


 この歳で殺人?いや、ヴァンパイア絡みの殺しは殺人にならないって言われてるし大丈夫…な訳ないか。そしたら私は殺人犯?

 あぁ…もう死にたい…


 泣いてる妹が塞いでて見えづらかったが、顔を近づけて姉の胸あたりを見る。

 が、特に目立った外傷は無かった。どうやらただ気絶しているだけのようだ。


 はぁぁぁぁぁ!よかった!


 ヘナヘナと力が抜け、その場で倒れ込んでしまった。とりあえず私の人生は終わらなかったようだ。


 しばらくぼーっとしてると泣き止んだのか、妹の方が立ち上がって私の方に向かってくる。その顔は涙でぐちゃぐちゃになってはいるが、それでもわかるくらい憎しみに満ちていた。


「よくも…よくもお姉ちゃんを…!!」


「お、落ち着いて。ね?お姉ちゃんは多分死んでないからぁ!」


「許さない!」


 あ…これはやばいわ。


 大慌てで逃げ出す優衣。よくよく考えれば彼女はヴァンパイアであるから、何をしでかすかわからない。


「待てぇぇぇ!」


「きゃぁぁぁぁ!」


 小学生の女の子に追いかけられて悲鳴をあげる女子高生。周りから見たらなんと不可思議な光景だろうか。


「ま、待ってよ!それよりお姉ちゃんを助けようね?ね?」


「お前がお姉ちゃんを!!!」


「だからーそうじゃなくてぇぇぇ!」


「待てぇぇぇ!」


 実際この女の子、ヴァンパイアのヴァの文字も知らないのだ。まず、私に対して素手で向かってきている。おそらくヴァンパイアサポーターを使えないのだろう。

 まぁ、私が今逃げてる理由は彼女の気迫がものすごいからなんだけど…

 だって本当に殺されそうなんだもん。


 さすがに走り疲れてきたのか、気づけばこの前と同様膝をつきながら沈黙していた。だが、その顔からはまたしても汗の混じった涙がぽとぽとと溢れていた。


 なんかなぁ…めっちゃ罪悪感が…


 でも仕掛けてきたのもそっちだし、私も別にやろうと思ってやったわけでもないのだけれど…いや、殺ってはないよ?


 もはや戦意はないようなのでススーっと放っておき、倒れている姉の元へ向かう。うん、やっぱり特に怪我をしているというわけではないな、息もしてるし。ただ気を失っているようだ。

 

 と、いうわけで私はここで失礼させてもらうことにする。


 もちろん泣いている小学生の女の子と気絶しているその姉を放って逃げるなんてホントウはしたくないんですけど、あの子私を見たらまた襲ってきそうだし姉の方はしばらくすれば起きるだろうからね。

 それにほら、蜜柑を傷つけられたお返し?ということで…


 スタスタと河原を後にして自宅に向かう。


 できるならこれを境に二度と会いたくはないんだけど…



 それにしても私、買ったアイスはどうしたんだろう…




 家に帰ると案の定二人は勉強などしておらず、姉妹揃って寝ていた。


 まったく私がどんな思いをしてアイスを買ってきてやったと思ってるんだ。


 ちなみにアイスはカフェに放置してしまっていたためにドロドロになっていたのだ。

 この2人のアイスは別にどうなっててもよかったが、私のハーゲンダッツはもはや食えるものでは無かったので仕方がなくもう一度コンビニに寄って買う羽目になった。


 寝ている2人を叩き起こしてもよかったのだがそんな気力もなく、暑さで火照った体に一ヶ月ぶりのハーゲンダッツを染み込ませた後布団で惰眠することにする。

 クーラーの効いた部屋は涼しくてとても気持ちがよく、あっという間に眠りに落ちてしまった。





 起きたのはすでに窓の外が暗くなっている時間帯だった。部屋の電気はついておらず、あたりが真っ暗で何も見えない。

 そして、私の両脇に感じる熱源…これは?


 こいつら何やってんだ。


 1人用の狭いベットにこれでもかと体を詰めて私を間に挟み込むように寝ている2人、もちろん蜜柑と林檎さんだ。


 2人とも仰向けの私の上に重ねるように腕をおき、お互いに離すまいと私の服をつかんでいる。これでは動けないじゃないか…


「……優衣…お姉ちゃん…」


 と、蜜柑が寝言を漏らす。

 なんだよ、夢の中でも私をお姉ちゃん呼ばわりか。


「うふ…優衣…来て…」


 いかねぇよ。

 林檎さんにいたってはどんな夢を見てるんやら。


 こんなシチュエーション、私が男だったらしんでもいい!って思うかもしれない。

 私は女なんでありえないけど…


 

 結局そのまま動くことができなかったので朝まで寝ることにした。そしてもちろん次の日、つまり今日は登校日である。


「あぁぁぁぁぁぁ!!宿題が終わってなぁい!」


「ふえぇーん!優衣お姉ちゃん、私たちと一緒にサボろう?」


「嫌です。」



 私の夏休み、終わっちゃった。

 これにてヴァンパラ3章は終わりです。

 そしてしばらくは別の作品である「俺の死に場所はここじゃない。」の更新に入っていきますのでヴァンパラの更新は一時中断とします。

 よければ俺の死に場所はここじゃない。の方も見てください!


 

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