第26話 私の罪
すいませんm(_ _)m慌てて作ったので文章がかなり雑になっております。
内容的には林檎視点の振り返りになるので軽く読んでくださっても結構ですし、飛ばしてもらっても構いません。
今度修正するつもりです。
私だけならいい。
最初はそう思っていた。
私はあの男の従者になったそうだ。コーラを飲まされた後、ヴァンパイアと従者についていろいろ聞かされたがイマイチわからない。
ただ、私はあの男の血を吸わないと死んでしまうらしい。
絶対に冗談だと思っていたが、それはすぐに本当のことだと分かる。
あの男は見せつけるかのように懐から取り出したナイフを私の右腕に当てると、私が抵抗する暇さえなく切った。
ものすごく痛かったのは今でも覚えている。切られた痛みというよりは焼けるような痛みといったほうがいいだろう。
私がその痛みに悶え苦しんでいる光景を笑いながらみる男。
その笑い顔がとても怖かった。
気がつくと傷口は何故か塞がっていて、痛みもなくなっていた。男いわく、これは私が従者だからだそうだ。
目の前で嘘だと思っていた非現実を私は身をもって体感させられたのだ。
それからは男に従うしかなかった。何故なら私には彼がいないと生きていけないからだ。
最も憎く、恐ろしい男にすがっている…
自殺も考えた。だが、私には死ぬ勇気も、男に抗う根性も無かった。
そしてついに男は私に妹がいることに気づいてしまった。
商店街を姉妹揃って歩いているところを見られたようだ。
男は私にとんでもないことを命令してきた。
「お前の妹にこれを飲ませろ。」
渡されたのは汚らしい小瓶に入ったどす黒い色の血。
触るだけでも吐き気がする。
もちろん私は反抗した。妹は…妹はあんたなんかに好きにさせない。
だが男は「お前がやらないなら俺がやるだけだ、お前の時みたいにな。」と笑いながら言ってきた。
私はその言葉を聞いて男に牙を剥いた。が、あっさりと張り倒され、男はさらに私の耳元にまでわさわざ近づき囁く。
「お前は逃げらんねぇんだよ。」
怖かった。この男の何もかもが怖い。
だがそれでも妹を巻き込むわけにはいかないと思った私は泣きながら男に懇願した。
「お願い…妹だけは…蜜柑だけはダメ…」
男はそんな私を見てまたもやニヤニヤとしながら耳元に囁く。
「じゃあ代わりに誰か1人従者にしてこい。」
私はその時、その言葉が神のお告げのように聞こえた。
他の誰かを従者にしてしまえば妹を助けることができる…
そんなまたと無いチャンスを私は了承してしまう、男に踊らされているとも知らずに。
だが、いざ誰かを探すとなるととても大変だった。
従者にするということはこの見るに耐えないあの男の血を飲ませなくてはならない。
私はあの時無理やり飲まされたので味は一応覚えている。
いくらコーラに入っていたとはいえ、口中から鉄の味がするのだ。
つまり、飲み物に入れて飲ませるのはバレて吐き出される可能性が高い。
かといって無理やり飲ませるのできない。
それに、誰を従者にするのかも決まらなかった。
友人には飲ませたくはないし、かといって見知らぬ人に血を飲ませるのは難易度が高すぎる。
だが、早くしないと蜜柑が危ない。
私は覚悟を決めることにした。
数日たって、私は蜜柑とともに恵子という私の友人の恵子の家に遊びに行く約束をする。もちろん目的は遊びなどではなく、恵子に血を飲ませ、彼女を従者にすることだ。
雨が降っていたので私と蜜柑は傘をさしながら歩いていると、道端で私とおんなじくらいの女の子が寝巻き姿で倒れているのを見つける。
蜜柑と話し合って、ひとまずその女の子を私の家まで運び、冷めていた体を温めてあげた。
その女の子は深見優衣と名乗っていた。お腹が空いてそうだったので私自慢の特大オムライスを作ってあげた。
私はおそらく深見さんは家庭の事情がよろしくないのだろうと勝手な解釈をして彼女の相談に乗ることにしたが、どうやら的外れだったらしい。
そしてその時、私の中であの男の血と同じようなどす黒い考えが生まれる。
この子を従者にしてしまえばいいじゃない。
そう考えた時、私はもう止まらなくなっていた。
まず、彼女の家庭状況を聞き出す。
すると彼女の父親は出張でしばらく帰らないらしい。つまり親に相談される心配がない。
そして彼女の家の住所を知るために雨を口実に付き添った。
彼女と別れた後、またここに来れるようにスマホの地図にピン留めをしておく。
必要はないはずだが、周りの様子や人通りなどを確認しておいた。
今思えば、この時、私はすでに私でなくなっていたのだろう。
蜜柑を救うためにとある罪のない女の子を犠牲にする…そんな罪悪感を胸の奥底にしまいながら私は深見さんの家のドアの前に立っていた。
私はとてつもなく大きな罪をおかした。




