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ヴァンパイアパラダイス  作者: ピルルピピ
1章 ヴァンパイア少女優衣
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第2話 続、吐血少女

 深見優衣には母親の記憶がない。

 優衣を産んだ後1年足らずで病により死んでしまったからだ。

 父親は夜遅くまで働いているためにまず会うことはない。

 ゆえに優衣は常に孤独であった。


 そんな彼女は学校が大好きだ。

 楽しい友人らと毎日会えるのが嬉しくてたまらない。毎日学校があったらいいのにとさえ思ったこともある。優衣は孤独の辛さを知っているがために友人関係はとても大切にし、なるべく多くの人と触れ合っていた。

 そして、友人が傷つくことがなによりも嫌いだった。

 親しい友を失いたくないのだから。

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

 

 今日は夏休みに入る前に計画していた友達4人を呼んでのお泊まり会。

 私は料理はそこそこできるので、みんなに美味しい夕食を作ろうしたのにこれはいったいどういうことなのだろうか。


 トイレに立てこもる優衣。彼女はまたしても吐血の連鎖によって苦しめられていた。

 

 クソォ、あのインチキグッズのせいでさっきから血がグフォォォ。

 止まらねえブファァァ。

 いったいいつまでゲェェェ。

 吐けば止まるんだブフォォォ。


 

 優衣がトイレで吐き気と格闘している頃、優衣の呼んだ友人達がすでに家の前までたどり着いていた。



「ようやくついたぜぇ!

 ここがユイユイんちかぁ、結構大きいんだなぁ!」


 そう言いながらドアホンを何度も連打する元気ハキハキとしたハイテンションな少女は東野東子。

 髪は綺麗な金髪で身長も高くその性格のためによく外国人観光客と間違われるが、実際は染めているだけである。

 とても自由かつフレンドリーな性格であり、初対面の優衣ともあっという間に仲良くなった。



「やめろ東子。うるさい、迷惑。」


 東野にそう注意しつつ襟の後ろを掴んでドアホンから引き離すのは南雪菜。

 とてもクールで落ち着いた青い髪の少女。

 彼女は幼少期から柔道をやっていたので、力もそこそこ強い。いつも調子にのる東野に制裁を下している。

 身長が低いのがコンプレックスだ。



「優衣遅いなー。まさか、中で死んでたりしないよね!?」


 優衣の事に対してとても心配性な彼女は西条藍。

 小学校の頃から優衣の幼馴染であり、優衣に対しては友情を超えた…以下略。身長も優衣とおんなじくらいで、肩まで伸びる黒髪の女の子。

 大事なことなので二度いうが、優衣に対して以下略である。



「そ、そんなことはないと思いますけど~、多分。」


 とてもおどおどした喋り方をするのは北原氷麗。

 その名前とは正反対な性格でまるっこく、とてもシャイであり口べたである。

 髪の色も春を思い出させるような桃色で、優衣や東野のように初対面の人とも打ち解けるコミュ力に憧れている。


「しっかしユイユイのやつどうしたんだー?

 家で待ってるって言ってたよな?」


「やっぱり優衣に何かあったんだわ!

 確かめないと…」


「あ…西条さん。

 勝手に入るのはまずいと思いますけど…」


「かまわねぇ!突入だぁぁぁぁ!」


「東子、落ち着け。」


「鍵はかかってないということは優衣は中にいるってことね。」


 そうして、優衣がトイレで死闘を繰り広げていることも知らずに4人は優衣の家に入っていった。



「あれぇ?ユイユイがいないよぉ?

 いったいどこに隠れているのかなぁ?ぐぇっへっへっへ。」


「東子、その喋り方うざい。

 やめないと背負い投げくらわす。」


「あぁ、もう優衣ったらどこいっちゃったのよもう!

 ほんとに心配だわ!」


「どうやらお料理してたらしいですね。

 キッチンに調理器具が出しっ放しです。」


「ん?なんだこれ、ケチャップか?

 それともトマトソース?」


 東野が見つけたのは先程優衣が大量に吐き出した吐血の入った鍋だ。

 その量からして見た目がどうもトマトソースそっくりである。


「あら優衣ったら料理してたのね。

 そういや昨日優衣が私達に夕飯を作ってくれるって言ってたけど、これはつまりスパゲティってことかしら。」


「美味しそうですね。」


「ちょっと味見してみるかぁ!」


「東子、意地汚い。

 せめてスプーン使え。」


「あ、なら私も味見するわ。

 優衣の味ってどんな感じなのかしら。」


「さ、さ、西条さん。

 その言い方はどうかと思いますよ?」


「私も少し、気になる。」


「はい、スプーン。

 じゃあみんな一斉に味見しよう!」


 こうして彼女達は優衣の吐血を飲んでしまう。

 



「…………………………まっずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


「なにこれ、鉄の味がするわ!」


「というかこれ、血の味…」


「えぇ!?私達、血を食べちゃったんですかぁ〜!!」


 みんながぎゃあぎゃあ騒いでいるところに、吐き気を克服した優衣がトイレから戻って来た。


「う、うぇぇ?なんでみんないるの?

 てかなんでみんな今にも死にそうな顔してるの?」


「ユイユイの料理が強烈だったからな、みんなビックリしてるんだぜ。」


「優衣、この血、どこから?」


「優衣、いったいなんてもの作ってるのよぉ!

 まさか病んでないわよね?」


「優衣さん…あの…その…すいません、料理勝手に食べてしまって。」


 あれを……食べちゃった?

 私の吐血を?


………………思考状態停止中の優衣。

 そして。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!食べちゃったのぉ!

 私の吐いた吐血をブフォォォォ。」


 その衝撃の事実を知ったせいでまたしても鍋に吐血する優衣。


 そしてそれを見てようやく4人も気づいた。


 私達は優衣の吐血を食べてしまったのだと。


 そのこと知った途端、吐き気を催した4人は一斉に赤い液体を吐き出す。



 ここに、5人が揃った集団吐血大会が幕を開けるのだった。

 汚い描写が続きますが吐血回は今回でおしまいです。

 まぁまた何話かしたら吐血回になるのだろうけど…

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