第13話 プール日和
「プールだぜひゃっはぁー!!」
「東子、はしゃぎすぎ。」
「あぁぁぁ、冷たい冷たい冷たい冷たい!」
「東子、お前はいい加減そのノリをやめろ。」
「えぇ、だってユイユイ。このキャラがないと私が私でなくなっちゃうよ〜。」
「キャラ作ってたのか…」
「まぁまぁ、東子さんもプールに入れるんだからハイテンションになっているんですよ優衣さん。」
「はしゃぎすぎて風邪引かなきゃいいが…」
「優衣、大丈夫。バカは風邪ひかない。」
「おいこらゆきなぁ!誰がバカだってぇ!?」
「お前だよ。」
「お前だ。」
「あなたです。」
8月も中旬に入り猛暑が続くなか、学校の施設を使ってもいいことを思い出した優衣達は朝から4人揃ってここ、百合ヶ原第二高校の隅っこにあるプールに来ていた。
本来なら水泳部が練習に使っているのだが、どうやらお盆休みらしく誰もいなかったのだ。
「それにしても暑いですね。足の裏が火傷しそうです。」
「まぁ今日も今日とて最高気温38度らしいぜ。全く、ヴァンパイアは別に日光を浴びても大丈夫だけど、この暑さはマジできびいな。」
「ユイユイ、そういう時はこうすればいいんだよ。」
東子はそういいながら真夏の太陽の光によって熱した鉄板のような地面に仰向けに寝転がり、器用に体をくねくねさせて時には跳ねたりもしながら
「あぁぁぁぁぁ、あついあついぃ、焼けるぅぅ焼けちまうぅぅ。俺ももうここまでか…あばよ、愛しのマイマーメイド。バタッ。」
「あ、そうだ、帰りはカキ氷買って帰ろうぜ。学校の近くに店出してるところがあるんだ。」
「いいですね、私、イチゴが大好きなんですよ。」
「私、練乳。」
「じゃあ私は二つ合わせていちごみるくだな。」
「あ、優衣さんずっるーい。」
「「「わはははは」」」
(無視しないでよ。)
なんやかんやで楽しくプールで遊ぶ優衣達。競泳や鬼ごっこ、持って来たビーチボールでバレーなど、一通りやったので休憩がてら日陰で寝そべっていた。
「ねぇ、優衣ってさぁ体重増えたんだよね。」
「あぁ?東子、今なんつった?」
「いやいや、別にそういうことじゃなくて。見た目は変わってないのにいったいどうして体重だけ増えたんだろうかなぁって。」
「あぁ、それ私も気になります。あまり増えてないようにも見えますが、実際どうなんですか?」
「あー、えーっと。その。あの。」
「なんだよユイユイ、誤魔化さないでおしえてくれよー」
「いや、その。」
「何か言えない事情でもあるんですか?」
「え、そうなのかユイユイ?そんな大事なことなのか?」
「いや、そうじゃないけど…」
「なんだよーじゃあ教えてよ。冷たいなぁぁ」
「うっさいなー。分かったよ。言うよ。」
「さすが我らのマスター。じゃあハイ、どうぞ!」
「胸がでかくなった。」
「なるほどー胸がでか……へっ?」
「え、だって優衣さん。見た目はほとんど変わりないですよ?」
「外見からだと少し分かりづらいかもしれないけど、確かにひとサイズ大きくなってた。」
「それは成長ではなく?」
「ああ、ヴァンパイアキットを使ってから一気に大きくなった気がする。今まではこんなことなかったから、おそらくヴァンパイアになったことが原因だと思う。」
「なんだよそれー私もヴァンパイアになりてぇ。」
「やめてくれ、私はお前の従者になるくらいなら喜んでお前をぶっ倒して新しいマスターになるわ。」
「でも、それだとこれからも大変じゃないですか?ヴァンパイアとしての能力値はヴァンパイアとしての経験とともに上がっていくんでしたよね。このままじゃさらに大きくなって、終いにはバルンバルンのボインボインになっちゃいますよ。」
「バルンバルンっておい…」
「まぁなんとかなるさ。今までもなんとかしてきたんだし。」
「だといいんですけど…」
「それより、そろそろ上がらないか?寒くなってきたんだけど。」
「そ、そうですね。じゃあ皆さん、着替えましょ…」
「優衣!!」
「へっ?」
雪菜がそう叫びながら優衣に飛びつく。プールの近くに立っていた優衣はそのまま雪菜とともに水の中に落ちた。
そして2人が落ちた直後、優衣がいた場所に銃弾のようなものが撃ち込まれていた。
「なっ何事ですか!?」
「敵だ!」
東子が指差した先、太陽を背に優衣達と同じような年齢の女の子が、まるで天使のような白い羽をはばたかせて降りてきた。
だが、そんな羽とは対照的に黒い悪魔的な衣装を纏っている。
「クックック、私の一撃をかわすとは素晴らしい。褒めて差し上げよう。」
「あ?お前は一体何もんだ?何しにきたんだ?」
「ふふ、そんなの決まってるじゃないですか。」
不気味な笑いを見せながら彼女は言う。
「そこにいるヴァンパイアの抹殺ですわ。」
なんか羽ってゲシュタルト崩壊するんだけど。




