かぐや姫
三寸ばかりの黄金に輝く娘
溢れかえる光の輝きが周りへ漂う
やがて育った汝は妖美の容貌
性欲持つべき漢が集まり
「我こそ抱くのだ」醜き欲望
冷めた感情持ち合わす汝
決して首を曲げる事を許さず
しかし しつこい漢が五人現る
呆れた汝 条件突き出す
誰一人と 成功する者はおらず
艶を含んだ煌く髪を
風と共に後方へ払う
人前で姿を見せず
面を晒す事を拒絶
傍らに居る事を誓った帝
深き闇を孕べき汝への想い
丹花の唇に触れる日を願う
「長き爪して 眼を掴み逸らす!
さか髪を取りて かなぐり落とさむ!
さか尻をかきいでて ここらの公人に見して恥を見さむ!」
翁と嫗と過ごした廿余年
やがて時は終わりを告げて
感たるに堪えない者達
逆らえきれぬ運命にたてつく
――冷酷非常なお姫様
楽しいお話なんてそこにはなくて。
裏切り 別れ 苦痛 憎しみ‥‥‥
世界はもう これほどまでに
美しく 切なく
終わりによって生まれる感情―――。
空へと顎を向けると雫で重なる月夜
穏やかに流れる詩を心身で味わう
通るはずの無い小さな望みは
亜麻色の瞳にて絶望を知る
――慰めなんてものはあらず
仰ぎ 嘆き 泣き 失望‥‥‥。
あの眩しさはどこへいったか
日々沈んでゆく血の涕の華―――。
ついに 宵内に広がる月輪
迎えにあがった 月の死者から
誰一人と 汝を守れる者はおらず
嫗の腕に収まりていた宝娘
死者と共に暗雲へ導かれて
感謝を込めて渡す御手紙
翁と嫗には要らぬ不死薬
焼き払われ姿を消し去る
脱ぎおく衣を胸に抱き
羅藍乗りゆく汝に手を振る
「今はとて天の羽衣着るをりぞ君をあはれと思ひいでける」
最後に知った本当の愛と真は帝へと‥‥
もう知ることは無かろう愛情
脱ぎいた衣と共に失う記憶の旋律
宵内へと響く悲痛の叫び―――ー‥‥