soda pop boy. reverse girl.
「私たちはみんな、
ラムネのビンの中に閉じ込められて いるんだよ」
逆立ちしたまま少女がいう。
そうなのか、君たちはビー玉なんだねと思った。
逆立ちのまま少女が歌う。
聞いたことのない言葉で、
僕の知らない感情を歌う。
なんだかそれに救われたような気持ちになって、
彼女の名を叫んだ。
母親に救いを求める子どもになって、僕は叫んだ。
すると、なにやらきらきらと光るペットボトルのような形の水晶が、地面からにょきにょき生えてきた。
「じゃあ、よろしくね」
逆立ちの少女は歌うのをやめ、一言僕に投げかけると、 とことこと何処かへ消えていった。
逆さまのままだった。
僕には、いきなり生えてきたこれが何なのかなんてわから なかった。
しかしよろしくと言われた身なので、 一つのペットボトルをえらんでその隣に座った。
きらきら光るそれの中には、
なにやらビー玉が入っている 。
ペットボトルのようなものを根本から折って振ってみた 。
カラカラカラと音がした。
辺りはずっと静かなままで、
カラカラという音だけが響きもせずに転がっていく。
コンコンと叩いてみると、あっけなく割れた。
まるで泣いているような色のビー玉だった。
取り出して触れてみると、
氷のようにひんやりと冷たかった。
あぁ、あの少女の目をくり抜いたなら、
こんなビー玉になるんじゃないかなと思った。
顔の近くに持ち上げて世界をすかしてみた。
逆さまの少女が見ている世界に少しふれた様な、
そんな不思議が僕を包んだ。
いつのまにやら、
さっき少女が歌っていた歌が聞こえた 。
耳を澄ます。
長かったのか短かったのか、
時間が過ぎた。
僕はなんだかそれを食べたいような気持ちになった。
そっとビー玉を口に含んだ。
まるで、この世界全部を手にした王様のような気分だった。
コロコロと舌で転がす。
いつまでたってもそれは熱を持つことはなく、
静かな氷 のままだった。
しばらくそうしてビー玉を弄んでいると、
いつの間にか、自分の周りをきらきら光る大きなペット ボトルが囲んでいた。
あぁ、僕も同じだ。
すべての中の欠片なのか。
いつの間にか他のそれらと同じ大きさに縮んでいたペットボトルの中で、僕は少しずつ悲しい色に溶けていく。
意識の殆どは溶け出してしまい、
ラムネ色に映っていた。
体など、一体どこが目で、
どれが足なんだか分からなくなっていた。
それでも確かに見えた景色の中、
いつのまにかあの少女 がいて、
逆立ちのまま僕を見ていた。
悲しい色の僕で満ち満ちたビンの中、
あのビー玉だか少女の目が、
どちらともなくキラキラと浮かんでいる。
僕はただ静かに歌を聴いていた。




