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弐の二

これもかなりめちゃくちゃです。

ま、温かい目で見てください。

 「社長のこれから始まる新事業の事、聞いた?」

 専用のスプレーで変えたであろう金髪と髪ロールが特徴的な女性、工藤真奈美くどうまなみは、両手に先ほど淹れたばかりの緑茶の入った湯飲みを掴みながら俺に聞いた。

 「知らない。何ですか?それ。」

 今の面倒な仕事の書類を書き終えたと同時に聞いてきた。

 見たところ、彼女も今期の仕事のほとんどを終えたらしく、デスクが昨日と比べてこざっぱりとしていた。

 昨日は、書類の山ができていて、隣の俺の所にまで書類で、侵食するまでになっていたのだ。

 それが今では、湯飲みとせんべいの袋の二つだけしか置いていない。

 パソコンは、二つに折り畳まれており

――折り畳み式のノートパソコンであるが念のため

――デスクの隅っこに置かれている。

 「あっ、せんべいあるけど食べる?」

 と俺の視線が彼女のデスクにあるせんべいの袋だと思ったのか、袋を俺に差し出してきた。

 いただきますと先に言ってから、袋に手を突っ込んで一枚取り出した。

 取り出すとそれは、丸くて茶色い海苔せんべいだった。

 その端を口にくわえる。んんっ思ったより固い。  バリッ。 という噛む音と一緒に粉がパラパラとズボンに落ちる。

 気にせずパリパリと口の中にあるせんべいの欠片を咀嚼する。

 結構しょっぱい味がした。でも何枚か食べたくなる病み付きになりそうな味だった。さすが何百年も続くおやつ。美味しいのは当然だろう。

 「お茶もいれてあげる。....あんたの湯飲みはどれだっけ?」

 と俺の背後にあるポットを見た。

 確かに欲しくはあったが、少し申し訳ない気持ちが出てきた。だが、彼女は、 「私も、緑茶の中身がなくなってがほしかったところだからねぇ。――よっこらせ。」

 立つとぱきぱきと足の骨がきしむ音がする。

 やはり俺が行くべきだったかとちょっぴり思った。

 湯飲みを掴んですたすたとポットの方へ向かう。

 その際、彼女の匂いが漂った。

 正直臭い。甘い臭いがきつすぎる。

 指摘した方がいいかと迷ったが、辞めた。

 彼女は好きでやっているのである。俺のような若造が言っていいわけがないと思ったからだ。


 しかしそれにしたって、もう若くないんだから、あまり前に出るような香水は避けてほしいと思った。

 まさか加齢臭対策?

 失礼か。と思ったところで、真奈美さんがお茶を入れ終えて、二つの湯飲みを両手で持ちながらこちらに戻ってきた。

 途中あつっあつっと、小声で、デスクに置くまでいい続けていた。

 「ふぃーおまちどーさまーぁ」と湯飲みをそれぞれのデスクにおいたあとパンパンと手を叩いていた。

 よほど熱かったのかな?しかし、ならば

 急須ごと持ってきたらいいのでは?

 とおもった。

 というか俺が持ってくれば良いではないかとおもむろに立ち上がって急須をとりにいく。

 

 閑話休題

 「それでねーさっきのはなしのつづきなんだけどー」真奈美さんは言いながら袋より新しいせんべいを取り出す。


 「何かさー生物の細胞を使ったやつなんだってさ

バイオテクノロジーって言うの?そういうの」

 バイオ、テクノロジー? 「バイオテクノロジー、ですか。たしか、植物やらなんやらの能力を使った研究でしたっけ?」

 「うんそう言うの」

 だが、そういう関係の分野は既にやっている気もするが。というか、

''コンツェルン''と言われる程の大会社とっては、逃げようにも逃げられない、分野である。

 

 21世紀もすでに4分の一、四世紀半終えている人類にとって今、最も解決すべき問題が

 ''エネルギー問題''である。

 

 現代社会において、最も使われているエネルギーは、石油である。

 石炭よりも燃えて、プロトニウムやウランよりも安全なものとして20世紀から今日にかけて、愛されているエネルギーである。

 しかし、21世紀にはいってからある重大な問題が浮上した。

 

 石油が今世紀中に枯渇する。

 

 石油が今無くなると恐らく、世界で賄われている電力源の半分以上を失うことになると思われる。

 

 だからこれまでできたことの半分以上ができなくなり、社会が思うように進まなくなると、お髭の似合う大学教授が言った。


 「えっ誰よそれ?」

 真奈美は、お髭の似合う大学教授を知らないようだった。そりゃそうだ。

 それを言ったのは、俺の通っていた大学の教授だもの。

 で、これからどうエネルギーを賄っていくのか、

 石炭ではあれも数が限られているから駄目。

 ウランなどの放射能物質は、たしかに、石油よりもエネルギーがでる奴だけど万が一の原発事故の可能性と放射能についての不安があるから――――それは放射能を取り除く技術がまだ確立していないため―――、石油にかわるエネルギーとしちゃあまだまだ技術不足ということである。

 「まぁ宇宙のエネルギーは、地球人じゃ、100年かかっても完全に操ることは不可能だと私は思う」とお髭がピシッと整っている大学教授は、自慢のお髭を触りながら言っていた。


 「その根拠は?」とある生徒が手をあげて大声で、質問した際、彼は首を振りながら、 

 「ない」と答えた。

 質問した生徒は、「ならばなぜそう思ったのですか?」ときくと

 教授は、「まぁここからは私の持論だが」と最初に付けてから、こんなことを話した。

 「しかし、20世紀後半と21世紀初頭に起きた原発事故の被害とを

考えるとやはり放射能物質は、人間なんぞでは到底、使いこなせない技術だと、私は思うのだよ。

 放射能は、一度汚染されれば、水で洗ってもとれない、大変危険な物質だからね。あの原発事故も放射能が水で洗ってとれるものだったら、今日まで我が国を悩ませるほどの大被害にはならなかった筈だし」

 それに、と微笑んだあと続けて、

 「そもそも水で洗ってとれるほど簡単なものなら、世界中に原子力発電所があるはずだ。

だが、放射能物質はそんな夢のようなものじゃなくて、使い方次第では

地球を滅ぼすことすら可能な大変恐ろしいものだ。

少量でも生き物を殺すのには容易い、物質だ。それをよりにもよって

人間なんかがそれを使えば、それこそ世界は終わる。滅ぶ。

人間は、愚かだからそれを玩具のように軽々と扱うだろう。実際遊びかねない。だからまぁ証明にしては稚拙で、下手くそなことを話したが、結局あれだよ。

私が言いたいのはつまり、人間が使えば制御する前に世界が終わるということだよ。人間が使えば、間違いなく事故を起こすか戦争に使われるからな」と。

 まぁたしかに到底、根拠なっていない持論だが、俺は、なるほどと納得した。 

 (一歩使い方を誤れば、某アンドロイドの世界になりかねないからな。)


 と羊の顔が描かれた、なんだか面白い表紙の小説を思い出す。

 中身はブラックだったが。

 人間ができることには限りがある。

 実際、放射能物質は、平和利用ではなく、人殺しの道具に使われた。

 第二次世界大戦。

日本は、「三発」落とされた。

広島、長崎そして京都。


 人間は、新しい物を見つけるとまずどれだけの力があるか見るために、様々なおぞましいことをしようとする。そしてそれが人のために使われるかと言われれば、ほとんど使われないのだ。

 

 大学教授は、続けた。

 

 「さてならば現代社会において、今のところ石油の位置から変わると思われる新エネルギーは、何か?

 

 そうバイオマスエネルギー。

 人間は、古代の遺産である石油から現代に住む生き物からエネルギーを得ることを思いついたのだ。」


 

次回、

現代のエネルギー後編。

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