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空港にて

プロローグ的な

 インディアル滞在最終日

 聞いてた話と違う――。

 垣山健介かきやまけんすけは、目の前の悲惨な光景を眺めて思う。


(会社のやつらはこれから俺をどうするつもりなのだ?)今の彼にはそれしか考えることができない。

 いや、もう結論は出ているではないか。

 

 このままではただ、殺されるだけだ。 

しかし垣山は、どうすることもできず、ただ呆然と眺めていた。


 彼は、そんな自分がつくづく嫌になった。

 ■日前。

 午前9:45

 アフリカ大陸のとある国。アメリカ領、インディアル。最近出来た国である。

 その国にある最近出来た空港、クリアス国際空港のロビー。

 

 数分前くらいにアメリカ行きの飛行機に大勢の人が乗っていったためか人が少ない。

 次の発便は、三時間後。もうひとつなにかできそうな空き時間。

そのため人がまだあまり集まらない。

 広々とした空港のロビーの中、中央に何列かずらりと並べている背もたれのあるソファー。(ソファーって普通はそういうものか) 並んでいるソファーの色もまた違っており6列あるのだがそれぞれ赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫、

 と、まぁ恐らく虹の色を模しているのであろう。

 これがアメリカ式の虹なのは、配置した人がアメリカ人なのかあるいは....? 閑話休題。



 三番目のソファー、つまりは緑色のソファー脇にスーツ姿の日本人がロビーの入り口の方に顔を向けたり、かとおもえば壁に映されている電工掲示板を眺めたりしている。

 彼は、ロビーの電工掲示板に映し出されているデジタル時計を見たり入り口の自動ドアを見たりしている。待ち合わせだろうか?


 彼は、時計を見ながらまるで、集会の間友達とこっそりしゃべるように静かに呟いた。「遅いなぁ」

 彼の名は垣山健介。

株式会社「弐面」という会社の営業部に所属している。


 彼は、会社の海外派遣員である。


 垣山は、ロビー全体を見える範囲まで見渡した。


 ロビーは、静かで清掃用のロボットが床を静かにプログラムされた順番通りにミクロのごみまで這いながら吸いとって行く


 人がまばらで、

 空港の受付にいる20代位のお姉さんが眠たそうにして目の滴を指で拭っている。客が来なくて暇なのだろう。

 俺が見ているのに気づいたらしく、サッと素早く元の体勢に戻した。


 ロビーの中央階段で、黒人の小さな子供たちが、きゃーきゃー騒いで遊んでいる。その親らしき者も注意せず、スモホをいじっていた。

 ....あっ子供が転んだ。

 やはりみんな次の便が来るまで、暇なのだろう。


 暇と言えば俺もである。ロビーで、通訳とここで待ち合わせをしているのだが、

 なかなか来ない。

 待ち合わせは、午前9:30。現在15分の遅れである。

 ....ま、気軽に待とう。


 彼は、自分の腰ほどの高さがある、赤一色とシンプルだが頑丈で、よほどのことがない限り壊れにくいショルダーバッグのストッパーを外し、

 目に優しい緑のソファーのはしまで移動するとショルダーバッグのタイヤのストッパーを足で踏みストッパーをかけてから

ソファーに座った。


 やはりそこらの椅子とは感触が違う。....もっと他にもお金をかけるところがあるような気もする。

ふっ。と一息ついたあと、

 彼は、左手首に着けてある腕時計型スモホに人差し指を添えた。時間が表示される。時刻は9時50分。


 彼は、胸ポケットから電子タバコを取りだし口にくわえる。口元にある正方形の小さなスイッチを押して起動させた。

 反対側の穴から冷たい水蒸気がもくもくと出てくる。何の害もないただの水蒸気。演出である。

 

 彼の喉がスゥーッとした。のど飴でも噛んでいるような味だ。


 どうもロビーというのは、人は、少ししかいないものの、空気が濁っている気がして苦手だと彼は思う。

 空調がすこし強めなのもあるのだろう、空気がかぴかぴ乾燥しているのである。

まぁ、アフリカなので、空調なしだと40℃近くまで上がるから強くないとやってられないだろう。太陽の光が強く、壁にかかった窓から来る光がとてつもなく強い。ソーラーパネルをつけたら大儲けだろうな。

 垣山は、窓から来る光が床を照りつけている様子をみながら思った。

 光線が、空気に漂う埃を写し出していた。なかなかきれいなもんである。

 

 俺は、電子タバコから出る煙をすぃーと飲み込む。「ゲホッ! ゲホゲホ」勢いつけすぎてむせた。


 「さてと....」

 なんとなくしばらく通訳の方が来ないような気がするので、俺は、ショルダーバッグのチャックを開けて今回の仕事の書類を手に取る。

 「人間の細胞の再生」

 とワープロで打たれた文章を読んで(やれやれ。もう日本に帰りたくなってきたよ。)と溜め息をつく。そもそも俺は、本来来るはずが無かったのだが....。

 いったい何があってこんなことをする羽目になったのか。

 彼は、数日前までいた日本の会社を思い出す。

 


プロローグは、しばらく続く....

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