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誰かのはなし
エンプティ「ねえ、トラッシュ。あの人たちは誰なの?」
トラッシュ「あいつは、この世界の屑どもさ。名前も顔もありゃしねえ、意味のない存在たちさ」
エンプティ「何も意味がないのなら、彼らはどうして働くんだろう」
トラッシュ「知るもんか。働くことにも意味なんてないさ。白い地面に線を引くだけの仕事なんざ、何の意味を為すっていうんだ」
エンプティ「ぼくだって、よくはわからないよ……でも、彼らは互いに、何かを守っているような気がするんだ」
トラッシュ「また、分からねえことを言うな、ボウヤ」
エンプティ「だってね、このあいだ、ライアが線を消そうとしたら、彼らすごく怒ったんだ。きっと線の真ん中に、何かを隠してるんだよ」
トラッシュ「空っぽのボウヤの中には、何にもないのにか?奴らには何かあるって、お前は言うのかい、ボウヤ?」
エンプティ「そう言わないでよ。それより、彼ら……今日はなんだか元気がなさそうだ」