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死体のはなし
エンプティ「ねえ、バディ。きみはどうして死んじゃったの?」
バディ「そうねえ、そんなことは昔すぎて、すっかり覚えてないわねぇ」
エンプティ「そっかあ。ねえバディ、死ぬのって、どんな感じ?」
バディ「あら、気にかけることじゃないわよ、そんなの。ボウヤは生きてるんだから。人生って、すばらしいのよ。喜びに満ちているんだから。ボウヤはね、死ぬことより、生きることを考えなさいな」
エンプティ「生きることを?」
バディ「そうよ。大切なものは、なくしてから気づくものよ。気づいたときにはもう遅いのよ」
エンプティ「それでも僕、たいせつなものがたくさんあるよ。これ以上増えなくたって、今のままで幸せだよ」
バディ「ボウヤ、そうは言うけどねえ」
エンプティ「どうしたの、バディ。ぼく、死ぬのは怖くないよ」
バディ「ああ、ボウヤ。今のままで幸せなら、なにも死ぬことはないだろうに。心臓が止まって、体が動かなくなる。生きてる方が、きっと何かと便利だよ」
エンプティ「きみがそう言うなら、ぼくはもう何も聞かないよ」