エンプティと空虚な世界

空のはなし

エンプティ「…あ」

トラッシュ「どうした、エンプティ」

エンプティ「空が……」

トラッシュ「空？」

エンプティ「割れている」

トラッシュ「……ああ、本当だ」

ライア「あら、エンプティじゃない」

バディ「ハァイ、エンプティ」

エンプティ「ライアにバディ。きみたちも、空を見たかい」

バディ「ええ。ひびが入って、今にも割れ落ちそうだったわ」

ライア「空じゃないわよ、卵の殻だわ！あれは卵の殻だもの！」

エンプティ「卵の殻？どういう意味だい」

ライア「そのままの意味よぉ！あれは空なんかじゃない！まっ白な、卵の殻なのよ！キャハハハハ！」

エンプティ「僕たちが、今まで空と思っていたものが、じつは違ったって言いたいのかい？そんな嘘はよしてよ」

ライア「嘘じゃない！！！」

エンプティ「嘘だよ、きみは、嘘つきの女の子だもの。僕を騙そうったって、そうはいかないぞ」

バディ「落ち着きなさいよ、エンプティ。おかしいのはむしろ、アナタの方よ」

エンプティ「なんだって？」

バディ「アナタ、最近おかしいわ。いつから『僕』なんて言うようになったの？今まではずっと『ぼく』だったのに」

エンプティ「何も変わらないじゃないか」

バディ「大違いよ。周りを見て、エンプティ。もう誰も、アナタのことを『ボウヤ』だなんて呼ばないわ」

トラッシュ「ああ、エンプティ」

バディ「……エンプティ」

ライア「さよなら……エンプティ」

エンプティ「……どうしたの、みんな……？やめてよ、僕は……」