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とある騎士団員のとある過去話  作者: 柘榴石
幼馴染【アキハ・コクラン】
9/21


「あたし、決めたんだ」


 風が吹き抜ける丘の上。ここから臨む景色は、以前は花に溢れて美しいものだった。

 アキハとコクランは今、フィオーレ城のふもと、ジラソルト遺跡群を越えた先にある丘に立っていた。

「……何を?」

 アキハは槍を担いだまま、樹の幹にもたれて座っている。コクランはというと、やはり幹にもたれていたが立っていた。

 フィオーレがソルティーナに敗北した後、彼らは奴隷のように働かされるようになった。脱走する者は捕らえられ、処刑される。しかし、そんな中でも脱走した者は確かにいた。――アキハとコクランは、そんな人々のうちに入っている。

 当然目は付けられているし、いつ見つかって殺されるかもわからない。しかし、奴隷として働いているといつまでも変えられない。

「フィオーレは、絶対独立させてみせる。誇りを守る為に、ね」

 アキハは笑った。

 確かに復讐の為に使うなとは言ったけれども……、とコクランは苦笑いを浮かべる。

「コクランも協力してくれるでしょ?」

「はぁっ!?」

「え、何よ。じゃあ何のために逃げてきたのよー?」

 槍を突き出され、コクランはたじろぐ。

「ああもう、そんな物騒なもん仕舞え!」

「君だって鎌持ってるじゃん」

 数秒の沈黙。その後、二人は同時に吹き出して笑い出す。

「当たり前だろうが」


 ――でもまあ、俺が守るのはフィオーレの誇りだけじゃ駄目だな。


「となると……仲間が必要だよねえ」

「どうするんだ?」

「どうしよっか?」

「おい……」

 けらけらと笑う。


 ――こいつも守らないと、あの二人にどんな目に合わされるかわからないからな……。



 風が吹き抜ける。

 新たな使命を抱えた二人は、下克上を始めるのだ。

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