詩二篇 「早春」 「眠り姫」
「早春」
ガラスのような風が
日の光にあふれている
河川敷を
ゆっくり
犬と歩く
川が流れ
山はいつの日にも 青く
空は なおも
澄んで冷たい
水の色をしている
その水の中から
太陽は反射し
私を
緑の大地に
くっきりと
映し出す
さらさらと
髪はなびいて
私は
春を呼ぶ
女神になる
「眠り姫」
あの話は 本当のことだと思うよ
何も見ていない
何も聞いていない
眠り姫は
ただ うっすら微笑んで
誰かを待っていたんだよ
いばらで誰も寄せつけず
でも 誰かに
入って来てほしかったんだよ
王子様が入って来て
もう いばらがない
これからはどんどん傷ついていく
眠り姫
だけど 本当に
うれしかったんだよ
変わらない微笑とは
もう さよなら
泣いたり 怒ったりするのが
起きてる証拠だからね