妹が生まれました、そして死ねます
妹生まれたよ、茜。ちょっとまじかわいいんですけど茜。なにこれ、俺死ぬの、可愛すぎて死ぬの俺。
もう、絶対嫁にやらねぇ、俺が養う、俺が一生養うよまじで。これはマジで勉強しよう。英語にドイツ語にフランス語に、韓国語と中国語、ロシア語もだな、やったるで、兄ちゃんやったるで! 外国語がしゃべれればそれだけでステータスだからな! まかせとけ。ああ、しかし可愛い。
妹萌えとか無いって言ってた俺を殴りたい、泣いても、殴り、たい。
くそう、こんなに可愛いとは思わなかったぜ、まるで別人だ。
はっ、どうしよう、知らない奴らに襲われるかもしれない、やばいやっぱり武術も習う必要があるな。
「かーたん、俺剣道と空手と合気道と柔道とボクシング習いたい」
「んー……、あきちゃん。もうちょっと大きくなったらにしようね。、それとそんなにいっぱいは無理だと思うなーお母さんは。でもなんで急に習いたいのかな?」
「野獣退治」
「野獣って……」
男なんて全員野獣だ、妹の半径100mに入った奴は全員処刑だ、皆殺しだ、フハハハハ。
「あなた、あきちゃんがまた変な笑いを……」
「放っておきなさい、いつものことだろう」
「いつもって、貴方といつも一緒にいるからああなったんじゃない! 責任とりなさいよ!」
「なんだ、嫉妬か早苗」
「違うわよ! そういう話じゃないでしょ!」
「嫉妬かかーたん」
「あーもぉぉぅ!」
母さんもいろいろと大変みたいだな。頑張れ負けるな、茜は俺が守るから!
あ、ちなみに2歳になりました、来年は幼稚園です。今からどうやって幼稚園の頂点に君臨するか検討中です、どうぞよろしく。
トイレも一人でいけるしおねしょなんかしないぜ。幼なじみの由美とは違います、あの子はまだおむつ戦隊ゆーみーマンです。
最近おままごとを覚えて大変です。俺の役所は人生に悲観して全財産を競馬に投資したら大当たりして見たこともない大金を前にうろたえる小市民の役です。こればっかりは譲れません、だって楽だもんうろたえてるだけでいいし。
たまにお父さん役とかやらされます。そんな時は人生とは何ぞや、と由美に語ります。そうするとだいたい1分で役所変更になるので重宝してます。
いや、ちゃんと遊んであげてるよ。たまにおもちゃで殴られるけど許してるもの、俺紳士、本当に紳士。
まじ覚えてろよ由美、この野郎。
おままごと以外には部屋の中でかけっことかですかね。狭いと思う無かれ、この身長だと広いんだよ室内、結構舐めてたね。茜が生まれてからは部屋の中でどたばたしなくなったけど、というか茜の世話が楽しくてやってないけど。
「あかねーあーかねー」
寝とるな、これは起こしてはあかん、あかんよ。寝る子は育つ、いい子に育つんだぞ茜よ。
「あーちゃあぁぁぁあん! あーそーぼー!」
うるせぇぇぇえええ! この馬鹿! 本当に馬鹿! もう空気読んでよ、茜がおきちゃうでしょうが、目ぱっちりしちゃうでしょうが! 育たなくなったらどうするの、身長40センチで止まったらどうするの、責任とるの? とってくれるの? いや、俺がとる!
やべぇ40センチの茜とかやべぇ、鼻血でる、まじで出る。俺死んでも良い、まだ2歳だけど死んでも良い。
「あかねちゃんだー!」
こらあああ、まてやこらああああ、お前は近づくな、茜に近づくな、触るな触れるな嗅ぐな見るな寄るな思うな感じるな!
「うぅっ……、あーちゃんがあーちゃんが……」
ちょっと、まてまてまて、泣くなよ、ここで泣くなよ? ほらおいでおいで、なでなでしてあげるから痛くないよー怖くないよー、世界は丸いんだよー? 茜は今超成長中だから起こしたら駄目なんだよ。
「ちょうせいちょー?」
そうそう、ここで起こしちゃうと茜がおっきくなれないから静かにしてようね。
「うん、わかった、静かにしてる!」
だからうるせぇっての、あーもー、しゃーない、あっち行って何かするか、茜起きちゃう。
「ねぇ、早苗さん。あきらちゃんって本当に2歳?」
「私も最近自信がなくなってきたのよ……、なんかもう夫そっくりよ……」
なんだ? 親父の話か? 親父は最高だぜ! 俺親父みたいになりたい。鼻からスパゲティ食べて子供に自慢するような親になりたい!
俺相手に本気でジャーマンスープレックスかけようとする親父みたいになりたい!
あれは結構本気で死ぬかと思った。
昔は結構やんちゃだったんだなぁ親父……。