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妹が仕込まれました

 やぁみんな、母親のお腹が気づいたら大きくなっていてびっくりな輝だ、今日も宜しく。


 どうやら予定通り仕込みは終わってたようで妹が出来るみたいです。俺に手間が掛からなかったのもあって別の意味で楽しみにしている様子。

 しかし妹か、妹萌えとか無いけどこう、改めて再会するとなると緊張するな。コラーゲン1.3倍に増加しそうだな。


 妹が出来るから母親がとられたような感覚に捕らわれたんだっけなぁ。今は無いわ、むしろ親父と一緒にいる方が楽しいし。


「ねぇ、あなた、名前はどうしましょう」


「そうだなぁ……」

 茜だろ? 輝と茜だろ、分かってるよ、すでに分かっちゃってるよ俺。安直なネーミングセンスにはもううんざりだよ。


 まぁ、予想通りその後茜に決まったわけだが、その間俺は親父の書斎で読書だ。

 読んでいる本は六法全書、え? 何でこんなのがあるって? 知らん、なんかあった。


 正直詰まらん、かなり詰まらん。こんなの読むくらいなら絵本の方が面白い。けど家にある本全部読んでしまったのでこいつを読んるわけだ。

 ぶっちゃけ暇なんだよ、1日なげぇんだよ。やること無いんだよ。どこぞの幼なじみみたいに一日中寝てるのも飽きるし、かといって外に遊びに行けるような年齢でもないし。


 せめて3歳か4歳くらいになりてーよ、わりと切実に。

 しかしこいつも飽きてきた、なんか殆ど頭に入っちゃったし、いや完璧じゃないけどさ、弁護士とかなる予定ないし。

 

 なんか他の本、と思ったが本棚が高く、引き出せる力もないので親父を呼ぶことにした。


「おやじー」


「おい、早苗、お前なんて事教えるんだ」


「え? 私じゃないわよ! 私なんてかーたんって呼ばれたのよ! ママ飛ばされちゃったのよ、でもかわいいから許すわ!」

 なんか騒いでる。そうか、いきなり親父はまずかったか、しかたがない。


「とーたん」


「あれ、なんだ気のせいか? いやまてまて、そんな事はないはずだ」


「いやねあなた、疲れてるんじゃない?」

 もうどうでもいいから本取ってくれよ、背が足りなくて取れないんだよ、重たいんだよ。暇なんだよ、暇つぶしさせてくれよまじで。


「この子は本が好きねぇ、でも六法全書って読めてるのかしら……」


「本をめくるのが楽しいんだろ? 先週は辞書めくってたぞ」

 そういいながら本棚から適当に何冊か出してくれる親父。おお、そいつは俺がまだ読んでない奴じゃないか、っておいおい、クラウゼヴィッツの戦争論じゃねぇか、何でこんなもんが家にあるんだよ。こっちは国際関係論かよ! わかるかよぼけぇ、社会人だってわかんねぇよ、こんなの渡すなよ。


「あなた、そんなの渡してどうするのよ」


「いや、輝なら読みそうな気がして」

 ほう、そいつは挑戦ってことかい親父? いいぜ、不祥輝、期待に応えようじゃねぇか。俺の背中についてきな!


――――――――――って、わかるかぼけぇっ!


 いい、わかった、わかったよ。世界はそんなに甘くない、やり直すことになったとしても分かんないものは分かんない、そいつを認めようじゃないか。

 だが、そこで終わっていいのか、そこで立ち止まっていいのか、人とは何だ、進化しつづける事に意味があるんじゃないのか、そうだろう由美!


「んー、んと、あーちゃん!」

 あーちゃんじゃねぇよ! 聞いてたのかよ、この熱い思いを、人とは何か、それが永遠のテーマなんだぞ。

 いやいや、いかんいかん、俺の説明の仕方が悪かったんだな、すまない、それは俺が悪かった。たとえ2歳に近づこうと日々努力している俺とお前だが、この話はまだ難しかったかもしれん、大丈夫だ、俺は分かっている、お前がいつか理解してくれる日が来ることを、まってるぜ相棒!


「あいぼ?」

 ロボットじゃねぇよ! ホン○のロボットじゃねぇよ、でもそれもまたいい! そのボケは満点をくれてやる。お前は将来大成するぞ、たぶんだけど。


「今日は二人仲いいわねぇ」


「いつも由美ちゃんが輝ちゃんに迷惑かけててごめんなさいね」


「あら、そんな事無いわよ、うちの輝だってね―――――」


「――――――――――あらやだ」


「そういえば―――――」

 こりゃ2時間コースだな、なんでこう主婦の会話って長いんだろうな、永遠の謎だ。区切りをつけようぜ何事も。人生長いようで短いんだからよ。

 とにもかくにも妹が生まれるまで後少し、それまで気楽な独り身ライフを満喫するとするか。


「だっ」


「キャン」

 ポッキイイィイィイイ!

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