おにいちゃんはすっごいの
題名おにいちゃん。
わたしのおにいちゃんは、すっごいおにいちゃんです。えい語も、ふらんす語も、どいつ語もしゃべれるんです。わたしは、えいごをちょっと、おしえてもらってます。でも、おにいちゃんみたいにしゃべれません。
おにいちゃんは、なんでもできます。おにいちゃんにはできないことはないって、いってました。あかねのためなら、なんでもできるっていってました。
だからわたしも、おにいちゃんのためならなんでもできるっていったら、ちが、いっぱい、おはなからでて、とってもたいへんでした。
おにいちゃんが、しんじゃうとおもって、いっしょうけんめい、がんばりました。
おにいちゃんは、おともだちも、いっぱいいます。きのうは、しーあいえーのちょーかんさん、というひとからでんわがありました。
あんまりしゃべれないわたしのために、ゆっくりしゃべってくれる、とってもやさしいおじさんでした。
あと、ごるばすおじさんも、よくいっしょにあそんでくれます。えすぴーさん、ってきいたけど、むずかしくてわかりませんでした。
さいきんは、ごとーさんとなかよくなったって、いってました。ごとーさんはせなかに、えがかいてあるおじさんです。おにーちゃんのことをあにきってよびます。おにーちゃんは、わたしのおにーちゃんだから、とらないでほしいです。
でもわたしは、そんなおにいちゃんが、だいすきです。おわり。
「はーい、皆、今の発表は聞かなかったことにしましょうね。おもにご両親のために」
せんせーせんせー。
「なにかな茜ちゃん」
おにーちゃんからおてがみ、もらったの! せんせーによんであげてって!
「へ、へぇ……?」
んと、んと、んしょ……。――――――――――ふぇ、よめない、よめないの、せんせいごめんなさい、よめないの、ふぇ、ふぇぇぇ。
「大丈夫よー、先生に貸してごらんなさい、どれどれ」
『茜になんかあったら教育委員会に圧力かけて幼稚園そのものを更地にしてやるから覚えとけよ』
「よぉぉぉし! 茜ちゃん泣きやもうか、大丈夫! 先生読めたから! ぜんぜん読めたから大丈夫、それとてめぇら! 茜ちゃん泣かしたら私がぶちのめす! まず、私が、ぶちのめす! むしろそれが救いだと思えこの野郎!」
せんせ、せんせがこわい、こわいよぉ。おにーちゃん、ふぇ、ふぇぇぇ。
「まってえぇぇ、泣かないで! 私の将来的に泣かないで!」
輝年長組みシーズンはじまるよっ!