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世界は俺達を引き裂こうと言うのか

 よう皆、年中組になった輝だ宜しくな。そういや前話した運動会ではちぃとパトカーが数台出動する騒ぎがあったみたいだがとりあえず問題は無かった。あえて言うなら茜が可愛すぎた、もう可愛すぎた。わかっていたが可愛すぎた。


 年中組になってやることは対してかわらねぇ。まぁあえて言うなら組つぅより幼稚園、いや園全部で一つの組になっちまったくらいだな。大した事じゃないから気にすんな。


 そんな事より今は俺は最大の危機に面している、世界恐慌よりもやばい状況だ、こいつはやばい、全身から噴出すこの塩水という名の汗、というか鼻血出そう。


「にーに、やー、あそぶー、一緒にあそぶー」


「だめよ茜、お兄ちゃんは幼稚園に行く時間なんだから」

 いいや、まちたまえ母よ、幼稚園とかしらねぇ! いかねぇ、こびねぇ、かえりみねぇ! 茜がっ、茜がぁぁぁぁああ!


「ほら、騒いでないで良いから行きなさい輝」

 ごはぁっ、ひ、ひどい。これは酷すぎる裏切りだ。茜の思いを踏みにじれというのか母さんよ!

 茜が遊ぶって言っているんだ! 幼稚園なんてどうでも良いだろうがよぉぉお! そうだろう親父!


「お父さんはもう仕事行ったわよ、輝もさっさと行きなさい」

 まじかっ、なんてこった、この家にはもはや味方は居ないと言うのか。いや、だからどうしたというのだ。逆境! そう逆境こそ漢を見せる時! 茜が泣いてる、女が泣いてる時に駆けつける漢になれねぇでどうするってぇんだ!

 

 たとえベルリンの壁よりも高い障害があろうとも、いや、障害があるからこそ俺は駆けつけてみせる。俺のこの魂にかけて駆けつけて見せるぜ茜!

 幼稚園は休みだ! 自主休園だ! お前の為なら法律すら変えてみせるわぁぁああ!


「はいはい、良いから行きなさい。由美ちゃんも待ってるわよ」

 なんという仕打ち、なんという事実、なんという現実。もはや神など居ない。死ねと言うのか、世界は、神は、現実は俺に死ねと言うのかっ!


「あーちゃん! おーはーよー! あーちゃんどうしたのー? 元気ないよ?」

 ほっといてくれ、俺は今人生に絶望している所なんだ。だからちょっと地球の自転で48度くらい回るまでそっとしておいてくれ。

 ラップダンスとかしてくれなくて良いから、テンション上がらないから、もうだめだ、俺もうだめだ、鬼の副長も落ちたもんだぜ……。


「あーちゃん元気出して! あかねちゃんが来てるよー?」

 驚き外を見ると母さんに抱かれた茜がそこに!


 あかねぇぇえええ! すまねぇ、俺が力足らず、力及ばず、一人にする事を許してくれ。俺強くなる、誰よりも強くなるから、すまねぇ、すまねぇ茜……。


「せんせー、あーちゃんがマジ泣きしてます」


「ほっときなさい」

 そりゃないぜ先生……。

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