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茜の為なら何でも出来るそれが兄貴クオリティ

 幼稚園では運動会っつーもんが年に1回ある。親との二人三脚とか、まぁそんな感じのだ。先生方が頑張って作ったであろうキャラクター製の手作り感たっぷりの門とか、どっから持ってきたのか良く分からないぬいぐるみを被ったりとか、まぁ、いろいろと大変な訳だ。


 そんな苦労を無くしてあげようと色々手を尽くしたのだが何故か、組長に泣き付かれてしまった、まったく訳がわからん。


「輝ちゃぁぁん! 組長じゃないから真由美先生だからぁぁああ!」

 なんだ組長、組員は全員いるぜ? そんなに大声で言わなくても聞こえてるから大丈夫だっての。


「大丈夫じゃないよ! なんなのこれ! 誰が本物のキャラクターを呼べって言ったのよぉぉぉ! それにこの門なんなのよ! 自動式で幼稚園より大きな門ってなんなのよぉぉぉ! なんで幼稚園の運動会でクレーンが敷地内に入っているのよぉぉぉお!」

 ふぅ、全く分かっていない。こいつは可動式の門で2階建てなんだ。2階からは侵入者に対抗する為に射撃用の窓も作ってあるし、門は指紋認証付きで200mmの鋼鉄鉄板を使用したからな。コンバットマグナムでもぶち抜けねぇぜ。


「何に備えてるのよ! そんなの撃たれないから! 撃たれないからぁぁあ!」」

 心配するな、ちょいと伝手を使ってプロを呼んでるからな、問題ねぇよ。


「プロってあれなの! 迷彩服着たあの外人部隊なの! おかしいと思ったわよ! コスプレに見えなかったわよ、本格的な部隊じゃないのよぉぉお!」

 おうよ、中東の紛争地域でドンパチやってる所無理言って来て貰ったんだ。腕は確かだぜ。


「来てもらわなくて良いわよ! というか何で来るのよぉぉお!」

 まったく、そんなに騒いでたら疲れるぜ。運動会が楽しみなのはわかるけどよ、ペース配分は程ほどにしておかねぇと駄目だぜ先生。


 園長先生にもちぃと挨拶に行かないとな。やっぱ命令系統はしっかりしとかないと何かあったとき各個撃破されるとまずい。あん? なんでこんなに厳重なのかって? 馬鹿野郎、どいつもこいつもわかっちゃいねぇ、今回は茜が運動会を見にくるんだよ! 何かあったらどうすんだよまじで! 茜のかわいさにおもわず1個中隊とかで攻めて来られたらどうすんだよ! 徹底抗戦するためには武力が必要だろうがっ、どいつもこいつも分かっちゃいねぇ。

 とりあえず当日はアパッチ飛ばして厳重警戒だ、と思ったんだがそいつは流石に無理だったぜ、警察庁長官にちぃと何枚か写真送ったんだが外人部隊の滞在だけしか許可してくれなかったんだ、ケチな奴等だぜ。


「ちょっとぉぉ! 国家権力脅しちゃだめぇぇえ!」

 脅してねぇよ、お話ししただけだよ、問題ねぇよ。しかし、武装が貧弱なんだよな、やっぱり各自AK-47は欲しい所だったんだがな。

 日本ちょっと頑張りすぎなんだよ、規制厳しすぎなんだよ。まぁ、しょうがない、妥協が大事だって事はこの3年で理解した。妹の事で妥協はしたくなかったがやれる事とやれない事が有る、そこは我慢しよう。


 前回の学芸会だったかではドイツ語のカエルの歌で会場が騒然となったからな、あんまりやりすぎちゃいけない事は学んだ。俺だって成長するんだぜ、マイクロファイバー製の吸収力舐めちゃいけねぇ。戦争論だってもう余裕で読めるぜ、フランス語も大分覚えたしな。今回の部隊は英語でいけるから全然問題ねぇ。


「輝ちゃんおねがい、お願いだから彼らに帰ってもらって……」

 な、なんだと、そ、そんな馬鹿な。茜を無防備にしろと言うのか! 俺に死ねと言うのか、先生は俺を見捨てるのか!


「違うから、全然違うから、日本だから、安全だから……」

 そんな事は無いだろう! 日本だから? 日本だからだって? そんな事は無い、真奈美は考えが甘い。茜の可愛さに対する考えが甘い!

 あの可愛さは第3次世界大戦が始まるレベルなんだぜ! わかってんのか!


「先生が頑張って守るから、ちゃんと守るから」

 あぁん? まぁ、真奈美の心意気は受け取るよ、その思いは受け取る、その熱い思いは大事な事だ。わかった、俺も漢だ、彼らには園外で守ってもらうことにするよ。

 そこが妥協点だ、勘弁してくれや組長。


「うう、もう無理です、私きっと先生に向いてないんだ」

 そんな事はねぇよ、俺先生大好きだぜ? スミレ組、組長真奈美は皆に愛されてるぜ、自信持てよ真奈美。輝いてるぜ真奈美! あんたが世界で一番だ。


 あ、それとポッキーって俺の家の番犬なんだけど、こいつも当日幼稚園に入れるから。大丈夫こいつは俺の初めてのソウルブラザーだ、めっちゃかわいいけど油断するなよ、前足には簡易スタンガン、首には麻酔針、尻尾にはGPSが付いてるからな。


「それ動物虐待よね、輝ちゃん駄目よそんな事しちゃ」

 何言ってんだよ! ポッキーだって茜を守りたいんだ、茜を守りたいっつぅシンパシーを感じてるんだ、その熱い思いに答えないでどうするんだ組長!

 

 つぶらな瞳でいつも俺に語ってくるんだ、やってやるぜ兄弟ってな。そう、ポッキーは俺の相棒なんだ。ルーベンスの天使の絵は見に行かないけどな!

 今から運動会が楽しみだぜ! なぁ皆!


「「「へい! 親分!」」」


「ちょっとぉぉ! 呼び方かわってるじゃないのぉぉぉ!」

 日々同じじゃマンネリだろうがよ、常に進化するそれが子供の特権だぜ組長!



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