第2話
カタツムリより遅いですが、なんとか2話目ができました
変なところで終ってしまってるのは勘弁してください
「ほらよ、とっときな」
「おっちゃ、これ……」
十三が手渡されたのはお金の入った袋だった
中身を見なければ金額はわからないが
おおよそ一週間程度なら生活できそうな資金であった
「先立つもんがなきゃなにもできんだろ
俺からの餞別だ、とっておけ」
「そりゃそうだけど…」
「わかったわかった、それじゃあこう考えろ
その金はお前に貸したんだ」
「貸した?」
「そうだ、つまり借金だ」
「この年でっ!」
借金という言葉に思わず反応してしまった
「お前がいくつか知らんがそうだ
お前はその年で借金持ちだ」
おっちゃんのその言葉に思わず俺は唸ってしまう
上手い、実に上手い手だ
最初のうちに優しくしておいて後で落とす
しかも借金なら金利で設けることができる
さらに肉体的には健康な俺ならばある程度仕事は見つかるだろう
いや、肉体労働ならまだいいが、もし男娼なんてことになったら……
「イヤーーーーーッ!まだ純潔でいたいのーーー!!」
最悪の場合の想像をしてしまい、心の中だけでは抑えきれず叫び声は実際に口から溢れ出てしまうのだった
「なに訳のわかんねえこと言ってんだバカっ!」
「ギャフっ」
俺の頭におっちゃんの拳骨が振り下ろされた
「いいかよく聞け、お前は俺に借金をした形になるが
俺はお前を連れて行くつもりもないし余裕もない」
「え…」
「それに俺にだって仕事がある、次の町に行かなきゃならん
だから、またいつか俺に会った時に全額返済してもらうからな」
「また今度会った時?」
「そうだ、また会う時までにきっちり金を貯めとけ」
そしておっちゃんは馬車に乗って行ってしまった
最後に一言別れの言葉を残して
「じゃあな、ボウズ」
(ここから感動秘話と回想が続きますが中略)
「とりあえずギルドにでも登録してくるか」
商人のおっちゃんと別れた俺は日々の糧を得るためにギルドへと向かうことにする
さて、突然関係ない話となるが、ここ一週間ほどおっちゃんの手伝いをしていてわかったことがある
一つ目、身体能力
実際には想像するほど高くなっていたわけではなかった
握力でいえば元の値に5キロほどプラスされた感じだった
主に俺は馬車から荷物を降ろしたり、逆に運び入れたりしてたわけだが
次の日にはメッチャ筋肉痛になってた
おかしいな、ステータス超強化って書いておいたはずなのに……
二つ目、成長具合
さて、先に言っておいたようにそこまでの極端な強化はさておらず
初日の荷物の降ろし入れ作業により俺の体は悲鳴を上げた
筋肉痛の体に鞭をいれて、この日も作業していた
しかしどうだろう次の日には筋肉痛は治ってるし、
30キロの荷物も片手で運べる筋力と一日中働いても尽きることのない体力(若干誇張表現)
この両方を手に入れ、この時初めてチートの効果を実感した
「ここがギルドか」
冒険者ギルドらしいが、俺には西部劇に出てくるような酒場にしか見えなかった
しかし冒険者ギルドという看板がデカデカと掲げてあったので間違いないだろう
とりあえず中に入って登録をしてしまおう
「すいません、冒険者として登録したいんですけど」
「はい、それではこちらの用紙に名前を書いてください」
そうして渡されたのはペンと紙なわけだが、ここで問題浮上
(この世界の文字ってたぶん日本語じゃないよな)
そう、俺がこの世界の文字を知っているわけがなかった
普通に話すこともできるし、読むこともできる、でも書くことだけはできなかった
中途半端すぎるよ女神様(涙)
俺と受付嬢の間にしばしの沈黙が訪れる
……………
そして恥を忍んで
「……すいません、字は書けないので代わりに書いてもらっていいですか」
「わかりました、それではお名前をお願いします」
恥ずい、名前書けない自分が恥ずい
「えっと、獅子崎十三です」
「シシザキジュウゾウ様ですね
すみません、どちらが家名かお教えください」
「獅子崎です、苗字が獅子崎で名前が十三です」
「ありがとうございます、それではこれより登録を開始します
終わり次第お呼びしますので、近くでお待ちください」
「はい」
しばし暇になった俺はしばらくギルド内部をフラフラと歩き回り見学をすることにした
歩き回ること数分、再び元の場所に戻ってきた
なんてことはない、上の階に昇ろうとしたら止められただけだ
どうやら二階から上は高ランク冒険者専用らしい
高ランクてどれくらい何だろう等ということを考えながらボーっとしていると
「ジュウゾウ様、ジュウゾウシシザキ様」
あ、名前呼ばれた
そうか英語圏みたいに名前が先で苗字あとなんだ、そうなんだ
先ほどのカウンターに行くと受付嬢が二つの腕輪を持っていた
「お待たせいたしました
ジェムへの登録が完了しましたのでジョブリングとギルドランクについて説明させていただきます」
はあ、と返事を出すことしかできない
ギルドランクは想像つくけどジョブリングってなんじゃ?
「それではまずジョブリングをつけてください」
渡された二つの腕輪を言われるまま手首にかける、大きすぎてブカブカなのだ
するとブカブカだった腕輪は突如小さくなっていき
俺の手首にジャストフィットする
「次にこちらを握ってください」
そう言われて渡されたのは二つの黒い球体だった、それを両手に持ち握る
すると手の中の球がいきなり消えてしまった
「今渡したのはセーブジェムと言われるものです、これは体内に入った後に本人の情報を習得しジョブリングに浮かび上がります
少々リングを拝見します…ちゃんとジェムが浮かび上がってますね、はい、大丈夫です
それでは次にこのリングとジェムの説明に移ります、リング自体はジェムを置いておく台座でしかありません
ジュムのほうには本人の情報、ステータスが記憶されておりいつでも好きな時に確認することが可能です
閲覧方法は左右どちらでも構いませんのでジェムをタッチしてください、ちなみに第三者がジェムを触ってもステータスは表示されません」
何て言えばいいんだろう、さすが異世界って感じだな
それではさっそくステータスとやらを確認させてもらいましょうか
セーブジェムの表面に軽く触れると薄緑色のステータス画面が現れた
獅子崎 十三
【レベル】3
【ランク】G1
【称号】新米冒険者
【筋力】E
【体力】E
【魔力】F
【精神】F
【器用】F
【敏捷】F
【技能】急成長、比例強化、超越、幻糸
異世界じゃなくてゲームの世界みたいだなこれ、てかレベル3かよ
たしかにまだまだ序盤だけどさあ、いやレベル1よりましなのか?
この世界は強さの基準はレベルなのか、これだと雑魚だな俺
さらに基本ステが軒並み低いな、体力と筋力が他より一段上なのな理由はわかるけど
技能の部分は大体わかるな、俺がアンケに書いたチートだろう、ただ幻糸ってのがよくわからんが
「なお詳細な情報は本人と本人が許可した人にだけが見ることができます、それ以外の人は名前、レベル、ランク、称号以上の四項目のみ見ることが可能です
技能の詳細を知りたい場合は、その技能について知りたいと念じることで詳細を知ることができます」
技能の詳細もわかるとはなんと便利な、正直なところ幻糸に関してどういう技能かわからなかったらどうしようかと思ってた
「レベルはステータスの合計値の大まかな評価です、この際技能は評価に含まれません
基本的に高ければ高いほど強いということになります」
つまり俺の身体能力はレベル3相当ということだ、世知辛い
「続いてはランクについて説明させていただきます、ギルドランクは上から順にX、SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gの全十一段階となり、さらに各ランクごとに1~10の階級にわかれています
ジュウゾウ様はレベル3なのでギルドランクは一番下のG1となります」
「一番下なのにG1とはこれいかに」
異世界の決まりに納得のいかないダビ☆スタプレイヤーの呟きだった
「ランクの昇格に関しましては、体内の魔力経路と繋がっておりますセーブジェムによって判断され、適正レベルになると自動的にランクは上がります」
要するにレベル上げなきゃランク上がらんし、ランク上げたきゃレベル上げろってことか
一通りの説明が終わって、眩しいスマイルで「何か質問はございませんか?」とか聞かれたので「大丈夫です」とこちらも精一杯のスマイルで返した俺はさっさとクエストボードに突貫した
ちなみに受注できるクエストは本人と同ランクのクエストだけであるが、階級に関しての制限はなく、G1ランクの俺でもG10ランクのクエストを受けることはできる
「でもGランクなんてそこらの雑用みたいな依頼しかないな」
とりあえず採取クエがあるのでそれを受けることにする
ボードに貼られた依頼書を持って受注カウンター(説明されたけどキンクリした)まで持っていく
「それでは本日から三日以内に薬草十枚の納入をお願いします、また期日に間に合わない場合は失敗と見なし違約金を徴収します」
ちなみにどんな薬草かわからなかったので図鑑を借りました、これも紛失したり破損したりすると金を取られるらしい
思いもかけずこんな世界に来てしまったが多分生きていけるだろう、大丈夫俺たちの戦いはこれからだ
「その前に宿で部屋とっとかないとな」
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