第5話
飛行機のエンジン音がする。
3人は音のする方向を見る。
空港のほうだ。
次の瞬間、飛行機が空港に突っ込んだ。
悲惨な飛行機事故が2件、立て続けにここで起きた。
そして凄まじい音が響きながら建物が崩壊していく。
中のゾンビが外に出てきているのが見える。
「おい、まずいぞ」
「ああ、中のゾンビが一斉に外に出てくる。どうする?」
俺はバギーに乗る。
もちろん運転席だ。
「行くしかない。俺は家族に会わなきゃいけないんだ」
誰かが後ろの席に乗る。
「どっち乗った?」
「どっちもだ。1人より3人がいい、マリヤちゃんの面倒もあるしな」
後ろを振り向く。
ダニエルの前に、マリヤが小さく座っていた。
こいつ10歳程度の子供だったらそう言うのか。
「よし行くぞ」
俺はハンドルを回し、走り出した。
「ところで、その家族はどこにいるんだ?」
「ベルリン市内のとあるアパートで暮らしているらしい」
「その前に、ホームセンターに行こう。俺はかばんも持ってない」
「どこにある?」
「近くにある。大きい店舗だ」
「そこそこゾンビ居そうだけど大丈夫?」
確かにそうだ。
でもなんか良いもんあるだろ。
「何が売ってるんだ?」
「あそこは何でも売ってる。保存食もあるからいくつか頂こう」
こいつ会った時から飯の話してないか?
「ところでマリヤちゃん、まず君はどこから来たんだ?」
こいつまさかそんな趣味ないよな。
「パリ」
聞いたことのある地名だ。
「パリ?ずいぶんおしゃれなとこから来たんだな。じゃああのアジア人のおっさんは何もんだ?」
ヘリに乗っていた男のことだ。
「おいアレクセイ、じゃあとは何だ。パリにアジア人がいないと?それにあれは多分日本人だ」
なんで分かるんだ?
「あの人は加山さん。私を預かっている人」
「預かっている?親戚か誰かか?」
「先生」
「先生?」
あの男はユリアとはだいぶ年が離れているように見える。
「そう、勉強を教えてくれる」
「勉強か、俺は無理だな」
俺はろくに勉強をしてこなかった。
だが俺の隣に住むコカイン野郎も頭はよくないだろう。
俺の周りは大体そうだった。
「悪い人には見えなかったし、だまされて何かするような顔つきじゃなかった」
越境検査員なら顔や服でなんとなく分かるんだろうか。
俺には何も感じなかった。
「だったら、なんで今こんなところに、俺たちに預けるようなことをしたんだ?」
「目的があるんだろうな」
広い滑走路の端に着いた。




