第4話
俺はヘリを指し、ダニエルに言う。
「あのヘリと交信できるか?」
ダニエルはグッドサインをする。
「ヘリコプター、聞こえるかヘリコプター」
俺にはダニエルの声しかわからない。
「わかった、自由にしてくれ」
ダニエルはヘッドホンを外す。
「お前に用があるそうだ」
俺に?
誰が何の用だ?
「移動用のバギーがある。運転するよ」
俺たちは下へ降りる。
外に何台かバギーがあった。
2人乗りだ。
乗り込む。
少しワクワクした。
「例のチップで鍵がなくても、空港職員だったら運転できるようになっている」
ダニエルはそう言って、アクセルを踏む。
「何者だ?」
「わからない、横にいるお前に用があるとだけ言っていた」
風が頬をなぞる。
気持ちいいな。
「意外とどうにかなりそうだな」
「空港の表は人ばかりだが、裏は何もないからな。軍のヘリとか来そうだし、案外こっちでテントとか張ってるのがいいのかもしれない」
「飯はどうする?」
「まあ、どうにかなるだろう」
ヘリの音が大きくなる。
意外とうるさいな。
こちらの到着に合わせ、ヘリが下りてくる。
男が1人乗っている。東洋人のようだ。
それなりに年を取っているように見える。
黒いジャケットにブラウンのズボンを履いている。
「俺に用があるって?まず何者だ?」
男は手を後ろに回して、ヘリの中で立っていた。
ヘリは地上から1メートル上でホバリングしている。
こちらが見上げるような形だ。
「頼みがある」
男はそう言って、横に手を差し出す。
そこから、1人の女の子が男の手をとって立ちあがり、こちらを向いた。
白人、おそらくスラブ人だろう。
白い髪に無地の白いTシャツ、濃い色のジーンズを履いていた。
「この子を連れていってくれ」
「連れていってくれ?どこにだ?」
「家族を探しているんだろう」
なんでこいつはそのことを?
「そいつに何の関係が?」
「行けばわかる。とにかく連れていってくれ」
男は女の子に何かを話すと、女の子はヘリから降りる。
ヘリは徐々に上へ上へと昇っていく。
「おい!答えろ!こいつは何なんだ!」
十分な高度に達すると、ヘリは彼方へと飛んで行ってしまった。
俺は女の子を見る。
女の子は不安そうにあたりを見回していた。
「お前、何者だ?」
女の子はこちらを見つめる。
「私の名前はマリヤ」
名前を聞いているわけじゃないんだけどな。
俺は頭を掻く。
仕方ない、こいつを連れて、会いに行くしかないのか。
家族と会った時、互いにこいつなんだってなりそうだな。




